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適切とは、ほど遠いところ

寒いな、と思う。
ときどき、思う。

寒いとか暑いとか思うのが、あんまり得意じゃないと思う。
そりゃあ、日差しがさんさんと降り注げば暑いと思うけど、それだけだった。

そんなことよりも、愛してしまっている。
長袖とストールに、包まれることを。
余った袖を、握りしめることを。
もふもふと、包まれてゆくことも。
袖をまくったり、戻したりを繰り返して生きていくことに、わたしは安堵する。

安堵こそが至高であり、
人としての性能を少し欠いているのかもしれない。
食べることも、息をすることもうまくできない。
食べ過ぎたり、食べなさ過ぎたり、眠り過ぎたり
適切とは、ほど遠いところで生きているような気がしている。

だから、ときどき思い出す。
暑いな、と思ったらきちんと扇風機をつけること。
しばらく経つと不思議と「寒いな」と思うとのときには、パーカーを羽織ること。
または、扇風機を止めること。

欠いたままの性能を、恨めしく思うことはない。
だから、どうか、気づいたその瞬間だけ
わたしが、わたしにだけ、きちんとやさしくできるように
わたしのからだと魂を、きちんと抱きしめてあげられるように。

ときどき、適切に生きられない自分のことを、思い出している。



【photo】 amano yasuhiro
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