「森村桂さんの忘れんぼのバナナケーキ」で思い出す。
片隅の町で小さな小さな雑貨販売&喫茶店をしております店主のpekoriです、こんにちわ。2019年になり「わたしが店をはじめたわけ」を書いております。
わたしが本が好きになったのは、毎晩寝るときに、母が聞かせてくれた短いお話からだと思う。毎晩寝る前に、腹のふくれたカエルと牛の話とか、海外や日本の短いふしぎなむかし話がたくさん詰まった百科事典みたいな本の中から、一話ずつ読んでくれた。百科事典から出てくる話に、わたしは毎晩ワクワクして眠りについた。
そんな流れから、ずっとわたしは本が好きで本屋も図書館も大好きで、たくさん本を読んでいました。
そんな中、「天国に一番近い島」という森村桂さんの本に出会いました。映画にもなったけど、映画は話が違った気がするので、映画じゃなく本をぜひ読んでみてほしいのだけど。
原作は、天国に一番近い島と言われるニューカレドニアに行く話です。
ニューカレドニアはその当時、行く手段が貨物船しかない時代、しかしどうしても行きたいと思った森村桂さんは、貨物会社の社長に手紙を書くのです。そして社長に会うことができて、ニューカレドニアに行きたい気持ちを熱意を伝え、貨物船に乗る許可をもらい、お金のない彼女は、知り合いなどにまたまた熱意を伝え、お金を集めて、とうとう行ってしまうノンフィクションの話。
あの、叶えるために猪突猛進、できることはすべてやることや、その情熱、枠のない感覚、当たり前も人並みも恥ずかしいもできないもない気持ちは、ほんとうにステキだとおもいました。
森村桂さんに「似てる」と言われたことがあります。たしかに似てるかも。それで森村桂さんに親近感を覚えたのですね。
さらに今考えたらわたしみたい!しかも、これクラウドファンディングじゃないですか!!(わたしも過去に夢を叶えるためにクラウドファンディングしました)
森村さんは、なんとなくこの世の中が生きずらかったのではないかなあなんて、本を読みながら思ってもいたけど。
生きているときにお会いしたかったなあ。
で、その森村桂さんはケーキ屋さんでもありました。たくさんのケーキの本もあります。
森村さんのケーキはわりと適当である。
ケーキレシピ本の撮影で、分量とか違ったり失敗したりするらしいとも書いてありました。けれど、ケーキのかわいい名前や、そんなところもとてもいとおしい。
そんななか、小学生高学年か中学生くらいだったか忘れましたが、そんな森村さんの本を読んだりする中で、ひときわ光輝く文章があったのです。それは、ケーキのレシピや出会いの文章の一部。いろんな国の旅の本の中で、ケーキを食べたり作ってもらったり、作ったりする場面がたくさんあるのですが、その中に「忘れんぼのバナナケーキ」というケーキがあって、そかには、
「焼くとバナナの繊維が紫になる」と書いてあったのです。
「ケーキを焼くと紫になる?バナナケーキになると、紫色があらわれるのっ!?ふわあああ!なんということだ!!」
まるで魔法がかかったようにわたしは、その紫色にとりつかれました。
見てみたい!
見てみたい!
見てみたい!
紫色が見てみたい!
そしてやっとケーキを焼ける年代になり、焼いてみた、、、、しかし。
紫にならない、、、
なぜ?なぜ?なぜなのおー?!
何十回焼いたでしょうか。もはや実験です。
そして気づいたこと。
あ、重曹だ!
そう、魔法は最初にバナナと混ぜておく重曹なんです。バナナと重曹を混ぜておくと紫の筋があらわれるのですが。小さくなっているバナナの筋が、よくよくみればプチプチムラサキ色になっている、、、。
あ、これか、、、。
ケーキがムラサキ色になってるわけじゃないからかなりガッカリ。しかしながら、何十回めのバナナケーキにすごい感動はなかったものの、やっと出来た!頑張って研究の結果が出た!みたいな感動はやってきました。まあ研究者ですから、その過程が楽しかったのかも。
「店をやりたい」と思ったとき、ふと、ずっと忘れていたこのバナナケーキ作りのこととか、なによりずっと忘れていた森村桂さんを思い出しました。
森村桂さんの、自分のやりたいことに突っ走る思いや行動力や、同じように、紫色のケーキ作りにひたすら突っ走っていた小さなころの自分、損得なくやりたいことに向かって突き進む自分、その感情を、忘れていた思いを、また再び思い出しました。そして本も読み返したのです。
そうだよ、昔の自分、森村桂さんだったじゃないの。なに平たくなってるのよ。
やってみようよ。やろう!
そう決意させてくれたのでした。
やはり「忘れんぼのバナナケーキ」はやはり、忘れていたことを思い出させてくれるすごいケーキだったなあと思うのです。
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