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事実は小説より?

物語の世界には「奇跡」という概念がしばしば登場すると思います。

場面は挙げればきりがないほど。


戦争映画で、全滅寸前の主人公たちに「奇跡的に」応援が来たり、状況を覆す出来事が起きる。

あるいは恋愛映画の中で、今にも息を引き取りそうなパートナーが「奇跡的に」回復してハッピーエンドになったり……


でしょうかね。


そのような型にはまった物語は、観ていてハラハラする……
言い方を変えれば、物語に上手く引き込んでくれます。

ある程度大人になり、たくさんの物語に触れるようになると、
どうしても展開は見えてしまうものの、
わかってはいても、物語を最後まで観る・読んでしまう方も多いのではないでしょうか。

もっと意地悪な書き方をしてしまえば、
「世の中こんな風に上手くいかない」
「せめて、物語の中ではご都合主義の奇跡が起きて欲しい」

そのような思いを持って、物語を楽しむ方もいると思います。


その一方、
「事実は小説より奇なり」という言葉があるように、
こんなことがホントに起きる?

ということが、現実世界で起きるのもまた事実です。


10年以上前の出来事となってしまった東日本大震災。

話題になったので覚えている方もいるかもしれませんが、
津波でほとんどの松が流された中、
たった1本だけ残った松の木があります。

メディアなどでは
「奇跡の1本松」といわれ、
一部の報道機関で取り上げられていました。


ですがこれ、
残ったのはいいものの、やはり何も手を加えなければ
そのまま倒れてしまうくらい瀕死、
いえ、実際はもう木としてはダメだった……
つまりその状態異常に成長することはできない状況だったそうです。

塩分を含んだ海水を大量に吸い取ってしまい、しかも津波で傷だらけになってしまいましたからね。
無理もありません。

ですが関係者の方が奔走し……
それこそ北海道から沖縄、さらには韓国の企業にまで声をかけ、
なんとかその木を保存しようと挑戦した人々がいました。

最終的には愛知県の中小企業の方々が中心となり、
今まで誰も挑戦したことがないことを成し遂げました。

使用する機械などもすべて特注で、
関わる多くの職人さん泣かせだったようですが、
なんとかプロジェクトは成功したとか。


実はこのプロジェクトには反対の声も多かったそうです。
この木がある地元の方々でさえもです。

木を保存するとはいえ、未知のプロジェクトです。

当然多額の金銭が必要ですからね。


当時は津波ですべてを失った方も多いかったわけですから、
「そんなことにお金を使うなら、地元の人々に配れ」
という声もあったとか。

色々な考えがあるとはいえ、難しい話ですよね。


とはいえ、
やはりその木が人々の「支え」になったのも事実でしょう。

メディアに取り上げられ、
地元の小学生などが絵などにも、その松を書いていたそうです。

言葉にして発信する方々は少なかったかもしれませんが、
それが心のより所となり、
少しづつでも前を向いて生きて行こうと思った方は必ずいるでしょう。

たった1本の松の木が、無数の人々の希望になる。

これこそ奇跡でしょう。


私たちは思わず目をそむけたくなるくらい、大変な世界を生きているわけですが、日常の割とすぐ近くに「奇跡」って存在していると思います。

もしかすると……
今こうして生きていけているのも、奇跡みたいなものかもしれませんね。


※画像はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。
素敵な写真をありがとうございます!



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