子どもの意欲を高めるポイントは、「ネーミング」。
日々、授業できることの喜びを感じているJUNです!
今週から全員集合した子どもたち。最近よく聞かれるようになったのは、
「先生! 当番とか係はいつからスタートするのですか?」
という質問です。
それもそのはず。ずっと前に記事を出させていただいた、学級の当番を分散登校初日から、壁面に掲示していたのです!
「そうだなあ。みんながそろってから決めたいから、もうちょっと待っていてね。」
と、分散登校期間は先延ばしにしていたのですが、
「先生! みんなそろったから当番活動決められるよね!」
と、大変乗り切な子どもたち! 本当に子どもたちって素晴らしいですよね! こう言ってしまっては、子どもたちのやる気に失礼なのですが、当番活動は、雑用的なものが多いのが現実です。しかし、やる人がいないと学級としては大変困ります。そのようなことに対して、
「早くやりたい!!」
と、やる気を燃やしている子どもたちが素敵です! このような子どもたちの姿から学ぶべきことは多いですよね!
ここで大切なのは、なぜ雑用に対してここまでやる気なのかです。
もちろん、子どもたちは大人からしたら大したことないと感じてしまうことも楽しんで前向きに取り組むことができます。その要因は、「大人がやっている未知の作業への憧れ」もあるでしょう。また、「みんなに喜んでほしい。」という理由からかもしれません。
今回の記事では、僕も予想していなかったある理由によって、子どもたちが前向きに取り組もうという気持ちになっているかもしれないという面白い可能性を発見しましたのでシェアさせていただきます。
▶ネーミングが与える印象。
エリザベス・ミラーとバーバラ・カーンは、「名前の違いが、消費者の選択にどう影響するのか。」という研究をしました。
例えば、何の変哲もないクレヨンを、
①普通→ 「ブルー」
②具体的→ 「スカイブルー」
③変わっていて具体的→ 「カーミット・グリーン」
※カーミットとは、セサミストリートに出てくるカエルのマペットらしい。
④変わっていて具体的ではない→ 「ミレニアム・オレンジ」
のように、4種類に分けました。そして、消費者の好感度を探ったのです。
その結果、①②よりも③④のネーミングの方が、より高い高感度を得たのです。しかし、好感度の理由が違いました。
③の場合、カーミット・グリーンの意味を考えた消費者は、
「あぁ、なるほど。あのキャラクターの色なのね!」
と、パズルを解くような納得感を得ることができるため、「普通」のネーミングよりも高感度を得たというのです!
④の場合は、「ミレニアム・オレンジ」という曖昧なネーミングが好感度を得ることにつながったのです。クレヨンの名前を聞いて、
「ミレニアム? んっ? どういうこと? 千年前から伝わっている高貴な色なのかしら? きっと、そうに違いないわ・・・。」
というように、なぜこの名前になっているのか、メーカー側の意図を考えて商品の長所を探るので、より高感度が高くなるというのです!
▶学校や家庭でも使える特別ネーミング。
このような、ネーミング技術は、学校でも家庭でも使えます。何かしら取り組むべき活動があったとして、より子どもの意欲を高めたいのであれば、その活動のネーミングを工夫することで、参加意識のハードルを下げることができるのです。
自分の例で申し訳ないのですが、子どもたちが楽しみにしている当番活動からその意欲を高めたネーミングについて探っていきましょう。
例えば、「スケジュール・マネージャー」という当番活動を作りました。来週の予定を立てたり、明日の予定を黒板に書いたりするという仕事です。雑に言うと、「時間割連絡役」のようなものでしょうか。
このような役割を子どもたちは、こぞって「やりたい!」と申し出てくれます(今のところ1番人気)。きっと子どもたちは、字面だけを見て、「どんな当番なんだろう。」「スケジュール? 何か聞いたことがあるな。」と思考を巡らしたことでしょう。そして、僕から説明を受けた時、
「あぁ、そういう当番ね!」
と、初めて納得感を得たのです。そして、この過程では、「なんだか面白そう。」という気持ちを高めていたからこそ、雑務を快く引き受けたいと思える子どもたちの姿につながったのです。
これらは、当番活動ではなく、他のシーンにも応用ができます。もちろん、保護者に対しても効果的です。
例えば、学級懇談会の参加人数が少ないという問題を抱えている場合。
学年だよりに、
「授業参観後は、保護者参加型の『サプライズ懇談会』を開催しますので、お時間の都合をつけて、ご参加ください。」
という一文にしてみたらどうでしょう。きっと、「普通」に告知するよりも「サプライズ」の文字面に誘われて参加人数が増えること間違いなしです。
えっ? 僕ですか? やったことはないです。分かりました。いつか挑戦してみます。自分で書いておいてなんですが、「サプライズ」は、僕たちのハードルをかなり高めますね! これこそ、ネーミングによる効果を発揮しているということです!
「『サプライズ』とネーミングすることにより、何か特別なことをしないといけないというプレッシャー。」
を、自分にも効果を発揮してしまうということが分かりました。やはり、ネーミングの威力は絶大です。
▶まとめ。
本記事では、「ネーミングにより、モチベーションを高めることができる。」という内容をまとめました。この技術は、本当に利用場面が豊富です。学級レクも、「学級レク」というより「スペシャルレク」と言った方が、より楽しい感じがしますよね? ちょっとしたことですが、少し工夫をするだけで与える印象が変わることを意識して、子どもたちの積極的な参加につなげていきましょう!
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