下北沢駅の、ホームにて
小田急線の下北沢駅が、地上だったときのことを、まだ覚えている。
大きな楽器を背負って歩かなければいけないのに、エスカレーターがなくて、エレベーターも潜んでいるみたいな位置にあって、大変だった。
あれから10年以上経って、下北沢の駅もかなり整ってきた。
小田急線から井の頭線に乗り換えるには、一度改札を出なければいけなくなったのが、ほんの少し不便だけど
井の頭線のホームまでくれば、あの頃となにも変わらない。
渋谷駅の改札側、先頭車両を目指して、わたしは歩く。
下北沢も、だいぶ変わったな、と思うけれど
ずっと何かしらが、変わり続けるような街だった。
「あれ、こんなところにこんなお店あったっけ?」とか
「このへんにあったあの店、なくなったの?」とか
そしてそれは、通りを1本間違えていただけだった、とか
そんなのが、日常茶飯事の街だった。
西日に、”オオゼキ”が照らされている。
駅近くの、唯一のスーパー。
この街に住んだことはないから、入ったことはないけれど、オオゼキはずっと変わらない。
見えないけど、その正面にある、ヴィレッジヴァンガードも。
この日、わたしは愛用していたケイトスペードのスマートフォンケースを壊した。
形あるものはいつか壊れるし、街の景色は変わってゆく。
20代の、がむしゃらだった頃のわたしは、もう30代になっている。
いつも君と煙草を吸ったフレッシュネスバーガーも、とっくに禁煙になってしまった。
わたしはただ、
ただ、眩しい気持ちひとつで
西陽に照らされる、オオゼキを見つめていた。
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