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【読書感想文】夜を乗り越える


夜を乗り越える 又吉直樹さん


ピースの又吉さん。『火花』で芥川賞を受賞した作家でもあり、大の読書好きで有名な又吉さんが、「どうして本を読むのか?」について書いている本。


本を読む理由がわからない方、興味はあるけど読む気がしないという方々の背中を頼まれてもいないのに全力で押したいと思いますので、おつき合い頂ければ幸いです。


と、最初に公言している様に、とっても分かりやすく


なんで本を読むの?

文学のなにが面白いと感じるの?

なんで本を書く側にもなったの?

どんな本がどんな風に面白いの?



について書いている一冊。




もともと本が好きな人にとっては、もう間違いなく面白いと思う。

さらにお笑いが好きだったらもうね、直球ど真ん中ストライクだと思う。

お笑いについても書いているから。最高のさいこうです。



又吉さんが「本を読むことの面白さ」について真剣に考えて、言葉にして、考えて、文章にして、この本を通じて伝えてくれている。


だからなんだか、「本を読むことが好きな自分」を肯定されたような気持ちになった。




そして、又吉さんという人間をとっても好きになった。もともと素敵な人だなと思っていたけど、さらに好きになった。



本はもちろん、太宰治をはじめとする作者の方々、作家だけではなくすべての創作活動をする方々、相方の綾部さん、言葉を文章にして世に送り出すという事、これらすべてに又吉さんの真剣さと、尊敬の念と、熱い想いと、愛をたくさん感じた。



テレビでは、根暗で”陰キャ”と呼ばれるような印象を強く持つけど(本人も、実際自分は悲観的と言ってる)だけどなんか、違うよね、なんていうか・・・

なんて表現すればいいんだろう。ここまで書いて手が止まってしまった(笑)。




信念があるっていうのかな。



根暗って言うと「自分なんか‥それに比べて周りは‥」みたいに自分の存在と未来に対して、周りと比べてすごく悲観的に捉えてる印象がある。


だけど、又吉さんは「本が好き」「この作家さんはここが、こうゆう風にすごい」という風な"自分の好き"に対して自信を持っているのがすごく伝わってくる。だから、信念がある。そこがすごく魅力的だ。かっこいい。




この本を読んで、太宰治の『人間失格』を読もうと決めた。いや~だってそんなに熱弁されたら読みたくなるわ~って(笑)


「読んでみてください、おすすめです」なんて一言も書いてないのに。すごいなぁ、あの愛と熱量。そしてそれをちゃんと言葉にして文章にして伝わってる感じ。”さすが”という言葉で片付けるのは失礼なのかもしれないけれど・・・さすが作家さんと言いたくなる。




いつも本を読むときは、心に残った文章をメモしているんだけど、今回はそのメモの量がめっちゃ多いです(笑)

選びきれないけど…その中でも特に「ぐは~~すごい」ってなったのをいくつか。


本は僕に必要なものでした。本当に必要なものでした。自分を不安にさせる、自分の中に異常と思われる部分や、欠落と思われる部分が小説として言語化されていることが嬉しかった。



綾部は誰にも気づかれていませんが、一瞬の閃きに関しては同世代ではトップレベルというか、敵がいないほどの才能があるんです。綾部はですが、発想だけは誰かとの類似性がない。まだ世に出てない何かを生み出す能力が突出しています。



なぜ多様な視点や考え方を持つ必要があるのか。極論を言うと全人類が同じ考え方しか持ってないとしたら、ひとつの失敗で全員が死ぬからです。





読めて良かった。また読むど!





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