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ユーチューブのスカッと動画で逆にモヤっとした話


 施設のコロナ感染対策が緩和されたこともあり、昨日は午後から利用者仲間のSさんとZさんとMちゃんと私の4人で食堂に集まってお茶会をした。
 その途中、話の流れでMちゃんがお勧めの動画があると言って見せてくれたのが、上に書いた「アスナの憂鬱」というユーチューブチャンネルの、生理についてのスカッと動画である。

 その内容を簡単に書いてみると、女子高生のアスナが男性体育教師に「今日は生理なので水泳の授業を見学させてください」と伝えたところ、その男性教師からあまりにも大げさで偏りすぎた生理への偏見を並べ立てられた挙句、プールに突き落とされ鎮められてしまう。
 その後アスナの事態を知った水泳部の女子たちや養護教諭らと共に、男性教師を追い詰めてプールに突き落とすという仕返しをして、最終的に男性教師は警察に逮捕されるというようなストーリーだった。

 動画前半での時代錯誤もはなはだしい男性体育教師の生理への偏見、および女性蔑視の言動の数々には、胸の鼓動が高鳴るほどの苛立ち、さらには耳を覆いたくなるような悲しみや憎しみや痛みを覚えた。動画を勧めてくれたMちゃんには非常に申し訳ないのだが、それらのシーンにいたたまれなくなり、とてもじゃないが見ていられなかった。

 そんな私の気持ちをさらにモヤッとさせたのは、動画後半のアスナたちの仕返しのシーンである。
 おいちょっと待って、それは違うんじゃない?!と、例えそれがユーチューブ動画のフィクションであったとしても、自分の正義感を揺るがすようなことにはもの申せずにはいられない父親譲りの余計な正義感が、心の中でではあるが発動してしまった。
 確かに一連の事態は明らかにこの男性教師が悪い。アスナと同じ痛みを味合わせて仕返ししてやりたくなる気持ちと行動は充分理解できる。
 しかしだからといって、人をプールに突き落として沈めてもいい理由にはならないだろう。同じ暴力でねじ伏せてしまうのは、アスナたちだってこの男性教師と同罪ではないのか?!
 私が考えるに、せめてプールに設置された監視カメラの映像を証拠としてしかるべきところに提出するだけでよかったのではないだろうかと思う。

 普段からあまりユーチューブを見ないため、ユーチューブという文化に慣れ親しんでいないからというのもあるのかもしれないが、正直なところこれのどこにスカッとするのかが私にはよく分からない。
 抗えない偏見や蔑視には暴力で応戦すればいいだなんて…。そんなことがまかり通ってしまったら、そりゃあいつまでたっても世の中平和になんかならないよ。
 スカッと動画を見てスカッとするどころか、逆にモヤっとしてしまったのだった。

 いや、自分でもよく分かっている。ユーチューブのフィクション動画ごときでそんなことを思ってしまう自分は考えすぎなのだろう。
 あれはそのようなコンテンツなのだからと割り切って、ユーチューブのスカッと動画を楽しめるような穏やかな心を持った方がいいのかもしれない。

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