9話
いや、それは、ちが・・・
「お似合いだと思うけどね。まあ、頑張ってよ。じゃーね」
告白のタイミングを完全に逃し、そして、センパイの水泳選手としての夏も終わる。
季節は秋。
センパイと会えない日が続く・・・
俺は何やってんだろ?
センパイが目的で入った部活。
でも、センパイは・・・もう居ない。
週2回、センパイの通学時間を狙ってのチャリでの登場・・・あの日以来、もう、やっていない。
俺はいつからこんなに臆病者になったのだろう。
女なんて、好きって言っとけば、機嫌良くして、チューできるし、おっぱい揉めるし・・・
虚しい。
とある日、センパイたちが部活をのぞきに来た。
「よお、後輩」
よお、引退してからちょっと太ったセンパイ。
「口の減らないやつめ!」
センパイ、俺が県大会まで行ったら、チューしてくれるんでしょ?
「え?そんなこと言ったっけ?まあ、いいよ」
彼はちょくちょくサボっていた部活を見直し、シャキッと練習に打ち込み始める。
何かの動機に生き甲斐を乗せ、感情に左右され生きていく。
彼もまた、そうすることで自身を保っていたのかもしれない。
そして、季節はあっという間に流れ、冬を越え・・・
春。
センパイの卒業式を迎える。
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