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歌劇場の舞台で歌う事も危険がいっぱい!!

オペラ作品、
皆さんがご存知な有名どころって何があるでしょうか??

魔笛、フィガロの結婚、椿姫、カルメン、蝶々夫人、トスカ、トウーランドット、、、

ちょっと考えただけでもこのくらいは秒速で出てきました

素晴らしい作品がたくさんあって、オペラは目にも耳にもエキサイティングです!!

ところで、今日は 歌劇場合唱団が歌うことの難しさについて書いていきたいと思います

合唱団と聞くと思い浮かぶのは
合唱サークルなどのコンクールやコンサートの舞台上でドレスアップしてパート毎に並んで指揮者を前に歌う!!
という場面ではないでしょうか?
私も合唱部出身なので、これは大好きなフォーマットです❤️

けれどオペラ作品に限りませんが、
舞台作品中の合唱曲では
演出があるのでこういうわけにはいきません
ここには音楽作りの危険な落とし穴があります。

告白しちゃいますが、
私がヨーロッパに来て初めて聴いたオペラ公演に
実はがっかりしてしまったのです!

日本の音楽高校でレコードやCD を聴きまくっていた若かった当時の私は
録音された響きが劇場でも再現されるのだと思っていました!
が、現実は大間違い😱

大歌劇場の広ーい舞台、あれは忘れもしない
モーツァルトのオペラ
「フィガロの結婚」
舞台上の素敵な伯爵邸、広々としていて、深い舞台。
え、こんなに奥行きが有る!!
驚きの立体効果が素晴らしい!!

ソリスト達は舞台前面で素晴らしい歌唱を披露してく れています
そしてついに合唱の村娘達が
舞台奥から登場!!!
オーケストラが前奏を弾き、さて、合唱の入り!!
え?!
入りを逃した?! 何故?!
と思った瞬間
「ジョーヴァ〜ニ リエーテー〜〜...」
と陽気な歌声が!!

オオーケストラとは完全に輪唱状態😱

なぜこんな事が!!

ライブ音楽に慣れていなかった私は愕然としました。

舞台背景の立体効果は効果ではなく本当に彼女らは遠くにいるのでした!

ここが演出の理想と現実のジレンマ...

そりゃあ遠くから近寄ってくる村娘達、
生き生きとした効果的な登場です!!
しかし、
舞台の前に位置するのがオーケストラ
そしてその前に、見えるか?!
というくらい遠くにいらっしゃる指揮者

この状態で指揮者のタクトに合わせて歌うと
そのまた遥か遠くにいる観客席に
合唱の音声はかなり遅れて届くんです😩

音の速度は光速じゃあないんです...

今は体験済みなので
何故このような事件が起こるのかよ〜く分かります
この時間差を理解している経験のある合唱団は
100%の確率で

指揮者のタクトが合唱の入りの拍に到達する前に
歌い出しています!

が、1人で歌うのではなくグループです
肉体を持った人間です。

それぞれが違った感覚を持っていて当たり前。

それをメンバーがミリ秒で息を合わせるのは神技!

けれど、そこで更にロスタイムが出てしまうのです。

ここで歌手思いの優しい指揮者が
遠くにいる合唱のことを思って早めに合図を出すと、

オケの方々が誤解する場合も!

そんなことになったらもうカオスは目に見えています
みんなが状態を何とかしようとして
状態は更に悪化!!

やばっ😱

こうなってしまったら
一人でガンガンに歌い続けるのはタブー!!

落ち着いて一歩引き、周りに注意を払い
最速で正しい地点に皆で行き着くことが
最善の方法になります!

そして誰を頼りに窮状を救うのか!

私達は直ぐに指揮者とコンサートマスターを凝視し
瞬時にタイミングを探します!!!

その間にも音楽は停止することなく続いています!

よし、無事皆が揃った!!!

嵐を乗り越えた私たちは皆目配せで労い合います。

もうアドレナリン噴出の数分間、
いや、数秒間の出来事になります。

こんな感じで何気ない短い曲の間にも
濃厚なドラマがあり、
音楽の流れの下に流れている
舞台を作る者達のつながりを
強烈に感じる瞬間でもあります!!

皆が舞台上で使っているこのような危険回避の
センサーは
経験でも育っていきます。
まさにテレパシー...

しかし、大切な音楽表現は何処へ?

勿論念には念を入れた舞台そして音楽練習を
日々行っているわけですが、

本番の高まった緊張からこんな事件が起こってしまうことも!
ライブ公演は危険がいっぱいなのです

実は...
指揮者も突然知らない方が立っているのにもよく遭遇します

多分ソリストの皆さんとは音楽合わせをされていると思います、

しかし世界を飛び回っている多忙の指揮者、
合唱部署まで来てくれる時間のない方が大部分...

私達、
残念ながらそんな状況でも
機能する事が当たり前...になっています。

舞台に出てから

おお、テンポが全然違う!!
おおっと!ここでフェルマータ(音を保っておく〜)
かあっ!!!
何てことも...

結構あるんですよ-...
これもミリ秒速で処理されます!!

(暴露しちゃった...)

日頃鍛錬している入念な音楽練習のおかげで
指揮者の希望も織り込みながら
柔軟に音楽を作り上げていきます

新鮮な解釈に出会う感動の瞬間もありますよ😍


こんなドラマは録音では経験し得ませんよね。
こんなことも、ヨーロッパに来て音楽に直に触れて
経験しています🤩

本当に...

楽しいです😆



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