学校には「広報部」が必要
◼️先日、私は「reprise-news」さんからインタビュー取材を受けました。そこでは、自分の学校経営について話をさせていただきました。そのきっかけとなったのは、このnoteやFacebookを担当者がご覧になったということからです。
自分の実践や考えをSNS等で発信していなかったら、このような機会は得られなかったでしょう。
またこの数日、様々な方から新たに声をかけていただき、新たな人との繋がりや挑戦の機会が増え、とても楽しい毎日を過ごすことができ、ありがたい限りです。このインタビュー動画を通じて社会関係資本も広がってきています。
「情報を発信するところに情報は集まる」のだと実感する日々です。
◼️さて、話は変わりますが、全国の学校にホームページがあると思われます。あなたの学校では、どれくらいの頻度で更新しているでしょうか?
◼️私は、自ら勤務日はほぼ毎日更新しています。更新内容は、学校行事なども取り上げますが、一番多いのは普段の授業の様子。普段の授業8、その他の活動2くらいの割合でしょうか。私は予告なしに各教室をお邪魔し、授業の様子を見ながら、時に子供達に話しかけながら、写真を撮ります。
校長が突然カメラを持って入ってくるので、4月当初は子供達もちょっと構えますが、次第にそれが当たり前になってくるので、子供達も先生方も次第に気にならなくなってきます。そのうち、ウェルカム状態または空気のように気づかなくなってきます。
このご時世、個人情報も守らねばなりません。4月に保護者に調査し、お子さんの顔出し可能かどうか確認し、「顔出しOKリスト」を作っておきます。もちろん、顔出しOKでも名前と顔が一致するような写真は使いません。ホームページ用に画質も多少落とします。学校の授業の様子は正面から撮れるとより学習の様子が効果的に伝わるので、多少面倒でも、私はこの「顔出しOKリスト」とカメラを持って、教室をお邪魔しています。
◼️私が行事より、普段の授業の様子の発信を多くしているのは理由があります。その理由として、私が学校ホームページの更新で最も大事にしている視点に、
「先生方が、普段からこれだけ授業準備を工夫して取り組んでいる」
を持っているからです。
小学校教員は、毎時間違う授業の準備をしています。平均すると1日に5時間分の授業準備をしているのではないでしょうか。それも毎日です。でも、このことは保護者や地域の方には意外にスルーされてしまっています。
スルーされてしまっているのは、学校の責任でもあると思うのです。
伝えなければ伝わらない。頑張っているから伝わるであろうという考えは甘いと思うのです。
学校が伝えていないから、保護者や地域は「目立った活動」、つまり表面的な目立った行事・イベントを実施してほしいという要望が出やすくなるのだと思うのです。
◼️今学校には「広報部」こそ必要です。
それは、「普段の先生方の取り組み」をPRするということです。毎日毎時間当たり前のように行われていることをしっかりPRするのです。
一般企業でも「広報部」があり、会社の要としてきちんと予算をつけているところが多いでしょう。しかし、学校にはこの部分がとても脆弱だと思うのです。その証拠に、公立学校には「教務部」「国語部」「体育部」「生徒指導部」などはあっても、「広報部」が位置付けられているところは皆無ですよね。
◼️ただし、この広報部を作っても、学級担任が担当するのではただの負担になるだけです。私も担任時代、学校ホームページ担当になったことがありますが、授業をしながらホームページの記事になる写真を撮るのは至難の技でした。もちろん、自分のクラスを抜け出して、他のクラスに写真を撮りに行くようになっては、本末転倒です。
かといって、教員でない職員にそれを任せるのも難しいです。授業の本質を理解していないと、とても表面的な上っ面だけの記事になってしまい、保護者や地域に伝える内容として逆効果だからです。その授業が何を目指しているのか、担任はどんな工夫をしているのか、子供達はどんな力を身につけているのか、それを数枚の写真と短いコメントで要約し簡潔に伝えるスキルが必要だからです。
◼️そうなると、この役に一番ふさわしいのは「管理職」になります。授業の勘所を理解し、記事の決済も直接済ませることができるからです。校長、教頭なら学級の様子を把握する上で教室をまわりながら記事にしていくことができるので一石二鳥でもあります。
◼️そして何より、学校ホームページは、学校の個性を発信できる場となります。学校はそこにいる教員も児童も異なります。保護者も地域性も異なります。それらが全国一様なものになるはずはありません。昭和時代までは外国に追いつけ追い越せで一律に同じような水準が学校に求められたため、一律の内容で一斉授業が行われ、それでも一定の効果は見られました。
しかし、時代は変わり、多様性を認め合い、それらをどう生かすかというマインドセットが必要な時代になりました。
全国の学校がその個性を発信したホームページを発信することを通して、その学校の多様性を受け入れ、認め合うマインドが日本に根付くといいなと思います。
そうなっていくと、「情報を発信するところに情報が集まる」化学反応が起こり、全国の学校が中心となり、新しいネットワーク、挑戦が始まるのではないでしょうか。
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