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わたしを守って

この家に住んで、もうすぐ4年が経とうとしている。

大きな家具の配置換えを一度、
小さいものを何度か繰り返して、いまの状態に落ち着いた。

わたしが棲み着いている部屋には、窓がある。
ベランダもないし、網戸もないし、出窓になっているわけではないけれど窓がある。
引っ越したばかりのときは、窓に沿ってハンガーラックを置いていたので、言葉通り「開かずの窓」だったけど、
ここ数年は、窓に沿うようにベッドを配置している。
窓の横は、冷たい風が吹きつけてくることを知った。

昨年、ビニールのカーテンを追加した。
この部屋の窓はもともと「開かずの窓」で、一応古いカーテンを1枚ずつ垂らしていただけだった。
それだけでは、寒すぎる。

これでずいぶんあたたかくなった、と思って去年の冬を越した。


それでも、今年の10月が訪れた時点で、また冷たい風が吹きつけてくることに気づいた。
気づいた、というよりも
信じられない勢いで、風はわたしの頬を叩いてくる。
まだ、10月なのに。

ニトリに行ったときに、カーテンのコーナーを見たら、わくわくした。
わたしがイメージしていたカーテンの価格よりぐんと低くなっていて、
カーテンを変えれば、部屋の印象もずいぶん変わりそうだ。

臆病なわたしは、部屋の印象を大きく変える、という決断には至れなかったけれど
レースのカーテンを買った。
夏は遮熱、冬は保温。という言葉に、どうしても惹かれてしまった。


カーテンをつけて、数日。
頬を「吹きつけて」いたような風が、
やんわり、冷たく触れてくるような、そんな気配に変わった。


冬が来たら、またぐんと冷えるだろう、と思う。
冷たい風に、さらわれていくのだろう、と思う。

それでも、今年もカーテンを増やして、新しいタオルケットを買って、ふとんカバーを新しくした。
今年は、冬用のシーツを新調してもいいかもしれない。


生きよう、としているのだと思う。
かつてほどの「がむしゃらさ」は持ち合わせていないかもしれないけれど、
しっかり自分を守って、生きようとしているのだと思う。
少しずつ、まわりを整えて、呼吸を深くして
たった一枚の布に、守られようとしている。

その、前向きなわたしの姿に
この夜、わたしはなぜだかとても、安堵している。



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