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絵本読んで ごはん食べよう

いつのころからか、テレビの視覚情報が少しうるさいと感じて、すっかりラジオっ子になってしまい、Twitterからよくラジオ投稿をしています。
すると、ラジオ投稿仲間とつながるのですね。楽しいです。

先日、そのラジオ投稿仲間からDMをいただきました。
『今我が家の王子(3歳)がご飯をあまり食べず、お菓子は食べるという時期になってまして。
3歳でも分かるような絵本で食育というか、白いご飯を食べるとこうなるんだよ、お野菜食べるとこうなるんだよみたいな絵本あったら紹介して欲しいなって思いまして。
それで少しでもご飯を食べて貰えるきっかけになればなって。』

ありますね。あるあるです。
特に「ごはん」を食べてくれないのが今の悩みだそうです。

食育の絵本は、たくさん出ているのです。
ごはんをしっかり食べて、お野菜食べて、お肉もお魚も食べて、元気もりもり大きくなるぞ!好き嫌いはなし!最後の一粒ももったいない!
そのような本は本当にたくさん。良い本たくさん。
そして、そのメッセージも明確で、「よし!だったら食べよう!」と思わせるものもあります。

ただ、3歳。
理屈を言われ、納得し、では自分の体のためにそうしよう!と思うのは、もうちょっと先かなあと思います。
でも、「ほら、こんなに元気になれるんだから、食べよう!ね!ね!」というゴリ押す大人のメッセージは敏感に察して、「ごはんも食べない、絵本も読まない」になりかねないのを注意したいお年頃です。
敏感なんです。繊細なんです。3歳なんです。

そこで、私がオススメしたいのは、「ごはんって楽しい!」と思わせてくれる絵本たちです。そして、その手渡し方も一考あるので、試してみてください。

ごはん山

はらぺこめがね 白泉社(2020)
ごはんを山に見立て、美味しい登山をしちゃうお話。
「ごはんだよ」でなく、「やまのぼりだよ」を意識して読んでみて。
そして、反応がよかったら、次の食事の時には、小さなお茶碗に山盛りにご飯を出してあげる。


ごはん

平野 恵理子  福音館書店(2015)
たきこみごはん、がいこくごはん、おむすび、おちゃづけ、おすし、かけごはん、どんぶりもの、おかゆ バリエーションに富んだ美味しそうなごはんが並んでいます。
写真ではなく、絵だからこそそそる食欲があります。
これを読んだら、「この中からど~れ?」と家族でワイワイしながら、お子さんの希望のメニューを作ってあげたいところ。ちょっとハードルの高いメニューもありますが、その辺は上手に上手に(笑)
裏表紙が空っぽの茶碗なのもいいですね。


おちゃわんかぞく

林木林 / いぬんこ 白泉社(2015)
今度は、道具の方にスポットを当てましょう。
ごはんと言えば「おちゃわん」「おはし」ですよね。
なかよくにぎやかなおちゃわんかぞくのお食事の話です。
一番下の「おちびちゃわん」が『おかわりジャ~ンプ』を決めるところなんか、これがしたいばっかりに、おかわりしちゃうかも。
ってことは、この本の後には、軽くご飯を盛ってあげるのもいいかもしれません。
おかたづけのシーンまで入っているので、水でじゃぶじゃぶぐらいまで一緒にやるのも楽しいです。ああ、まさに食育。

食事はやはり体験だと思うのです。
自分で作ったものは食べたくなる。
3歳王子ができるごはんものなら、やっぱり「おにぎり」ですよね。
おにぎりづくりの絵本も、これまた色々あります。
でもまず、シンプルに2冊、おすすめしたいものがあります。

おにぎり

平山 英三 文 / 平山 和子 絵 福音館書店 (1992)

おにぎりをつくる

高山なおみ/文 長野陽一/写真 ブロンズ新社(2020)

どちらも、おにぎりができる過程を丁寧に追っています。
魅力的な絵で見せるか、シンプルな写真で見せるか、という違いがあります。
前者は長年読み継がれる名作で、ごはんのあたたかさや甘みまでが伝わる絵です。後者の方は、写真絵本で、ごはんを炊くところも詳しく取り上げているところも特徴です。
視覚的に、絵より写真の方が入りやすい子もいますので、どちらも試してみてください。
そして、一緒におにぎり作ってくださいね。


それでもやはりお米がどうやってできるかとか、知ってほしい!と思ったら、こちらはいかがでしょうか?

おむすびさんちのたうえのひ

かがくいひろし作・絵  PHP研究所 (2007)

おむすびさんが田植えをする話ですが、ごはんがごはんを作ってるなんて、面白設定でもすぐに受け入れてしまう、愛らしいキャラクターたち。
おいなりさんやふとまきさん、ほそまきさんもやってきて、みんなでせっせと田植えをします。命のつながりを感じられますね。

先日、「かがくいひろしの世界展」https://kagakuihiroshi.com/をみてきたのですが、ここに、この続編のアイディアが展示されていました。もちろん、収穫のお話です。これが、絵本にならなかったのは、非常に残念でした。
収穫して、新しい命が増えていく、その様子が描かれています。


いかがだったでしょうか?
食べ物の絵本って本当に魅力的で、読んだ後におなかがすくのです。だから、「食べなきゃいけない」「食べないと大きくなれないよ」なんていうより、食べ物の本をいっぱい読んでいたら、なんだかんだで食べたくなっちゃうのです。
それだけ、絵本の魔法はすごい。

ただ、絵本を過信してはいけないと思っています。
これを読んだら食べてくれる、わかってくれる…そんな絶対的なものでもないからです。
子育てとは、子どもと親との人間関係です。
数々のコミュニケーションの中で、関係性が培われていきます。
その一つのツールとして、一緒に絵本が楽しめるといいですね。

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