【note創作大賞2024オールカテゴリ部門】 眠らない男 短編小説 5653文字
ぐうぐう 轟々といびきをたてて眠る男の口は大きく開いて、小ぶりな優子の握り拳ぐらいなら入りそうだった。
男は白目をむいて瞼をぴくぴくとさせ、コメディアンのような古典的なポーズをとってベッドの上に転がって胸板を上下させている。
ホテル備え付けの浴衣がはだけて汗の浮いた胸板がはだけているのが見えた。
時折、ガッと窒息しそうに喉で呼吸をとめるのだが眠りから覚める気配はない。
未明まで激しく抱き合っていたのが嘘のような有様に、優子はおのれの情熱が冷めてゆくのを感じながらSNSの