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予期せぬ住み替えが訪れる

不動産会社の見守り事業部で高齢者対応をしている私、三浦かおりです。
手から暮らしを見守るセラピスト介護士として活動をする傍ら、高齢者の方々の不動産に関するご相談の全般をお受けしています。

今回は高齢者の物件探しについて投稿してみます。


老朽化したアパートの取り壊し

老朽化したアパートと大家さんの高齢化。
大家さんが年齢を理由に建て替えを諦めたり、ご逝去されてご子息が売却処分を検討されている場合もあり、賃貸物件の取り壊しは今後益々増える案件かと思います。

事前に住民に通知し、転居して頂く。これが予期せね転居です。

そのような古い建物には建物と同じように年を重ねてきた住民の方、つまり高齢者が多く住んでいます。

終の棲家としようと思っていたところに転居通知。
地域のコミュニティも変わり、新天地を求めなければならない。

そんなとき、弊社にご相談いただくことがあります。皆様かなり不安を感じています。住みよい場所が見つかるのか、生活環境に慣れるのか、荷物をまとめて引越しができるのか・・等々、ご不安を受け止めながら、対応しています。

慣れは変化を嫌う

誰でもそういうところはありますよね。高齢の方は特に、環境や場所に慣れてくると、それが日常になり、労力を伴う変化を嫌います。

そして、変化に伴い、要望も様々追加されてくることが多いです。

この際だから・・・

  • 病院が近くないと困る

  • バス停が目の前にあるところ

  • 坂がないところ

  • 壁が薄いと音がうるさい

  • 買い物は歩いて行けるところ


不動産は水物

要望ばかりで悩んでいるうちに他の方に契約されてしまうこともよくあります。特に条件が良い物件は人気があるので、空きが出た日に決まってしまうこともあるくらいです。ネット申込でリアルタイムに動いている物件もあります。


生活ができる環境

高齢者の方の転居では事前に周辺環境を確認の上、メリット、デメリットをお伝えしています。条件に合うからと言っても、古過ぎる物件ではまた転居の可能性も出てきますし、階段しかない3階、4階の物件ではこの先、生活に支障が出ることもあります。私が重視する点は食と安全です。

食料を調達する場所があるか、車通りや通路の状況、室内外の段差、ごみ集積所の確認もしています。


生活保護受給者の方の引越し

そして、生活保護受給者の方も多く、資金的な面も検討事由に出てきます。仙台市は生活保護受給者の住宅扶助jが上限37,000円と決まっている為、その範囲内での検討が基本です。また、保護課の許可を得る必要もあり、初期費用の振込等に関しても役所とのやり取りが生じます。

緊急連絡先が存在しない

生活保護受給者の方で往々にしてあるのが、緊急連絡先に定める人がいない・・という点です。保証人とは違い、あくまでも緊急時の連絡先であり、家賃の督促はないのですが、連絡を取れる人が存在しないというのです。その場合、知人友人、過去の人間関係をお客様と一緒に確認する作業も出てきます。10年以上も住んでいた地を離れるにあたり、久しぶりに人間関係を掘り起こすという方もいるのです。


入居審査があるので振り出しに戻ることも

ネット申込に2時間かかった方や他社で気に入った物件がスマートキー対応なので、スマホに変えたという方もいます。しかし、あくまでも審査が通らなければ入居できません。家を借りるというのは、簡単ではないのです。いろいろな事由で容易にできない方々も多いということ。特に高齢者に至っては、相談時からサポートが必要です。


新天地での孤独

新たに地域コミュニティを築かなければならない状況になり、見ず知らずの地で地域に馴染んでいくのはかなり難しいです。転居後の相談先や自治体の情報も不動産会社が提供していくべきだと感じています。


まとめ

住まい(不動産)と暮らし(福祉)は密接であるということを日々感じています。いかにお客様の暮らしに想いを寄せられるか、部屋探しの際はもちろんですが、自社管理物件であれば入居後もサポートできるようにしています。

「親切にしてもらって嬉しい」「分かいことだらけだから助かります」
「生活保護でもちゃんと対応してくれる」
正直、民間企業がここまでやらなきゃないの?と思うこともありますが、頂くお声を励みに取り組む毎日です。

家というものは切っても切り離せない分野。住まいがあるって当たり前のようですが、至るまでは意外にハードルが高い。

超高齢化に伴い、今後まだまだ不動産会社の課題が出てくるのでは。。と危惧しています。

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