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もしもこの記事がバズった時には

 きっと比較的自由で平和なnoteだったら、このような話を書いても、Xのように殺伐としたことにはならないだろう。そう信じたい。

 最初に書いておきたいのが、私はこの記事を特定の誰かや団体を告発するために書いているわけではない(いや、ないと書いたら嘘になるかもしれないが)。ただこれから書く話を聞いて、個人的に思ったことや感じたことを書きたいだけなのだ。

 その話とは、5月から施設に新しく入ってきた入所者さんのことだ。
 その入所者さんは、この春に高校を卒業したばかりの18歳の女の子で、はるばる熊本からやってきてくれた。
 6月から女子の入所者は私一人になるのかーと寂しく思っていたところに、若い女子が入ってきてくれたのはとても嬉しかった。

 そんな彼女なのだが、ふだんからほんの些細な物音や匂い、さらには人の反応に対して異常なほど怯えている様子がとても気になっていた。プログラムがある平日の日中はまだ良いのだが、特に夜一人で過ごすのが不安だと言うので、夕食後から9時の点呼の時間までの間、私を含めた入所者仲間が談話室で一緒に居てあげているのだ(ここ最近あまりnoteを更新できていないのはそのためでもある)。

 それにしても、いつもしんどそうに物音や人の反応に恐怖を覚えるのは、もしかしたら精神的に何かあるのではないかと心配していたところ、数日前彼女は私たちの前で話してくれた。

 その話をざっくり書いてみると、どうやら彼女は地元の盲学校で中学の頃から担任を含めた先生たちから、日常的に行動や言動や人格を否定され続けたり、「あなたは太っているから」と給食のパンや唐揚げなどを勝手に減らされたり、学校が休みのはずの土日でも、外出中や夜遅くに電話がかかってきて、英語の課題をやろうと1時間も時間を拘束されるなど、そのほかにももうここには書ききれないぐらいの壮絶な嫌がらせを受けていたそうだ。
 さらに驚くべきことに、卒業した今でも、元担任から施設での様子を事細かに教えるようにと1日に何度も電話がかかってくると言うのだ。
 そのような体験が積み重なったトラウマや、元担任から電話がかかってくるのではという恐怖から、一人になると涙が止まらなくて夜も眠れないのだと、彼女は涙ながらに話してくれた。

 彼女の話を聞いた瞬間、それまで彼女が通っていた盲学校の先生たちに対して、怒りと憎しみがこみ上げてきた。
 何が1番ショッキングだったって、卒業した今でも、教え子を自分たちの支配下において粘着してくるというのだ。信じられないというか、あまりにも異常すぎる。これは立派な人権侵害ではないのか。
 これまでにもいろんな人から盲学校の先生からのハラスメント的な話はたくさん見聞きしてきたけれど、ここまでひどい事例は今まで聞いたことがなかった。

 私も学生時代は幼稚部から高等部までずっと盲学校に通っていた。
 約20年前という時代のせいもあるのか、当時はそれらのことが嫌がらせだとか人格否定だとは思わなかったけれど、私も盲学校の先生たちから多かれ少なかれそのようなことをたくさん言われたし、嫌がらせ的なこともたくさんされてきた。
 さらに盲学校ではないが、1番最初に入ったB型作業所の施設長から、やはり人格否定などのパワハラを受けて退職したが泣き寝入りせざるおえなかった過去を持つ身としても、今でも盲学校では生徒の人権を侵害するような教育が行われていることに憤りを覚えてならない。

 「ねえそれ告発した方がいいよ。今は悪いことは悪い、間違っていることは間違っているって声を挙げていい時代なんだから」
 そんな私の一言で、すぐさま告発に向けての作戦会議が行われた。
 何か証拠になりそうな文字でのやり取りの記録や音声データはないかと尋ねたところ、録音は残していたが、先生から勝手に携帯をいじられて消されてしまったと言う。おまけに元担任は彼女の家族や校長、さらには教育委員会とも深く繋がっているそうだ。
 これでは告発しようにも証拠は不充分だし、家族や教育委員会とも繋がりが深いのではなかなか手が出せない。
 とりあえず今は学校を告発するよりも先に彼女の精神の状態を安定させることが大事だろう。そのためにも、まずはケースワーカーも含めた施設の職員さんたちにもこの話を共有してもらって、心療内科に通院させるなどの対応をとってもらおうということで、いったん話は落ち着いたのだけれど…。

 このような一連の話を、こうしてnoteで公開するのは、今の彼女の精神状態を考えると、果たして正しい行動なのだろうかという迷いや、申し訳ない気持ちもある。
 しかし障害を持つ生徒を、自分たちの支配下において、人格や行動や言動や将来を全て否定して洗脳するかのような障害児教育や特別支援教育は間違っていると思う。そして彼女のような経験をして、今もその被害に悩み苦しんでいる人たちは、この世の中にはまだまだたくさんいると思うのだ。そう思ったらもう書かずにはいられなかった。
 間違っていることは間違っている!悪いことは悪い!と、もっと声を挙げていいはずなのだ。

 もしもこの記事が、世論が味方についてくれるぐらいにバズった時には、そのような障害児教育や特別支援教育、さらには障害者福祉のあり方について、もっと世の中の様々な立場の人たちが考えて、少しずつでも変わっていけるような、そんなきっかけになってくれたらと切に思う。

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