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なんでもない夜の先

ああ、やっぱりね。
わたしは二度目も、深く頷いた。

マウスの充電が切れそうだった。
どうしても「まだいける」とむりをさせてしまうことを、悪いと思っていないのだから、治るわけはない。
接続が切れました、と表示されて「やっぱりね」と頷く。

充電式の電池が、充電器にハマったままデスクの片隅に置かれている。
電池を変えて「やっぱりね」とまた頷く。
そういえば、充電した記憶がない。
あとでやろう、と思ったことだけ覚えている。
そうだよね、わたしそういうところあるよね。と冷静に頷く。

そういうところあるんだよ。
そんなまぬけさを少しずつ受け入れられるようになった。
何年か前のわたしなら「なんで充電してないんだよォ」と半泣きになっていたに違いない。
よく、そういうことで泣いていた。
知らないうちに当たり前の形が変わって、おとなになれたのかもしれない。ふまじめなままだけど。




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