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三咲 薫さんインタビュー「文章を愛し,人に寄り添う」

今回は,「あなたの『書く』に寄り添う」をモットーに,フリーランスのwebライターのかたわら「添削屋さん」をされている三咲さんにインタビューをさせていただきました。

現在の活動に至った経緯,その活動への思い,またそれらの軸にある文章への愛について,お話を伺いました。


―――改めまして,よろしくお願いいたします。

よろしくお願いします。

「添削屋さん」とは

―――早速ですが,私は「添削屋さん」という言葉を初めて聞きました。これはどのようなものなのでしょうか?

そうですよね,添削屋さんという言い方はあまり一般的ではないと思います。文章のチェックというのは大きく分けて,校正・添削・校閲の3つに分かれます。校正は,ほぼ誤字脱字のチェックをするだけで,仮に文章が少々間違っていても手は加えません。それに対して添削は,「添」が「付け加える」,「削」が「削除する」という意味であることからも分かるように,文章そのものに手を入れます。そして校閲は,私はあえてこれをやらないのですが,事実関係や固有名詞,年号などが正しいか,そういうことも含めてチェックするものです。私は,この中で添削をメインでやっています。また親しみやすく感じてほしい,という思いから,「添削屋さん」と名乗っています。

―――そうですか,ありがとうございます。文章のチェックといってもいろいろあるのですね。「添削屋さん」として活動を始める前にも,人の文章を見る機会はあったのでしょうか?

私は以前から趣味,というよりライフワークとして小説を書いております。それを小説投稿サイトの「エブリスタ」で発表していたんですね。その中で,他の書き手さんの作品も読んでいたんですけれども,「ちょっと文章をみてほしい」というご要望をいただくことが結構あったんです。それを受けて,「こうした方がいいんじゃないですか」とアドバイスして添削するようになったのがきっかけです。なので,最初は趣味として添削をしていました。

エブリスタ→「気軽に書ける・読者に出会える」と銘打たれた,小説投稿サイト。恋愛小説やファンタジー小説など様々なジャンルが投稿されており,書籍化された作品も多い。

https://estar.jp/

―――そうだったんですね,ありがとうございます。先ほど校閲はやらないことにしていると伺いましたが,それはどうしてですか。

校閲というのは,やっぱり経験者じゃないと駄目だと思うんですね。ちゃんとした出版社や新聞社の校閲部を経験してない者がやるのは,おこがましい話かなと思ったんです。

―――なるほど,そのように考えていらっしゃるのですね。添削の活動をされていて,三咲さん自身にとってもメリットだと思うことはありますか?

喜んでいただけることが,やっぱり嬉しいです。これまで依頼してくださった方々がそれぞれにすごく喜んでくれて,自分も嬉しくなり仕事の手応えを感じました。もう一つ大事だと思うのは,自分自身が勉強になるということですね。他の人の文章がどうしたらもっと良くなるか考えると自分自身も鍛えられるので,自分で小説を書くことと並行してやっていきたいと思っています。

―――今のところ,このサービスをどんな人に利用して欲しいとお考えですか?

そうですね。今はnoteの利用者の皆さんにお声かけしてるんですが,いずれは自分のサイトを作って手広く一般に呼びかけたいと思っています。

―――なるほど。対象者としては,「小説の賞に応募したい」という方から「文章が好きだから書いている」という方まで幅広く参加して欲しい,ということでしょうか?

はい。最近kindle出版や自費出版をされる方が多いので,そういう方からの需要もあるらしくて。なので,そういった方々を念頭においています

中途採用・退職・フリーランスへ ―添削屋さんへの道―

―――ありがとうございます。添削についてはまた後ほど詳しくお聞きしますが,先に今の活動に至った経緯についてうかがいたいと思います。事前に,現在40代前半であること,7月いっぱいで中途採用で入社した金融機関を退職されたこと,現在はクラウドソーシングでwebライティングの依頼を受けていること,などをうかがっております。まず,前職を卒業しよう,仕事を変えようと思った理由について三咲さんの言葉で説明いただけますでしょうか?

はい。まあ,仕事自体はそんなに嫌いなわけではなかったんですが,会社の体質はあんまり合わなかったんですね。それもあって,人生の後半戦に差しかかっていることを意識したときに,「やっぱり自分が,一番好きで得意だと思っていることを仕事にしたい」という思いが強くなり,踏み出しました。

―――なるほど。以前から,ご自身で自分の人生を切り開いていくタイプだったのでしょうか?

わりとそうだと思いますね。

―――現在のフリーランスでの働き方もそんな生き方の一つ,ということでしょうか?

はい。気持ちとしては,ようやく自分が本当にやりたいことにたどり着けたなぁ,という気持ちですね。

―――それは素敵ですね。色々なことをやって変化に向き合うのは,不安がつきものだと個人的には思うんですね。それに立ち向かっていく根本的な自信のようなものは,自分のどこから生まれてくると思いますか?

自信ですか? まあ,そんなに自信ある人ではないんですけど。でもやっぱり自分の納得する生き方をしたいというか,後悔したくない。そういう気持ちはすごく強いんです。実際には紆余曲折して後悔したことも沢山あるんですけれども,その時々で,「やっぱり自分は1番こうしたい」とか「これが正しいと感じる」とかその時に信じられる道を選びたいと思って生きてきました。

―――人生の節目節目できちんと決断されて,その度に自分の心が動く行動をしてきたんですね。前職の金融窓口からフリーランスですと,かなり変化が大きいように感じます。三咲さんの中で,特にこの変化が大きかったと感じたのはどのあたりでしょうか?

まあ,毎日勤めに出なくなったのは,やっぱり1番大きいところです。自分の好きなように丸一日使えるんですが,これが少し怖いところでもあります。気がつくと自分の好きなことばっかりやってたりとか,そういうこともあるので。なのでメリハリをきちんとつけようと,勤めていた時と同じタイムテーブルで,仕事や勉強をするようにしています。

―――フリーランスになった後でも,自分を律して活動されているんですね。フリーランスになった理由の1つとして,「将来の年金も当てにならないし,それだったら自分の好きなことで働き続けられるようにしたいと思った」と事前にうかがいました。三咲さんにとっての理想の将来像はどのようなものなのでしょうか?

先ほども言いましたように,ライフワークは小説を書いていくことなので,そのために普通に健康に生きていければいいと思っています。でもまあ年金のお話は確かにありまして,ねんきん定期便とかを見てちょっとびっくりしてしまって。実は私,月10万円も出ないんです。若い頃フラフラしていた時期があったので。それだったらいっそのこと,一生やっていけて好きなことと並行してできる仕事を考えて,webライティングを選択しました。さっきも出てきた「エブリスタ」は結構交流が活発で,そこでの友人でwebライティングに詳しい方にいろいろ教えてもらいました。

―――今回,添削屋さんですとかwebライターですとか,文章にまつわる仕事についてお話をうかがっていますが,以前にも文章にかかわる仕事について考えたことはあったのでしょうか?

そうですね。子供のときから,本を読んだり物語を書いたりすることは本当に大好きで,子供の時の将来の夢は,やっぱり物書き。あるいはジャーナリストとかを考えていたんですね。ただまあ,大学を中退したり,いろいろ挫折しちゃったのもあって,その時にはもう諦めるしかないと思ってました。でもその後,本当にありがたいことにネット時代の到来が,誰でも自分の小説を発表したりライターとして仕事をしたりする機会を与えてくれることに気がついたんです。昔は出版社や新聞社に入ったり,公募に出して受賞したりしなければ,自分の書いたものが多くの人に読まれることはなかったと思うんです。でも今はサイト上でいろいろな人に読んでもらうこともできますし,ライターとして仕事をするハードルも低くなっています。この時代の流れに感動して,「やっぱり夢を実現したいな」と思うようになりました。

―――そうですね。以前はそもそも発信するメディアの種類が,本や新聞などプロが作っているものに限られており,多くの人に読まれるか否かはそういった場所に載るかどうかにかかっていましたね。それが今では,本当にがらりと環境が変わりましたよね。そんな時代の流れとともに,フリーランスという働き方も一般的になってきて,三咲さんの中でも文章を仕事にすることが,もう一度選択肢として浮かび上がってきた,ということでしょうか?

はい,そうです。

―――ありがとうございます。今実際にされているwebライターのお仕事ですが,その楽しさ,あるいは大変さについて,三咲さんはどのようにお考えでしょうか?

楽しさとしては,自分ではあまり考えたこともないようなことを調べて書くことですね。webライティングをやる人は一般的には自分の得意分野を作って,それでやっていくようにした方が良いって言われています。でも私はまだ初心者なので,よほど変なものでない限りはとにかく応募してるんです。特に私の場合,今のところYoutubeのシナリオや小説を書いているのですが,それもクライアントさまのテーマに合わせて書くのでそれはそれで面白いです。大変というより,やっぱり面白い方が多いですね。

―――なるほど,webライティングの仕事も楽しまれているんですね。

「小説執筆はライフワークです」

―――次は,「小説執筆はライフワーク」という思いについてお聞きします。これについて,まずは三咲さんの言葉でご説明いただけけますか?

そうですね。とにかく自分がこれまで生きてきて,やっぱり大好きなことなんですよ。これがあれば生きられるし,一生やっていきたいって思うことなんです。私人付き合い自体は別に苦手ではないんですが,喋るのけっこう下手なんですよ。でも文章だと,自分の思いを結構すんなり出せるんです。そういう意味でも,文章を書くことはやはり1番素直な自分を出せることであり,しかもそれを作品として受け止めてくれる人がいるので,嬉しいんです。

―――なるほど。ありがとうございます。小説を書くことに対しては,まずは根っこに「好き」という気持ちがある。その上で「これがあれば生きていける」「ここだったら自分を表現できる」みたいな,動物としての生きる過程ではなく,人間として自分らしく生きるために必要なものでもある。だから,一生やり続けるライフワークである,といったことでしょうか?

そうですね。ありがとうございます。そういうふうに言っていただけるとすごく嬉しいですね。

―――すみません,勝手に感動してしまいました。素敵な思いを教えていただき,ありがとうございます。

―――3年ほど前に,友人に勧められて「エブリスタ」に初めて投稿したと事前にうかがいました。「エブリスタ」に投稿される以前にも,書いたものを他の人に読んでもらっていたのでしょうか?

そうですね。ごく親しい人に読んでもらったり,Facebookに上げたりしていました。それでFacebookの友達から小説投稿サイトというものがあることを教えてもらい,早速やり始めました。

―――元々小説投稿サイトを知らなかったとのことですが,知った時の第一印象はどのようなものでしたか?

最初はどうなんだろうと思いましたね。でも実際にのぞいてみると,本当にいろんなタイプがあるんですよ,ラノベもあれば重厚な作品もあったり,それまで全く触れなかったBLなどのジャンルがあったり,何でも許される雰囲気を感じました。よっぽど公序良俗に反するとか,過激すぎるとかでなければほぼ自由。皆自分の作品を発表していて,個性的な方もいっぱいいらっしゃるんです。web小説に対する最初の印象は良くなかったんですけど,実際のぞいてみたらだいぶイメージが変わりました。

―――ああ,そうだったんですね。それまで三咲さんが触れられていた小説とweb小説の違いといったものは何か感じられましたか?

web小説の方が,少し自由度が高いかなって感じますね。クオリティ的にもプロの作家さんに劣らない方もけっこういますし,刺激があっていいです。

―――分かりました。ありがとうございます。先ほど「エブリスタ」というサイトは,横の交流がかなり盛んであるとうかがいました。創作活動は,孤独なものになることもしばしばかと思います。その中で,エブリスタでの交流は三咲さんにとってどのようなものなのでしょうか?

やはり自分が書いた文章にコメントを寄せられたりしたら,ものすごく嬉しいですね。直接反応を受け取れるのは,webならではかと思います。
あとは,本当に文章が好きな人が集まっているので,アマチュアといえどもそれぞれが自分の意見を持っているんですね。なので,基本的な小説技法から小説を書く姿勢まで沢山の刺激を受けて,「よし,自分も頑張るぞ」と思わせてくれるものがあります。

―――確かに反応がくることは幸せですよね。先ほど作品の発表の場がwebによって増えたと仰っていましたが,自身の感想や意見を言う場も同時に増えたので,作品に対する反応をより受けられるようになった部分もあるように個人的には感じます。また,互いに高めあう戦友のような存在を得られる場所,という面もあるのですね。
その戦友のような方々からの励ましや助言によって,webライターに踏み出せたと事前にうかがいましたが,具体的にはどのような流れだったのでしょうか?

まず,エッセイで前職について書いていたんです。そしたら,それに対して,「その仕事やめたほうがいいんじゃないか?」とか「このままいくと精神もちませんよ」みたいなことをずっと言ってくれるエブリスタの友達がいたんです。その人は,例えば仕事辞めた場合には雇用保険があるとか,具体的なことをいろいろと教えてくれたんです。それで背中を押されました。
また他の会社への転職ではなくフリーランスにしたのも,実際にフリーランスでwebライターを長年やってらっしゃる方が手とり足取り教えてくれたからなんです。当時の私は,クラウドソーシングどころか,wordも使えなかったのですが(笑)

―――ネット上のご友人の方々が,親身に寄り添って助けてくれたことで,今webライターとしてご活躍されているんですね。

そうですね。だから本当に,人の縁の繋がりを感じています。たとえ顔や本名を知らなくても,助けあえる関係性というか。いろいろな人の働きかけやアドバイス,励ましのおかげで一歩踏み出してここまでこられたので,本当に感謝しています。

―――そうですか,自分を助けてくれたご縁に感謝しつつ,今自分がやりたいこと・やるべきことに突き進んでいらっしゃるんですね。とても素敵だと思います。

―――ここまで文章にまつわる話を聞いてきて,三咲さんは本当に文章が好きなんだと感じました。逆に,これまで文章を書いたり読んだりすることから離れていた時期はあったのでしょうか。もしありましたら,そこから今の状態に戻った時のことなどもお聞かせください。

うん,それが実はあんまりよく分からないんですよね。学生の頃まではちょっと小説を書いてたんですが,それから10年以上は書かなかったんです。でもある日,何の気になしにノートに書き始めて,そしたら楽しくって,ネットという発表の場もあってより気持ちが乗って……といった具合でした。

―――そのきっかけは,書きたいネタが突然出てきた,といったことだったのでしょうか?

うーん……その時書き始めたのがパロディだったんですよね,「ロミオとジュリエット」の。ジュリエットの婚約者であるパリス伯爵の扱いについて子どもの頃からひどいなと感じていたんです(笑) 何も悪いことしてないし婚約者なのに,嫌われたり悪者扱いされたりで……なので,彼の視点から書いてみたくなったんです。考えてみると,それがまた小説を書き始めたきっかけでした。結末は原作と同じで皆死んでしまうんですが,彼がロミオとジュリエットを結び付けようとしたものの失敗してしまった,という話にしました。

―――理不尽な扱われ方をされている登場人物に同情を寄せ,その人の本当の思いを描こうとするとは,人の気持ちをすくい上げ寄り添うことをモットーとする三咲さんらしいですね。

そうですかね,ありがとうございます。


「良い文章」とは何か

―――先ほど,web小説にもたくさん良い小説があると仰っていましたが,三咲さんにとっての「良い小説」というのはどのようなものなのでしょうか?

それもいろいろありますが,やっぱり私はわりと文章にこだわる方なので,「上手な文章かどうか」はかなり注目しますね。まあ,何が上手な文章かも一言では言えないんですけどね。読みやすくて分かりやすく,でもなにか一味違うように感じる文章かな? とは思うのですが。

―――確かに「上手な文章」というのも,場面や読む人によって違うなと私も感じます。ただ三咲さんにとってのそれは,読みやすい文章でありつつも,教科書通りのものではなく,その人の個性がチラッと光るものなのでしょうか?

あ,そうですね。まさにそんな感じです。

どんな「添削屋さん」を目指しているか

―――ここまでwebライティングと,小説の執筆に関してお話をうかがってきました。次はいよいよ「添削屋さん」についてです。

―――「あなたの『書く』に寄り添う」をモットーにしているとうかがいましたが,どうしてこれを掲げたのでしょうか? 意見をバンバン言う添削も,スタイルとしてはありだと思うのですが。

ここは,実は本当にこだわりがあるところなんです。確かに「ここはダメ」「ここはおかしい」とたくさんダメ出しするような添削の仕方もあると思います。ですがなんというか,私自身が書くことが好きで,より良い文章を目指す中で,真剣に書く人は自分の中の何ものかを表現しようと苦労して文章を書いている,という実感があるんです。だから,出てきた文章に対してとやかく言うというよりも,書いたの人の内面やそう書きたかった理由,本当は何を書こうとしてるのかなどを,最大限尊重したいんです。だからこそ相手の話をよく聞き,寄り添い,「こういうふうに書くのはどうですか?」とアドバイスしたいと思っているんです。

―――つまり,文章は文章だけで存在しているのではないのだから,その背景にある作者さんが伝えたいことをきちんと引き出し,伝えられる文章にしたい。だからこそ,作者さんに寄り添う添削を心がけている,ということでしょうか?

はい。そんな感じです。

―――なるほど。三咲さんにとっての「寄り添う」は,そういうことだったんですね。それ以外にも,力を入れていることがあればお聞かせください。

そうですね,似たようなことにはなるんですが,相手の「文章を書くことが楽しい」という思いを潰さないように気をつけています。例えば「こう書いた方がいい」という指摘だけだと,その人の書きたい気持ち自体を落としてしまうこともあると思うんです。そういうふうには絶対になってほしくないので,むしろ「もっと書きたい」と思ってくれるようなアドバイスを日々模索しています。

―――ありがとうございます。相手の気持ちを,そういった面でも大切にされているのですね。そのようにさまざまなこだわりを持って添削をされている三咲さんですが,添削は作品の正確性を上げるという本来の目的以外にも,どのような役割があるとお考えでしょうか?

ちょっと偉そうな言い方なんですけど,他の人の文章を読んでいると,もったいないと思うことってけっこうあるんですよね。すごく良いことを言おうとしてるのに,漢字や句読点の多用で読みづらくなってしまったり……だから,そういうことも含めて,その人の文章がより多くの人に読まれるためのお手伝いをする役割というか……ちょっとうまく言えないですが。

―――いえいえ大丈夫ですよ。私が今お話をうかがって感じたのは,やっぱり文章を1人で書いていると,意図しないところで読みづらい文章になっていることってけっこうあると思うんですね。でも他人の目が入ることによって,そういったものを見つけて作品の本来の輝きを保つことが出来る。それによって,その作品は添削前よりももっとたくさんの人に楽しんでもらえる,といったことでしょうか。

そうですね。作品を磨き上げるというか,そんなお手伝いができたらいいなと思ってます。

利用者さんの声・思いの伝播

―――今利用者の方々からの感謝について話されていましたが,ご自身のぺージでサービスの利用者の方々の声を紹介されていたかと思います。それを読ませていただいたのですが,「厳しい言葉など1つもない」ですとか「文章への自信を回復しつつある」ですとか,「ハートフルなアドバイスだった」「面倒見がいい方だった」「義理堅いと感じた」など,かなり印象的な言葉が多いと感じました。

はい,そういったことを言っていただいてものすごく嬉しかったです。

―――そうですよね。こんなことを言われたら添削屋さん冥利に尽きるだろうな,と感じました。これらの言葉を受けて,ご自身どのように感じたのか,具体的にお話しいただけますか。

はい。自分自身が心を砕いて意識してやっている「寄り添う」という部分が,相手の人にも伝わったと感じ取れて,なんというか,本当に嬉しかったです。

―――そうですよね,利用者の方々は三咲さんが意識していることをきちんと受け取ってくださっていますよね。「文章の自信を回復しつつある」っていうのはおそらく,文章の裏にあった書き手の思いを三咲さんがきちんと見出してくださったから,というのもあると思います。またここまでお話を伺ってみて,三咲さんは周りの方々との繋がりを大切にする方なのだと感じました。そういった面が,「義理堅い」「面倒見がいい」といった印象が利用者の方にも伝わっているのかなと感じました。

―――このようにクライアントに思いが繋がっていることが本当に嬉しく感じるということですが,これまでにやってきたお仕事と比較した場合にはどう感じますか?

そうですね,会社員のときはマニュアル通りにやることが仕事だったので,それを考えると今は比べものにならないほどのやりがいを感じますね。自分がやりたいことをやって,目指していた反応をいただくことは,何ものにも代えがたいというか。本当それ自体が喜びだし,自分の生きがいにもなるなと思います。

―――何ものにも代えがたい喜び。素敵ですね。それでは添削屋さんとしての活動は,並行してやっているwebライターと比較するとどのように感じますか?

webライターの仕事はやっぱりクライアントさまの意向に沿ったものを書くことなので,そこは割り切らないといけないんです。例えば商品を売りたい人に対して,いかに商品が売れやすくなる文章を書くか,といったことですね。実際,マニュアルやノウハウもそれなりにありますし,会社での仕事と本質的にはそんなに変わらないと思います。なので,やっぱり添削屋さんが一番自分が手ごたえを感じるものだと言えますね。元々書くことが好きなので,webライティングも楽しいんですけどね。

―――ありがとうございます。やはりただマニュアルや指示に沿うのではなく,相手と真正面から向き合い,求められるものを目指した結果相手に喜んでもらえる「添削屋さん」に最もやりがいを感じているのですね。

文章との関係を振り返る・見据える

―――ここまで様々な視点から文章についてうかがってまいりましたが,改めて三咲さんにとって「文章と関わる」とはどのようなものでしょうか?

まぁやっぱり……「好き」。ただ「好き」の一言に尽きますね。そして,自分の得意分野だと思うところでもあります。

―――生きがいとしての小説執筆や,喜ぶ人の顔(メッセージ)が見られる添削屋さん,新しい世界を知ることができるwebライティング…様々な形で文章との関わり方について,「好き」という感情面と,「得意」という自分の認識が同居しているのですね。

―――そのような文章とのかかわり方がたくさんある中で,フリーランスという「挑戦」の道を選ばれましたが,現在の心境にはどのようなものですか?

「幸せだな」というのが7割。「不安だな」というのが2割。あと1割は……なんだろうな……やっぱり「ワクワク感」ですかね。

―――様々な感情が入り混じっているのですね。ワクワクがあるということは,現状に満足しているのではなく,未来を見据えているのかな,と感じます。なにか,将来的に実現させたいことはありますか?

そうですねやっぱりライフワークの小説執筆については……今もいろんな新人賞に出しているので,挑戦し続けたいなと思います。webライターとしては自分の知見を広げること,添削屋さんとしては依頼者さんが伝えたいことがよりよく人々に伝わるお手伝いをすることを続けたいです。

―――ご自身が40代前半であることに対し事前に「けっこうな歳なんです」と話されていましたが。今後やりたいことがまだまだたくさんあるのですね。本当に素敵だと思います。それらがどれも,良い方向に向かうことを祈っております。これからも応援しております。

―――本日は,貴重なお話をありがとうございました。

ありがとうございました。

あとがき

今回三咲さんのお話を伺い,私は
①好きで得意なことを,磨く決意をした方の芯の強さ
②やりたいことと年齢の関係のなさ
③相手に真摯に向き合い,寄り添うこと
④③による相手との心の通い合い・ご縁

を主に感じ,どれも美しく思いました。

また最後に三咲さんから,「途中で自分でもよく分からなくなることがあったが,丁寧にまとめてもらえて安心した」というお言葉もいただきました。
インタビュアー冥利につきる,大変光栄なお言葉でした。

三咲さん,ここまで読んでくださった方々,本当にありがとうございました!




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