気散じのお三時と551蓬莱
京都には大変失礼な話なのだが、
我々夫婦にとって、京都は通り過ぎる場所だ。
京都についた! さぁ、近鉄乗って奈良に行くぞ!
そういう勢いで、京都を通り過ぎる。
京都はもちろん大好きだ。満開の桜の中、哲学の道を歩いたり、
宇治で源氏物語に思いを馳せたこともある。
素晴らしい思い出をたくさん頂いた場所だ。
でも、ごめんなさい。今は奈良に行かせてください。
元々は、京都もいいけど、奈良も見てみようかー。
という気軽な気持ちで観光したのだが、もう、すっかりハマってしまった。あまり長い期間、行かずにいると、電池切れならぬ、奈良切れが起きる。
いち早く奈良の地を踏みたい。
飛鳥大仏が、仏頭が、大神神社や山の辺の道、春日大社や室生龍穴神社が我々を呼んでいる! 葛城古道だって歩いちゃう!
鹿がビィーーーーーと呼んでいるのだ。
懐深い京都さんのこと。
またいつでもおいでやす~ と、送り出してくれるはずだ。
そう信じて近鉄に乗る。
しかし、帰りとなると、話が変わる。
あれだけ、一秒でも早く奈良に向かおうと、京都を足早に去ったのに、
帰りは、京都駅を楽しんでしまうのだ。
京都のおいでやす~に甘えてしまう。やはり懐が深い。
京都伊勢丹のデパ地下の品揃えに狂喜乱舞する。
千枚漬け、しば漬け、ちりめん山椒などの御飯のお供。
東京では見かけないおかずののった、お弁当。
京都の和菓子、洋菓子、パン。
東京でも買える物もあるのだが、京都伊勢丹のガラスケースに並べられていると、やたら高級に見える。こういうのを高見えというのだろうか。
しかし、悲しい哉、欲しい物全てを買うわけにはいかず、
我慢も必要である。
厳選に厳選を重ねた、手土産とともに、いざ、新幹線へ!
となるのだが、その前に、京都駅八条口の1階、
新幹線八条口の東2件隣りにある、都路里でソフトクリームを食べる。
以前、一度、京都伊勢丹の方でパフェを頂いて、
うるさいほどの舌鼓を打って大満足したのだが、行列になることも多く、
なにぶん価格も高級なので、結果、八条口の都路里に落ち着いた。
以前、ほうじ茶ソフトがあったと思うのだが、現在は無いみたいですね。
残念。
そんなこんなで、今度こそ新幹線に乗り込むのだが、
ここで最後の誘惑が訪れる。
551蓬莱。
私が関西人をうらやましく思うことの第1位は、
この551蓬莱を気軽に買えることである。
しかし東京までの帰路、551を持ち歩くのには躊躇してしまう。
551の匂いは凄まじい。
鼻から入って脳天を直撃し、連鎖的にお腹が空くようになっている。
関西の人は大丈夫なのだろうか。
あの匂いを無視できるような、何か耐性ができているのだろうか?
私には、あの匂いを無視するのは無理だ……
そうジリジリ思いながら、551の看板を遠くから見つめる。
問題は匂いのことだけではない。
夏場だと、帰宅までに腐ってしまう可能性すらある。
こればかりはどうしようもないことなのだ。
私は横目であの赤い看板を見送り、新幹線のホームへと向かう。
嗚呼、、、なんという切なさだろう。
551がある時と、551がない時。
近くに551の店舗がない場所に住んでいる551ファンこそ、
あのCMの意味が身に沁みてわかるのだ。
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