マガジンのカバー画像

読むコント

10
運営しているクリエイター

#読んでくれてありがとう

読むコント➎「天国には行けません」

読むコント➎「天国には行けません」

「本当にすまん」

そう口にするのは中間颯太。
小さい頃から家が隣同士であり、男女の壁もなく今でも変わらず仲良くしている。

「いやいや、何がすまんのだ。」
 「いや、その……」

しばらくの間の後、再び颯太は続けた。

「天国に、行けなくなった。」

あっ、そう…。
なんだ?深刻な悩みを抱えている可能性はある。
おおいにある。が、コイツのかぎってそんな事があるのかというとない。たぶん。

「おう

もっとみる
読むコント➍「泥棒」

読むコント➍「泥棒」

下着2枚。
アパートにある私の部屋は、一階の角部屋。
一階なのが良くないのかと思うけれど、
盗る方が悪いのになと思う。
一瞬でも自分に非があるのではと思った時間が惜しくてたまらない。

「あ、テレビ消し忘れてた。」

部屋から声が聞こえたので、犯人が談笑なんてしてようもんならとっちめてやろうと思っていたが、その必要は無さそうだ。
異性の下着をダミーで干しておくと良いと聞いたから一緒に干しておいたが

もっとみる
読むコント➌「新入社員」

読むコント➌「新入社員」

新卒。
これ以上に輝かしく面倒な言葉は無い。
勿論、個人の意見だ。

抜かりない芝田は、たとえSNSをやっていなくても炎上を避ける。口癖は「個人の意見だ」。

「はじめまして柴田です。」
 「よろしく、教育係の芝田です。」

面倒だ。全く。
名前の音が一緒じゃないか。
それに、芝より柴の方が見栄えがいい。
まあ、個人の意見だけど。

「名前いっしょじゃないっスカ!」
 「は、はあ。」

スカ。

もっとみる
読むコント➋「彼氏」

読むコント➋「彼氏」

デート。それも、ドライブデート。
彼氏と。それも、お金持ちの。

「待った?」
 「全然待ってないよ」

嘘。全然嘘。でも笑ってみせる。
真っ赤なフェラーリががなり散らかす。
車内は狭かった。
車は進み始める。

「これ、流石に由紀ちゃんもわかるっしょ?」
 「フェラーリだよね、知ってる。」

わかるっしょ?きっしょ。
言葉は汚いけれど、この気持ちは嘘ではない。

「いやー由紀ちゃんめっちゃ可愛い

もっとみる