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必要なスパイス

 洗濯が好きだ。と書こうと思ったけれど
 やっぱり嘘だ。と、思った。
 ほんとはめんどくさい。

 今日はいつもより長めに働いたし、友達にも会いに行ったし、本当はごはんを食べてごろごろしようと思ったけれど、洗濯機を回した。
 わたしはやっぱり洗濯が好きだ。と思ったけれど、ちょっと違う。
 誰かがやってくれたり、全自動で終わるんだったらそっちのほうがいいと思う。

 洗濯機に洗濯物を放り込むときの晴れやかな気持ちたるや。とは思うのだけれど、いま部屋に干してあるものを取り込んで、しまうのがめんどくさい。
 洗濯が終わる頃には晴れやかな気持ちもどこかに行って、やっぱりめんどくさい。

 だけどどうも、洗濯を嫌いになれない。
「今日も洗濯をしたぞ」と思うと勇気になるし、干してある洗濯物を見るのは好きだ。外に干しているときは特に。ぼおっと眺めてしまう。
 家族の役に立てている。というのも気分がいい。
 わたしはあなたと一緒にいる意味や価値を考えてしまうけれど(あなたにとって価値があるかどうかなど)、まあ洗濯はしてるしいいか、と思えるのは有り難いことだと思う。

 洗濯だけは、いつも自分でしている。
 洗濯が与えてくれる束の間の晴れやかさは、人生にとって必要なスパイスに違いない。と信じている。




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