私の想像力の使いどころ
夫の仕事柄、家族揃って夕食を食べられるのは、水曜日と日曜日。その他の日は、娘と私が先に夕食をとり、私たちのお腹が満たされた頃か食器洗いが終わった頃に夫が帰宅し、夫の夕食が始まる。
正直なことを言えば、家族みんなで一緒に食べられれば、準備も片付けも1回で済むから、私としてはその方が楽なのだ。
きっと夫は、できれば早く家に帰り、ゆっくりと過ごしたいと思いながらも夜遅くまで仕事に励んでいるだろう(と、私は想像している)。夫だって一緒に食事ができれば良いと思っているだろう(これも私の想像)。
しかし、それを分かっているつもりでも私は仕事から帰ったばかりの夫に対し、たまに、言葉にはしなくても「一緒に夕食を済ませられれば楽なのに・・・」という正直な気持ちが表情や態度に出てしまうことがある。
そんな私に夫は、文句を言うこともなく、普通に接してくれる。自分も仕事で疲れているはずなのに。
だからこそ、仕事から帰ってきた夫には私も普通に接して、気持ち良く夕食をとってもらえれば良いと思うのだけれど、私の正直な気持ちは今でもたまに表情や態度に出てしまう。
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先日も、娘と私が先に夕食をとり、食器洗いが終わった頃に夫が帰ってきた。「今、片付いたところだよー。」と私は思った。
その時は表情や態度で表わすくらいなら素直に言おうと思い、夫の夕食の準備をしながら
「食べ終わって今片付いたところだったんだよー。」
と言うと夫は、こう言った。
「あー、ごめんごめん。ありがとう。」
言ったからには私も気持ちを切り替えて、夫の夕食の準備を進めた。するとテーブルに置かれたおかずを見て夫が、
「なすの煮浸し、また作ってくれたんや。」
「珍しい刺身だな。柳はちめ、○○(娘)も喜んで食べたんじゃない?」
「とんかつも揚げ直してくれたん?うまそうや。」
と食いしん坊のように喜んで食べ始めた。なすの煮浸しの味加減はどう?とか、柳はちめは娘も喜んでいたとか、美味しそうな豚肉があったからとんかつにしてみたとか、おかずネタで夫とも話が進み、ホッとした表情でごはんを食べる夫を見て、私も夕食の準備をして良かったと思えた。
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夫は仕事のことを家に持ち込みたくないという。それは自分のためでもあり、家族のためにでもある。仕事で大変な出来事が起こったときでも、帰ってくるときには
「ただいま!」
とニコッとしてしてくれる。
夫はごくまれに仕事の状況を話してくれることがあるけれど、私だったら押しつぶされてしまいそうな状況だ。一日の仕事を終え、帰り道の運転中になのか、家に帰り扉を開ける直前になのかはわからないけれど、仕事と家庭で気持ちを切り替えているのだろう。
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想像力は使い方によって、相手を思いやる気持ちになるときもあれば、相手を責めたくなる気持ちになるときもある。
夫に対して、本当はもっと早くに仕事を切り上げられるんじゃない?なんて想像すると、イライラしてしまう。夫が以前ポロッと口にした「従業員さんたちが戻ってくるまで帰れない。」と言った言葉から、従業員さんを思う夫の気持ちを想像すると、夫の仕事への姿勢を尊重しようと思える。
夫の業界は今でも流行の感染症による影響は大きい。この状況の中、どれほど不安を感じ、どれほど踏ん張り、どれほど心を強く保っていたのか。だからこそ、家はくつろげる場所にしてあげたい。
想像することは自由だから、夫に対して思いやりが持てる想像力をこれからも養っていきたいと思う。
ヘッダーはふうちゃんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございます。
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