教材研究に油断は禁物。
「先生、やりたいことがありません!」
と言われたら、あなたはどうしますか?
それは、体育の時間のことでした。
「マット運動」の初回。「自分の実力チェックと、次回からの目標設定」をこの時間のめあてとしていました。
子どもたちが、体育館中に敷き詰めたマット上で、様々な技に挑戦していたときのこと。ふらっと現れたある子どもが、
「先生、やりたいことがありません!」
と、伝えてきたのです。
この瞬間に大きく分けると、2つの道があると思います。
①「なにを!」と思い、「何かしらに決めなさい。」と決定を促す方法。
②「そうか。」と受け止め、「ゆっくり探してごらん。」と決定をゆるく促す方法。
こう書くと、①を選びづらくなってしまいますね。
きっと、「教師辞めます。」宣言をしていた3年目までの僕だったら、①を選んだでしょう。しかし、酸いも甘いも経験した教師生活中堅の僕は、②を選ぶことができました。
選ぶことができたといっても、昨年度から関わっているというアドバンデージがあったことは、②の選択肢を選ぶ上で非常に重要な意味合いをもっています。
その子の特性として、「困っていても言い出せない。」というものがありあました。
きっと、どの教室にもこのようなお子さんはいますよね。
昨年度にそのような引継ぎをしてきた僕にしたら、
「先生、やりたいことがありません!」
という訴えは、
「よく言った! えらい! 素晴らしい!」
と、褒めちぎりの刑に値するほど価値のあることだったのです。
逆に考えてみてください。
これだけ素直に、
「やりたいことがない!」
なんて主張できますか? 準備・計画をした張本人に対して!
弱気な僕だったら、気が進まなくても何となくみんなに合わせて、「決まった風」を装うに違いありません。
そう考えると、この子どものとった行動は、もはやパイオニア。勇者です!
その子は、僕にこう教えてくれたのです。
「ある程度、バリエーションを準備して魅力的な場の設定を考えたと思って調子に乗るなよ! まだまだ、できることがあるんじゃないのか。」
と。
こんなとげのある言い方ではないにしろ、教師がある程度準備したからといって、全ての子どもに適した学習となっていると思ったら大間違いです。
ここから、全体指導に切り替え、
①自分が選んだ技の理由を発表する。
②自分が選んだ技の魅力を紹介する。
③自分が選んだ技の練習方法をプレゼンする。
などなど、様々な子どもたちの関わりによって、授業の魅力を、体育の魅力を広げていくことができるのです。
そんなこともせず、みんなが楽しそうに動き回っている様子をぼ~っつと眺めていたもんだから、きっとその子は「調子にのるな!」と伝えにきてくれたのでしょう。
指導法の追究に終わりはありませんからね。
勉強になります。
次回までに、彼にもマット運動の魅力を伝えて、
「先生、挑戦してみたい技が決まったよ!」
と言ってもらえるよう、教材研究に励みたいと思います!!
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