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【読書感想文】レインツリーの国

レインツリーの国 有川浩さん


恋愛って、究極の内省なのかなぁ。人と人との話だけど、とても近いところのパートナーという他人がいる分、嫌でも”自分とは”を見つめてしまうよね。


ページ数も少なくて、サクッと読める。ほっこり、だけじゃないけど、読んでいてよかったぁと安心するような本。うん、読めて良かった。




あらすじは、こんな感じ。

高校生の時に読んだ、ラストが衝撃的過ぎて忘れられない本がある主人公の伸行。社会人3年目になってふとその本について検索してみると、自分と似たようでちょっぴり違う真摯な感想を書いているひとみという女性を見つける。勇気を出して伸行が送ったひとみへのメールから、2人のやりとりが始まっていく‥というラブストーリー。






・・・

なんだこの出逢い!!!

いいなーーー!!!!わたしも好きな本の感想文で、人と繋がってみたいー!!!!!




純粋に「素敵だなぁうらやましいなぁ」と思いましたね。


伸行もひとみも、文章が上手で会話が上手い。

最初はメールでのやりとりなので、文章でのコミュニケーションで少しずつ距離が近づいていく2人。


直接話す時よりも、自分のペースで言葉をしっかりと選べるからなのかな。2人の人柄とかこだわりみたいなものが、上手く表れていている。読者の私ですら読んでいて心地いいから、二人はさぞかし楽しいんだろうな。




そして、伸行の人柄が、良い。とても好き。

冷静にまっすぐに、ちょっとクサいようなことを伝えられるようなかっこいい人。



なんだろう、、私にないところをいっぱい持ってるなぁと思って。

強いて言うなら、”冷静さと自信”かな。


俺は確かに無知であることで君を傷つけた、でも君は傷つけるために俺を傷つけた。‥‥謝るポイントがずれていたのは俺の無知のせいで、少なくとも悪意じゃない。


冷静にひとみからのメールを読んで、彼女がどんな心境で書いてあるのかを想像して、自分がそれに対してどう感じているのかをちゃんと言葉にしている。そして自分の伝えた言葉に対して、”あれに悪意はなかった”と自信を持っている。



自分の大切にしたい人のために、自分は何をするのかという芯を冷静に持っていて。そしてそれを持っている自分に自信を持っているのかな。



そんな伸行のかっこよさを、いいなぁ自分にはないなぁと思ってしまう。



わたしは、多方面に優しくなろうとしすぎて、結局ぜんぶ中途半端になっていて自分が嫌になってしまう事がある。

伸行みたいな芯をしっかりと持てたら、切り捨てるところはばっさり切り捨てて、自分の大事にしたいものをちゃんと守れるのかなぁ。せめて、守ろうとする自分であれるのかなぁ、なんてね。





1人1人が、それぞれの痛みをもっていて、それが分かりやすい形で表れていたり、そうでなかったり。似たようなもの痛みを持っていたとしても、その捉え方は人によって全く違うもので。


その痛みが、ある人ない人って境界線を引いたり、比べたり、それについて話すことがタブーみたいな雰囲気がきっと一番よくないのかなとも思った。

この本にも実は、”障がい”に関することが出てくる。考えさせられたり、自分の行動とか考えを振り返って反省したりして、なんだか読んでて辛くなる部分もあると思う。わたしにはあった。


でもそんな”考える事”、”感情が動くこと”、本の中でそれをテーマ(の一つ?)として書けることが、大切なことなんだろうなと思った。



痛みにも悩みにも貴賎はない。周りにどれだけ陳腐に見えようと、苦しむ本人にはそれが世界で一番重大な悩みだ。救急車で病院に担ぎ込まれるような重病人が近くにいても、自分が指を切ったことが一番痛くて辛い、それが人間だ。




暖かい本だった。

最近暗めのミステリー小説ばっかり読んでるから、もうちょっと明るいの読みたいな~と思って手に取った本。正解でした。


恋愛と、人間と、言葉と、人の痛みとが、暖かく書かれている一冊。


また読むど♩









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