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目が離せない男

 とうとう2021年も大晦日である。
 こうも押し迫ってくると、いつでも来い! さぁ来い! どすこい! と四股を踏むが如く、2022年を待ち構えるような気持ちにもなってくる。しかし、1年を振り返ることができるのも、今日だけだと思うと、ゴールテープを切ろうとする師走の健脚に、「ちょっと待って!」と取りすがりそうになる。

 振り返ってみると、私が今まで投稿した記事の中で、公開中のものは、当記事を含めて254記事だ。いろいろ書いたが、その中で私が最も印象に残っている記事はこちらである。

 今現在、夫の話を、おもちょろい夫というマガジンにまとめて公開中だが、この記事はその原点とも言える内容だ。これがきっかけで、夫がちょろっと漏らす面白さを、文章にする楽しさを知ってしまった。

 個人的には、お正月が来るたびに投稿し直したいくらい、思い出深い記事だ。しかも、この記事、今年の元旦に投稿している。話の内容的にも、年末年始の今の時期にピッタリである。
 しかし、だからと言って同じ内容のものを投稿するのは、気が引ける。何かコレ!といった理由があれば、この記事を再度投稿、もしくは紹介できるのだが、どうしたものか。
 私が悩んでいると、

「ゴーン、今年中にまた何かやらかさないかねぇ」

 と、夫が言った。
 紹介記事の冒頭を見て頂ければわかるのだが、この話には、かつて日産の最高経営責任者だったカルロス・ゴーン氏が登場する。確かに、ゴーン氏が今年中にまた世間を騒がせれば、思い出深い過去作を読んで頂ける機会が増えるかもしれない。こうなったら、神頼みならぬ、ゴーン頼みである。

 私はトップニュースになるような、ゴーン氏のやらかしに期待を寄せたが、大晦日になっても、彼にこれといった動きはない。2019年の大晦日は、あんなに大金をかけて日本から逃亡していたというのに、あのアグレッシブさは、何処に行ってしまったのだろうか。ゴーンにはガッカリである。

「ゴーン、何もやらかさなかったね」

 私が肩を落とすと、

「まぁ、年明けのゴーンに期待するしかないねぇ」

 と、夫が言った。
 2021年の大晦日、こんなにもゴーン氏の動向を気にしているのは、東京地検特捜部と、我々夫婦くらいなものだろう。お気に入りの過去作を読んで頂けるか否かは、ゴーン氏の一挙手一投足にかかっている。
 そう考えると、私は来年も、カルロス・ゴーンから目が離せないのである。





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