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君に伝えたい百の言葉

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あなたに伝えたい言葉が残っている。見失っても、百個積んだ先に何かがあるかもしれない。光を追う者のエッセイ集
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#弾き語り

なんと健全な痛みだろう

(ああ、そうだった) 明滅するひかりを追いながら、わたしは思い出している。 2020年12月28日 町田プレイハウスの年末イベント、”渾身の一曲”に招かれていた。 プレイハウスに縁のあるミュージシャンが、タイトル通り”渾身の一曲”を披露する、という忘年会イベント。 今年は、無観客の配信ライブで、出演者の約半分も事前収録での参戦となり、会場が密にならないよう、気遣われていた。 去年よりずいぶん人が少ないのに、似通ったあたたかさがあるのは、なぜだろう。 「久し振りだね」と、

わたしにとって、曲を作ってうたうこと

11月になったとき、思い立って弾き語りの練習を始めてみました。 ここ数年、 歌えもしない、曲もないのに弾き語りを始めて ここ数ヶ月は、ずっとお休み中でした。 たくさんの力を蓄えて、 ようやくわたしは、歌うことに帰ろうと思えました。 帰らなきゃ、じゃなくて ただただすこやかな気持ちで、帰ろう、と。 * わたしにとって発信の場は、このnoteと 最近は、stand.fmでおしゃべりもして ありがたいことに、Twitterでもお声かけいただく機会もあって もうほんとうに、

「かんたんに、歌がうまくなる方法を教えてください!」

最近、思い立ってピアノの練習をしている。 基礎練だけだと飽きてしまうので、 「せっかくなら」という気分で、自分の曲を練習している。 わたしはほんの少しだけ、ピアノを弾いて歌うことができる。 ピアノはもう、何十年の付き合いになるのだけれど 数年前、弾き語りを始めた。 それまではバンドでコーラスもやったことないし、音楽の授業で歌うことですら嫌いだった。 下手だと思って歌ってこなかったので、やっぱり下手なままだった。 それでも、「自分ひとりでもステージに立ちたい」「ひとりで

「きみも、音楽をやるの?」

先日、ご縁があって岩瀬敬吾さんのライブを見てお話しさせてもらった。 恥ずかしながら、19は全然通ってこなかったので、 ライブがめちゃくちゃかっこよかったこのひとに、声をかけていいものか悩んでいた。 弟が、敬吾さんとお話をしている、と思ってチラッと見たら、 めっちゃポケモンのはなししてた笑 「きみもポケモンが好きなの?」と聞かれたので、頷いたあとにたくさん話をした。 散々ポケモンの話をしたあとに、音楽の話をした。 聞いた言葉を反芻して忘れないようにしたのに、酔っ払っていて

ふたりとさんにん

「3人で行くのはちょっと…」と言われたことがある。 Aくんと遊びに行こうと話したときに、 仲の良いBくんも誘おうよと言われたときのことだった。 べつに、AくんとBくんは不仲ではない。 3人、というのが苦手だと言われた。 ふーん、とその話を聞き流したことを覚えているが、「そういうのがあるらしいよ」と母は言った。 3人は苦手だけど4人はいい、とか 4人以上になると苦手だ、とか。 人によって、そういう感覚があることもあるらしい、と。 言われてみればわたしも、4人以上のグループL

「愛と幻想のレスポール」を読んで

勢いでこれ、をようやく読んだ。 発売したのは、もう2年も前なのか… 発売してすぐ買ったのに、途中までしか読めなかった。 10代くらいまでは、世界はぜんぶ敵だった。 たぶん、作られたもののすべてが敵だった。 わたしもできる、と思って、負けたくないと思った。 20代になって、世界は脅威に変わった。 「わたしは到底、この人みたいになれない」と思って 逃げていた。 怖いことがたくさんあった。 身軽になったのは、つい最近だと思う。 以前、この本を読んだときは 「スガシカオはやっ

スガシカオと歌詞、スガシカオの歌詞

スガシカオの新譜「労働なんかしないで光合成だけで生きたい」を聞いている。 めっちゃ聞いている。 明日は久々に、スガシカオを見に行く。 FANKAHOLiCのツアー以来だなあ… 久々にライブに行くということを除いても、スガシカオの新譜だけは毎度発売日近くにキッチリ買っている。 同じように新刊を楽しみにしているのは安野モヨコで、 このふたりは長年メルマガを購読してる。 スガシカオを語り出すとキリがなくて、 作詞をしていて、意識的にいちばん影響を受けているとか、パクっているのは

ありがと、いってきます

なんか言葉が出ないなあ、と思っていて過ごしていたけど これ違うな、てやっと気付いた。 こうしておとなになるんだな。 4月は17日プレハ、22日ワイサイと 2本ライブをやらせてもらって もうあんまり、感想みたいな記事書くの好きじゃないんだけど そういうのはまじめなミュージシャンがやればいいと思っているから、 わたしはふまじめだから、 ふまじめでいいと思っているから それでも、 プレハのライブに向けて、自分に約束した通りちゃんと新曲作って、 ワイサイは絶対たのしいことしかや

ただいま、いってきます

もうすぐわたしは、ワイルドサイドトーキョー10周年を ステージに立つ者として、お祝いに行く。 実際のライブは、フロアだけど笑 10周年ほんとうにおめでとう、ありがとう。 4周年に大きな企画を打たせてもらったので、 6年以上の付き合いになる。 ひとつずつ思い出せば泣いてしまう気すらするくらい、 濃密な時間を過ごした場所だね。 昼寝もした、 煙草をたくさん吸った、 コーヒーもたくさん飲んだ、 用もないのに立ち寄ってふらふらすることも少なくなかった 友達が死んだときも 恋

向きとか不向きとか

「あのときは、声の出し方間違ってたんだねえ」 そう言われる前の夜、わたしは考えていた。 はじめての20分のライブを迎える、その前日 3曲だとまとめられなくて、4曲にしたけどMCが難しい。 わたしはスタジオで、ストップウォッチを睨んでいた。 そもそも、4曲と決めるまでもすごく時間がかかってしまい、予約した2時間を迎えようとした。 煙草を吸って、もう1時間うたうことにした。 ストップウォッチを見つめながら、わたしは「懐かしい」と思った。 そうだ、30分のライブをひとりで最初