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四、彼と世界と私の天秤

四、彼と世界と私の天秤

――英雄を失った世界は次に統治者を求めたのだ。それもまた、己の肉だというのに。

四、彼と世界と私の天秤

彼はその一人分の背中に、世界を背負っていたのだ。私がこうも切なく思うのは、彼がそれを苦痛に思っていなかったことだろう。
立場が変われば優先するべきものも変わる。私と彼は同じ天秤を持っていたが、掛けるものの重さが違った。
彼にとって世界は重すぎた。それが立場ゆえの責任だったのか、彼自身の世界愛

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一、それに気づくにはあまりにも遅すぎた

一、それに気づくにはあまりにも遅すぎた

なんと、美しい人だろうか。

一、それに気づくにはあまりにも遅すぎた

彼がこんなにも美しい人だと、こうして対峙してみて初めて解ったのだ。これが傍らに居たのだと思うと、背筋がぞっとする。なんとも惜しいことをした自分を殴ってやりたい。

──何故、今まで気づかなかったのか!

きっと私は、酷く歪んだ顔をしている。柄を握る手は白く強ばり、まるで温度を感じない。
対して、彼は静かにそこに立っている。両手

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