やはり良くないことは続く

 カクヨムweb小説コンテスト(以下カクヨムコンと記す)の選考結果が発表されていることを、一昨日の夜にたまたま覗いたスペースで知った。
 そろそろ寝ようと思っていたところだったが、気になったまま眠るのも落ち着かないので、早速サイトを見に行ってみた。
 キャラクター文芸部門に応募した『葵ガ岡盲学校中学部は今…!』だったが、発表画面にその名は載っていなかった。
 そもそもカクヨムコンには第2回ステキブンゲイ大賞の滑り止めとして応募したのだ。自分の文体はカクヨム向きではないだろうからたぶん引っかからないだろうなあとそれほど期待はしていなかった。
 しかし本命にしていたステキブンゲイ大賞が、前回に続き1時選考で落ちてしまったのだ。
 この大賞のために、去年1年をかけて執筆に取り組んできたと言っても過言ではないぐらいの意気込みで応募したので、正直1時選考落ちという結果はとてもショックだった。だから今回のカクヨムコンはわずかな望みでもあった。しかしそのカクヨムコンでも選ばれることはなかった。
 予想通りっちゃあ予想通りなのだが、これはさすがにへこんだ。自分としては相当な熱を入れて書き上げた自信作が、ステキブンゲイ大賞にも、カクヨムコンにも引っかからなかったのだ。
 物書きとはそういうことの繰り返しの世界なのだろう。世の中そんなに甘くはないのだ。
 しかしその一方で、いつまでもこんな金にならない小説ばかり書き続けているわけにはいかないだろうという思いも芽生え始めたのも事実だ。
 適応障害と過敏性腸症候群から来る不調で、ここ何年かはほとんど一人で外出できなかった私だったが、昨年の年末ぐらいから、ようやく少しづつだが一人で外に出られるようになった。まだ20代の頃みたいに毎日は無理でも、たまにならバスや電車にも一人で乗れるようにもなってきた(混んでいる時がまだちょっと不安だけど)。
 今回のこの結果を踏まえて、そろそろまた仕事を探した方がいいのかもしれないと思った。
 とりあえず心身の状態が安定するまでは、b型作業所に週2回半日だけでも行けるようにがんばってみようかな。
 いや、でも仕事に出るのは今はまだ早いかもしれない。もう少し外に出ることや、人と関わることに慣れてからの方がいいのかもしれないとも思うのだ。それに作業所に行くことで、執筆に使える時間や精神的余裕が減ってしまうのも何だかなあって感じだし…。
 そんないまいちまとまらない考えを抱えたまま眠りにつこうとしていた時だった。携帯の通知がピコンピコンと立て続けに鳴り出したのだ。
 それらの通知を流し読みしていくと、どうやら東北地方で強い地震があったようだ。特に強い揺れを観測した地域に、福島県の浜通りがあった。
 母の実家が福島で、今はそこに叔父が一人で暮らしている。
(叔父さんが居るのって浜通りだったっけ?)
 私は慌てて自室を出ると、母が居るリビングに向かった。
「ねえ、今東北で強い地震があったらしいけど、叔父さんが居るのって浜通りだっけ?」
 リビングでテレビを見ていた母に尋ねた時だった。
「こっちも揺れてるに」
 と母が言った。
(えっ…?)
 一瞬何を言っているのか分からなかった。だがその直後、リビングの障子戸がかたかた鳴る音がし始めたのだ
 本当だ、母の言う通りこっちも揺れている。
 その揺れはどんどん大きくなり、ついには私たちが座っている畳の上にまで伝わってきた。
 これはまずいと思った。
 揺れはなかなか収まらなかった。こんなに長く揺れが続く地震を体感したのは、もしかしたら初めてかもしれない。めまいのようなその揺れは、怖いというよりも気持ち悪かった。
 どうにか揺れが収まってから自室に戻った。こんどこそ眠ろうとしたけれど、どうも頭が冴えてしまい寝付けなかった。久しぶりに眠剤をもう半分足して寝た。

 翌日の朝、叔父に電話をかけた。荷物が落っこちてきただけでこちらは無事だとのことだった。電話をした時は、丁度散らかった荷物を片付けている最中だったようだ。叔父の身に何事も起きていなくてほっとした。
 それにしても、カクヨムコンの選考落ちを知った夜に起こった地震…。ステキブンゲイ大賞の1時選考落ちした日同様、やはり良くないことは続くもんだなあ。

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