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小学校が「思考停止」する理由。

「個人」で輝ける時代が到来し、何かと「教育界」の思考停止が取り上げられています。思考停止の権化のように学校が取り扱われるのは、ほとんどの大人が通い、共通の体験として語ることができる対象であるからだと思います。僕としては、この風潮が多くの教師に対する警鐘となり、見直しが諮られるきっかけをつくっている好ましい動きだと感じます。そんなことを感じながら、苫米地英人さんの「思考停止という病」という本を読みました。その内容に照らし合わせ、「小学校」という機関を考え、「どうして思考停止してしまうのか。」についてと、その理由を本記事にまとめました。

「思考停止人間」が形成される過程。

本書の中で苫米地氏は、思考停止人間を、

・言われたことしかやらない
・与えられた仕事に対して工夫しない
・手間で面倒なことは避ける

という「平凡な人」として紹介していました。では、小学校では、意識高く着任した「才能あふれる教師」が、どうして「平凡な教師」として思考停止した組織の一員になってしまうのかについて書いていこうと思います。

「多忙」による組織の思考停止。

小学校が「思考停止」している大きな理由は、

学校運営に関わる意識の低さ

が原因です。利益を上げて運営していくという目標をもたない「小学校」では、教師の思考は、ほぼ「自分の学級」へ注がれています。「学校をより良くする」という視点で運営に関わっているのは、実質、管理職と教務主任であり、教師のほとんどは、「例年通り」で異論なしという立場をとります。なぜ、そのような意識の低さが蔓延しているのかというと、

「多忙」

の一言でしょう。担当する学級がある教師は、自分の学級運営にほとんどの時間を取られています。むしろ、時間があれば、時間があるだけ教材研究をしたり、自分の学級運営について考えたりしたいと心底思っています。そこに、校務分掌というかたちで、「運動会」や「地域連携」といった学校運営に関わった仕事がふられてきます。そのような+αを充実させるには、当然、学級運営にかかる時間を削減するしかありません。教師としては、自分の学級の子どもたちが生き生きと学校へ来てくれることをモチベーションとしているので、年に1度の行事についてコミットする余力が残っていないということもあり得ます。そのような理由から、「例年通りこなしていく」という思考停止を選んでしまうのです。

「思考停止エリート」による思考停止

では、散々述べてきた「授業」については、さぞクリエイティブなのかと言えば、残念ながら「思考停止」があふれています。正確に言うと、思考はしているのですが、「思考停止の中で思考している。」「思考停止していることに気付いていない。」というのが正しいかとおもいます。教師は、授業準備に命をかけています。通常であれば、毎日5・6時間ずつ、授業を実践し続けています。その中で、子どもをみとり、授業を修正し、次回の準備をしてまた実践。というサイクルを繰り返しています。そこは、「思考」があると見せかけ、ひどく狭い範囲に偏っていると言わざるを得ません。具体的に言うと、

授業のめあては、必ずみんなで読む。
国語の授業の導入は、必ず音読をする。
授業は、1時間で終わり、最後には「まとめ」を書かなければならない。

というような、「決まりきった方法」の中で試行錯誤しているということです。狭い枠の中でできる限り工夫しようとしているのです。

どうしてこのような残念な状況がありふれてしまうのか。その原因は、

「『自分』の経験を価値基準として先生をしているから。」

だと考えます。教師は、1年目でも10年目でも、担任としての仕事量は変わりません。着任したその日から、担任業務を全て任されます。「初任者指導」という役割の教師はいますが、思考停止に磨きをかけるようなアドバイスをしてくださいます。最終的に頼れるのは、「自分」です。「自分」の中にいる「The・教師」を演じながら手探りで戦うしかないのです。このような状況では、「子どもの思考に沿って、柔軟に指導内容を変更していく。」という対応は怖くてできません。多くの若手が、「教師という権力を振りかざし、統制を図る」方向へ進むしかないのです。

このような状況が続く限り、「思考停止」は続きます。求められるのは、

「従来の『当たり前』を見直し、変化しつつある子どものニーズに応えられるような教育を提供すること。」

です。これは、教師の「授業観の見直し」だけでなく、学校の教育目標や年間行事という「共通の価値観の見直し」も含んでいます。

現在、「従来の方法では対応できなくなっている。」と感じる現場を、教育の見直しを求める世論が後押しして、「今のままではいけない。」と気付く教師が増えているのは確かです。確実にこれからの学校教育は変化し、面白くなっていくと僕は思っています。自分自身も変化し続け、教育界を盛り上げていきたいと思います!



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