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本命はやはり「23区」

前回のnoteで
「Jリーグのプレミアリーグ構想というのは当て馬で、本命はいかにして東京23区内のクラブをJリーグに参入させるかであろう」
という趣旨の記事を書きました。

その見方は、当たらずと言えども遠からずだったようです。

やはり本命は23区スタジアムだった

ざっくり要約しますと

・「2030Jリーグフットボールビジョン」の見直しが発端
・4月1日付で「リプランニング推進サポートチーム」を立ち上げ。
・実現性を三段階に分けて検討
・「23区スタジアム」は『実現に向けて検討』
・「リーグ構造の見直し」は『検討するか否かを検討』
・プレミアリーグ化という話は「この案では一切出ていない」

松竹梅で例えると、23区スタジアムが松、リーグ構造の見直しが竹という位置づけです。
耳目を集めやすいプレミアリーグ構想はやはり当て馬だったんですね。

リーグ構造の見直しは、J1・J2・J3の合計クラブ数が上限「60」に達した後のレギュレーション(JFLとJ3の入れ替え)をどうするかといった話が主体のようです。
こちらは今年9月末がタイムリミットと、あまり時間がありません。

新国立ではダメなのだ

ではこの23区スタジアムについてもう少し詳しく見てみましょう。

従来のスタジアムと毛色が違うなと思える点が二つ。
・Jリーグ保有のセントラルスタジアム
・どこかのクラブのホームにするわけではない

しかし
・場所は決まっていない
・具体案はまだこれから

当事者も認めるような「雲をつかむような話」です。

旧国立競技場では、通常のリーグ戦を開催する例も多く見られました。
近郊のクラブでホームのキャパが小さいところが人気クラブと当たる際に利用する例(柏vs浦和、甲府vs浦和など)
さらにJリーグ初期には、名古屋vsG大阪を開催した例までありました。

こうした活用方を想定しているのだと思います。

保有スキームがクラブでも自治体でもなくJリーグというのが斬新ですが、
セントラルスタジアムとして活用するのなら、新国立競技場を使えば済む話です。
なぜ、わざわざJリーグがリスクを取ってまで自前で持つことを想定しているのか。

これは、サッカー場としての新国立競技場を見限ったということではないでしょうか。
五輪開催後の球技専用化を有耶無耶にするような国とは付き合いきれん!という最後通牒です。
また、使用料の高騰も取り沙汰されています。

サッカー界が本当に望む仕様の肝心な部分は満たされず、料金だけが高騰しているのです。

これで国が泡食って、球技専用化が再浮上したら面白いのですが…

規模も場所も決まっていない段階でのこの構想は、国との駆け引きの一環なのかもしれません。

東京23区内Jクラブを阻むもの

ところでJリーグの想定する23区内クラブとは何か。

23区をホームタウンに内包するクラブは既にあります。
拠点も試合会場も多摩地区ですが、ホームタウンは「東京都」なので自動的に23区が含まれます。

これらのクラブの23区内スタジアム構想もないことはないのですが、構想が
浮かんだり消えたりを繰り返し未だに具体的な動きはありません。

こうした在京既存クラブの十年一日の現状にJリーグが業を煮やし、
23区内で立ち上がったクラブを引っ張り上げる方向に路線変更したのではないでしょうか。

しかしここで落とし穴があります。
現在、Jリーグでは特別区をホームタウンとすることは認められていません。

(1) Jクラブは、理事会の承認を得て特定の市町村をホームタウンとして定めなければならない。ただし、次の各号の条件を満たし、理事会の承認を得た場合には、複数の市町村または都道府県をホームタウンとすることができる。

認められている最小単位は、単一でも複数でもあくまで市町村。
条文を素直に読めば、特別区も政令市の区もホームタウンの単位とはなりえません。
「東京23区」というくくりにしてもダメです。

大阪府の都構想が実現したらどうなるかで議論になったのはご記憶の方も多いと思います。

いま一つはスタジアム

J2以下の公式戦が開催されるスタジアムは西が丘、駒沢などがありますが、
23区内でJ1規格を満たすスタジアムは新国立競技場しかありません。
しかし国立の競技場を特定のクラブのホームとすることは昔から想定されていませんでした。


そこで「23区内のJクラブ誕生に向けた参入緩和策」です。
ホームタウン、スタジアム…どれを一つ取っても、
どこかで規制のタガを外さないと、話が前に進まないのです。

他競技と比較しての焦り

このように何としても23区内のJクラブ参入ありきで事が進められているのは、後発のバスケやラグビーなどがいとも簡単に23区内をホームとするクラブを立ち上げたことに対する焦りがあるのではないでしょうか。

試合会場ひとつとってもバスケは23区内にアリーナがありますし、ラグビーは秩父宮という超一等地のラグビー専用スタジアムがあるわけです。

Jリーグが直々に音頭をとる23区スタジアム構想は、他の競技に何とか肩を並べたいとする苦肉の策の一つでもあるわけです。

さて、
建前上は特定のホームスタジアムにしないことになっていますが、
いざ23区を拠点とする新チームが昇格しそうになってきたら…
ケースバイケースで運用されそうな気もします。

しかし、リーグ全クラブが拠出したといえる金で建設するスタジアムを、特定のクラブのホームタウンとみなして運用するためには、相応の理論武装が必要となるでしょう。

こうした作文に長けた人材が豊富にいそうなクラブ…
う~ん、一つだけ心当たりがあるなあ。


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