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枕元の本

最近、本を読んでいる。

気づくと寝てしまうので、寝る前に本を開くようにした。
本を読むのはすごく好きなのに、ときどき、すごく億劫になる。
読み始めると、ばりばりと読み進める。
最近は、そんな”読む時期”に突入した。

読む時期には、枕元に本を積んでいる。

わたしは背が小さいので、ベッドに対して頭の位置をずいぶん下げても、落ちることはない。
枕元にポケモンのぬいぐるみを並べて、その下に本を置いて、その隣や下にごろりと横になっても、狭さは感じない。

とにかく立っているのも座っているのも嫌いで、だいたい、スライムみたいにぐでっとしながら過ごしている。
最近のお気に入りは、ベッドだった。

好きな本を並べて、気が向いたのから順番に読む。

村上春樹さんの短編が読みたくて、「レキシントンの幽霊」を買った。
でも、友人の森瀬ユウから送られてきた新刊「青に問う」の続きが気になり過ぎて、そちらを先に読んでしまった。
同じ「青に問う」というタイトルの短編がいくつか収録されている、という趣向が森瀬っぽくて好きだし、
森瀬の情景描写は、ほんとうにきれいだ。
こんなに毎日家でごろごろしているのに、どこか遠くへ連れて行ってもらった気分だ。

西野さんの「革命のファンファーレ」は、この時期に読むべき本、とわかっているのだけれど
小説が読みたかったので、「レキシントンの幽霊」に戻った。

そして、凪良ゆうさんの「わたしの美しい庭」を、買ったのに読んでいなかったことを思い出した。
凪良ゆうさんは「神様のビオトープ」がとてもよかったので、新書で「わたしの美しい庭」を買ってみた。
これが、近年稀に見る「どんぴしゃにわたし好みの作品」で、うっとりするほどしあわせだった。
あと300回くらい読みたいし、友達にも贈りたい。

「小説を読むことのしあわせ」を思い出したわたしは、母に勧められた「政と源」を読んでいる。
70代のおじいさんが主人公のこの小説は「あんたにはまだ、わかんないかもね」と母に言われたけど、「わからないなりに読んでみよう」と読み勧めている。
三浦しをんさんは「舟を編む」を、母に贈ってもらったことで出会った。


そうしてわたしは、ここ数日、眠る前とか、「眠ってしまおうか」と思う時間、
本を読みながら、旅に出ている。
本を読んでいる時期特有の、少し研ぎ澄まされている感じが好きだ。
耳コピをたくさんしている時期は、いつもより鮮明に、多くの音がドレミで聞き取れるようになるような、そういう感覚に似ている。


日常を引っ剥がして、どこかに旅に出ることは、疲れることかもしれない。
それは、漫画だってアニメだってゲームだって、映画にも言えると、わたしは思っている。

それでも、心地よい疲れに包まれて、わたしは眠る。
そして懲りず「次は、どんな冒険に行こうか」と、わくわくしながら本を手に取る。

枕元の本を溜めて、入れ替えて
そういうささやかな時間が、わたしにとっては、幸福だと思っている。




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