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【サンリオ展感想】「カワイイ」の中で生きている私たち

引きこもりも程々にしようとハローワークのついでにサンリオ展に行ってきた。毎日バナーを作っていて知識不足に唸っているのでデザインの引き出しを増やすのにも丁度よいかなと思い。

入口、期間中ここのキャラクターは都度変わるらしい

コロナ禍になってから閉館の2時間前くらいに美術館へ行くようになったのだけど、混んでいなくてよい。殆ど人がいなかったので写真撮り放題だった。撮影可の展覧会増えたなあ、まあ写真を撮っていると思考が疎かになるので良し悪しはどっこいどっこいな気はする。じっと作品をみて対話をする意識は撮影していると結構どこかへ行ってしまう。

マイメロディがこんなに推されているの知らなかった
画風の異なるたくさんのキャラクターをごちゃごちゃさせずにうまく配置する技術はすごい


展覧会の趣旨は「60年間のサンリオの歩み」と「キャラクターについて」、「キャラクターとファンの関係性について」だったかなあと思う。例えば以前にPIXAR展へ行ったときはどうやってキャラクターを造型しているかの微に入り細に入りの話が主体だったので、私が想定していたものと少し違った。どんなふうにキャラクターが生まれるか、そのストーリーについてのキャプションが多く、構造的な話はメインではなかった。グッズビジネスのサンリオにとってキャラクターの誕生で最も重要なことは「かわいいかかわいくないか」だけだそうなので、映画の中でどう動くかが重要なPIXAR(ディズニー)のキャラクターとは制作の意図が異なるということなのだろう。

サンリオと言えばコラボ! ということで現代アートがままあったのは嬉しい誤算だったな。最初に目に飛び込むのはサンリオのキャラクターが天井高くまで連なっているこれ。反対側にはぬいぐるみのあふれたベッドがある。歪んだ時計、開いたままの窓、誰の思い出の中にも(意識的であれ無意識的であれ)存在している「サンリオ」キャラクターの夢。

時計が13時まであるので異次元
開いたままの窓のところに眠れるキティがいて、
家具を巻き込んであふれてゆくぬいぐるみたち
あまり新品ぽくないところがポイントなんだろうなと思う

こういうの楽しいよね。


最初の「キャラクター的なデザイン」だったLove isは水森亜土さんの影響を受けているという説明だったような気がする(この写真にはないのだけど三つ編みの女の子がいるのだ)。Love isのデザインよかったな、復刻してくれていいんだが……? と思った。亜土ちゃんは両親が好きで子どもの頃たくさん家にあった。振り返ると我が家、私がディズニーに入れ込む以前からキャラクターものがあふれていたような。そんな思い出も甦る。

Love is
りんごのやつ、デザインもコンセプトもすごく好きだなあ ほしい
こんな職場で働きたすぎる
「カワイイ」とは何か? 突き詰めてみると哲学


中盤はがっつりサンリオのキャラクター紹介。代表的な子たちはブースがあり、それ以外の子はキャプションにまとめられていた。おさるのもんきちがいたのエモ~、私の小学校時代のあだ名はこいつから付いた……。小学校低学年くらいまでハローキティのアニメを観るの大好きだったんだよなあ! キティとミミィの双子が好きだったのだけど、そもそもキキララが好きだったし、ペティ&ジミーも好きだった! ふたりっこみたいなコンビキャラが好きだったのだなあと気づかされる。

サンリオ展で初めてマイメロディがサンリオの古いキャラクターで赤ずきんモチーフだということを知る。そうなんだ。

キティがこんなに人気になるとは考えていなかったらしい
キキララはかわいい、正義
かーーーーーーーーーーーわ
キキのお星様はジェット、ララのステッキは方向を決める
なぜおさるのもんきちからあだ名が付いたのかは謎
ファンコミュニティの力で商品化まで生き残ったゴロピカドン
待って!??! あれはマロンクリームでは!???!?!?!?!
あまりにもかわいいが過ぎるマロンクリーム
ひええ…… かわいい……
かわいいオブかわいい、メルヒェン、大好き
ポムポムプリンが初登場したときのことを覚えている世代

写真で一番遠くに映っているのはみんな大好きシナモロールだよ。シナモンロールじゃないよ。シナモロール。

私、にしまきかやこさんの『わたしのワンピース』という絵本が大好きで、いやもうこの絵本が一番好きで好きすぎてボロボロにしてしまったくらいで、同じくうさぎのキャラクターだったマロンクリームも好きだったんですよね……(子どもなので"同じ"笑)。まさかグッズごと紹介してもらえているとは思わなんだよ。キティたちのシンプルなフォルムのキャラクターとはまたテイストの異なる、繊細なタッチがかわいい、マロンクリーム。

『わたしのワンピース』はうさぎさんが作ったワンピースの柄が通る場所ごとに変わってゆくのが素敵なお話。

閑話休題。


ダニエルが映ってない(ダニエルもいるよ)

ピューロランド、一度は行こうと思いながら私の意識の中でディズニーランドに勝てずにいる夢の土地……。USJも行ったことがないのでピューロがどうとかではなく「お金があるならディズニーランドへ行きたい」が常在しているだけで本当にいつか行きたいとは思っているピューロ。私もキティを撮りたい。かわいいお洋服たくさん持っているよね!

と、そんなわけで、どーん。

キティ・ホワイトの身長はりんご5個分です
けっして私より大きくはない
鼻の形だけでキティだとわかるのではないかと思った

ハローキティの造型は、口がなくシンプルな線で出来ているのが特徴だけれど、全体的にコンセプチュアルでミニマルだな、と鼻をアップで撮ってみて考えた。キャラクターが浸透しきっているのでパーツだけで十分にキティだと認識できる(ミッキーやミッフィーなどもそうだ)。もう概念。ミニマルとは「できる限り最小の」という意味で、デザインのトレンドになっているが、1974年に生まれたハローキティが現代でも違和感なく通用する理由はそこなのだろうなと思う。サンリオの代表キャラクターであるキティのブースはまた別にあるので答え合わせはそちら。

ちなみにここはグッズの展示ブースだった。

ザ ボードビルデュオもめちゃくちゃ好き
ふたりぐみ、というのが私の好みのミソなのだと理解
山梨シルクセンターの系譜よりサンリオグリーティングの系譜が強いほうが好きなのかも

さまざまなキャラクターがいるので「どういうデザインが私の好みなのか」というのがわかって興味深い。ディズニーだと映画のストーリーがあってキャラクターの造型と共に性格や行動をよくみてしまうところがあるから、単にデザインとしての好みはどれか、というとまず「ふたりぐみ」で「色彩は淡め」で「線ははっきりしすぎていない」ほうが、私の嗜好に合致しやすいのだとわかった。あと、ファンタジーよりはがっつり欧米テイストのもののほうが好き。

デザインの勉強をし始めてから「私、青と黄色の組み合わせが妙に好きなんだよね」と弟に話したら「ドナルドじゃん」と言われて腑に落ちたのだけども(全世界のキャラクターの中でドナルドが一番好き)、そういえば最近作るものは大体ピンクと水色……淡いトーンなら絶対的にピンクと水色が好き……えっ、もしやルーツはキキララ!? と本展で思った。保育園のときはキキララばかりだったし、三つ子の魂百までというやつかもしれない。

それこそ、最初のアートである「誰の思い出の中にもなんとなくサンリオがいる」の体現みたいだなあ。


そして、我らがハローキティのブース。強火。

オールドキティ
「頭小さくなってんのやで」と言われて気づく
キティは時代を映す鏡、トレンドリーダー
HELLO KITTYのロゴもいろいろ
現在に近づくほどどんどんシンプルに
パーツだけだって色を変えたってキティだとわかる
欧米向けの「KAWAII」より「SEXY」なキティ
次の時代へ

パーツだけ、あるいは色を変えてもキティだとわかる、やっぱりキティはコンセプチュアルでミニマル。リボンだけでどのキャラクターかすぐに判別がつくのはハローキティかミニーマウスくらいではないかと思う。

頭が大きいと子どもっぽくなるので、一回り小さくなったあたりから大人カワイイに変化している。写真を撮らなかったのだが懐かしのピンクキルティングキティのグッズも展示されていた。少し年上のギャルのおねえさんたちが挙って持っていたやつだった。大人だって「かわいい」を楽しんでいい、年齢に縛られることはない、キティからのメッセージ。

顔がなくてもフォルムとリボンでキティなんだよなあ
レディ・ガガが着用したキティドレス、のレプリカ
意味わからんがすごい


最後は現代アートとのコラボレーションだった。「サンリオ」に思い描くイメージはさまざまで、「カワイイ」は人の数だけあるのだ。

マイメロディの赤ずきんってどうなってんの? との疑問から着想した作品
作家が持っていたキティのデジタル時計の思い出から
懐かしく、心地好い
キティが座っただけで木を割っている姿に二度見した
「人智を超えた圧倒的な力(150t)」というキャプションが付いている

最後の「脱皮するキティ」が一番好きだった。


サンリオは確かに幼少期からずっと身近だった。普段は特別気にして見ているわけではないけれども恐らくいつも無意識下にはあって、だからこそ紐解いてみると思い出だけではなく好みや思索もするすると生まれたのだろうと思う。

最後は、サンリオが誕生した理由として「反戦」が取り上げられていて、キャラクターの造型について「かわいいかかわいくないか」だとの説明がありつつも、それ以外に「平和的である」というのが重要なのだろう。そしてファンコミュニティをものすごく大事にしている。ファンからの声で生き残ったゴロピカドンや、そもそもサンリオの顔であるハローキティも、元はプチパースの6種類のキャラクターのうちの一個体でしかなく、一番売れたから単体キャラクターになったわけで、サンリオはファンがキャラクターを育てているのだ。(マイメロディのママのグッズが話題になったのはつい最近のことだけれど、サンリオが何を大事にしているかというのはこのあたりから明白だなと思った。時代性、ファンコミュニティ、そして平和的である、ということだ。それからファン同士の意見交換をサンリオは何ら否定しないというのも過去のいちご新聞の方針からよくわかる。)

面白かったので勢いで展覧会まとめ。


トートバッグやっぱり買えばよかった~と思っているのでグッズだけまた買いにいくかもしれない。缶のデザインがとてもよい。かわいい。かわいいは正義。

展覧会のデザインシンプルなのにえらいかわいいよな
中身は金平糖(早速弟に開けられた)
かわいいクッキーとかじゃないんだ(瓦焼きせんべい大好きだが)


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