はねz

短い詩、歌、散文。 何処かにいる、誰かへのことば。 届きますように。

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五、退廃する絵画と死せる清廉に寄せて

きっと、それは描かれた通りの絵に過ぎない。 何が正しいのかを彼は知っていて、何をすべきなのかも彼は知っている。 何故なら、筆をとったのは彼自身なのだから。 五、退廃する絵画と死せる清廉に寄せて 煤けた床を彩った赤は、もはや彼が助からないことを突きつけてくる。無慈悲にも、静かに、終わりを告げてくる。 彼の描いた絵は美しかった。完成されていて、どこまでも冷えた鋭い秩序を持っていた。 その正解を拒んだのは、歪なまま進んでいく世界のほうだったのに。 なんて悲しい人だろ

    • 三、鑑賞者のバラード

      狭い部屋の中、向かい合わせに座っている。折り曲げたお互いの膝が接触しそうだ。 二人きりになるのはいつ以来だろうか。この世界の時間の計り方なんて知らないのだけれど、随分久しぶりに感じる。 三、鑑賞者のバラード 私を睨んでいた彼が漸く口を開いたのは、部屋に入ってから――私の感覚で――たっぷり十分経ってからだった。 「お前は多くを知っていた。俺のことも、この先のことも、何もかも……最初、初めて会ったときから」 散々焦らされた後の言葉に思わず鼻で笑ってしまった。もう何度も同じ

      • 気づいてしまう

        振り向けない貴方は 前に進むことしか知らないような顔で その足を引き摺って歩いている きっと立ち止まってしまえば 気づいてしまう もう二度と あの星星が巡り合うことはない もう二度と 同じ世界を見ることはできない

        • 新しい時代

          また一つ 一つの時代が終わる度に 受け渡された次の時代を 私達はどうやって生きていこう? 語り継ぐべき記憶も 超えていくべき記録も 何もかも忘れないで 新しく生きるにはどうしよう?

        五、退廃する絵画と死せる清廉に寄せて

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        記事

          生きようと思った

          生きた証より 今生きる力がほしい 誰かが助からないからって 貴方が生きない理由にはならないよ

          生きようと思った

          お題短歌6首

          冬 冷えた手を温めるだけの貴方など冬の夢より薄情な人 頬 氷るのは頬を流れた涙だけ私の恋はまだ燃えている 嘘 嘘でもいいこの寂しさが埋まるなら優しい言葉で何か言ってよ 滅ぶ 願いさえいつか滅ぶというのなら今この時を君の隣で 傷 いつの間に傷ついた気になっていて剥がせないまま心にガーゼ 青 どこまでも広がる青に責められた今日の涙を君は許して

          お題短歌6首

          花がなくとも

          足下に花が咲いていなくとも 見上げれば鳥が飛んでいく あの翼でどこかの大地に 種を運んでいるかもしれない いつか芽吹いた森に 辿り着けるはず

          花がなくとも

          金属の蓋

          冷たい金属で蓋をした 穴の開いた君の心は 失ってしまったものの代わりに 何も要らないフリをしている 本当に欲しいものが 分かっている? どんなに飾り立てても 向こう側が透けているよ 何も必要としないで生きていける そんな人は何処にも居ないんだ

          金属の蓋

          忘れたくなる

          何かを猛烈に忘れたくなる瞬間がある 明日の予定だとか 今際の際の覚悟だとか 昨日の失敗だとか 言われたままの言葉だとか 考えなければいいのに 考えてしまうこと それをすべて忘れたくなる瞬間を重ねて 今日まで生きてきた

          忘れたくなる

          知らなければよかった

          そうだな 出会わなければよかった 寂しいも 悲しいも 辛いも さよならも 「貴方を好き」も 全部知らずにいられたのに

          知らなければよかった

          最終話に寄せて

          期待と予感が 手を取り合って心を荒らす この先にある新しい可能性と 失うと決まっている未来 無邪気に次を期待するには 私は知りすぎてしまった それでも進まなければ 終われない 終わらなければ 語れない 語れなければ 胸を張って愛したとは言えない

          最終話に寄せて

          心と生きていく

          時に泣きたくなるような喜びと 黙り込んでしまう悲しみと 走り出したくなるような怒りと 離れたくない楽しさと 目まぐるしく動かされる心と 一緒に生きていく

          心と生きていく

          あなたには解らない

          一体あなたに 何が解るというのか あなたの視ている世界に あなたは居ないのに 私がどうしようもなく 許せなくて どうしようもなく 愛しいあなたのことなんて あなたには何も 解らないでしょうに あなたが思うほど あなたは些細な存在ではない 私の視ている世界は あなたには到底解らない

          あなたには解らない

          もう何処にもないじゃない

          捨てたはずの想い出を拾ってきて 擦り切れるまで愛さないでよ もう何処にもないじゃない

          もう何処にもないじゃない

          空の彼方

          どこまでも続く青は 遠い記憶の貴方の色だった 小さな歩幅で必死に追いかけた あの広く大きな背中を 追い越すときが来たとしても 隣に並んだ貴方の肩に そっと夢見た未来を託して 私も俯くのはやめて 空の彼方を目指すのだ

          空の彼方

          さよならを

          きっと貴方はもうすぐ さよならを言うのだから せめて最期まで 私に悟らせないで いつも通り くだらない話をして

          さよならを