ポップコーン被害に遭わないために



詐欺被害の手口は、年々巧妙化している。
相手も騙してやろう、という気でやってくるので、
それはそれは、入念な準備をしてくる。
その世の中うまい話はない、と言うが、
たまにうまい話で、うまくいっている人の話などを耳にしてしまうと、
いずれは自分も!という気がしてきて危ない。

ポップコーンの手口も年々巧妙化している。
私が子供の頃には、ポップコーンは、塩味一択。
大変潔いものだった。
しかし近年は、甘いキャラメル味のポップコーンなども登場し、
うまい話に飛びついた人々が、行列をなしている。
私は未だに疑心暗鬼だ。
ポップコーンにキャラメルなど、そんなにうまい話であるわけがない。

そんな頑固な塩味一択世代の私が買うポップコーンは、
スーパーのプライベートブランドの安いやつだ。
お菓子コーナーを探索して、下段の大きな袋に目が行く。
大容量のポップコーンがある。
その大きさにつられて、じゃあ買って帰るか、と袋を手にする。
その軽さに驚く。毎回驚く。

騙されたか!

一瞬思うが、そもそもポップコーンは軽いものだったと思い出し、会計。

スーパーのプライベートブランドのポップコーンの袋はとにかく大きい。
こんなに軽いのに、こんなに大きい。
そのせいで、袋詰めの際は、一番上に置かれることになる。
野菜やら牛乳やら卵やらを詰めた後、
デーン、と殿様のように一番上に鎮座する。

帰宅してもすぐには食べない。ポップコーンはだいたい放置される。
そして、数日が経ち、何かないかなーと思った私の手に取られ、
その軽さに再び驚いたのち、ようやく開封となるのだ。

開封すると、ポップコーンのいい香り。
こうばしさの中にある、油の匂いと塩の気配。
お菓子の開封には、心がときめくものがある。
食べてやるぞ、というワクワク感がある。
しかし、ポップコーンにはそれがない。
どちらかというと、不安だ。

ポップコーンは元々、硬い殻に包まれている。
加熱するとこによって、中の水分を含んだデンプンが膨張し、
殻がはじけ、真っ白なポップコーンになる。

不安というのは、この殻のことだ。
この殻が歯に挟まる。
しかも決まって奥歯の歯と歯肉の間に挟まる。
これがなかなか取れない。
気づかないでいると、1日もすれば炎症を起こして痛みだす。

今日は大丈夫だろうか。

ポップコーンを食べはじめる時の一番最初の気持ちはコレだ。
何とか、無事に食べ終えたい。
そう思いながら、恐る恐るつまんでいく。
でもしばらくすると、その恐る恐るにも慣れてきて気持ちが大きくなる。
大きくなって、まとめて食べたりする。
そしてやはり、歯に挟まる。

何度目だろう。
ポップコーンの香ばしさと軽さに騙され、
今日も歯肉を痛めてしまった。
それだけではない。パッケージの裏を見たら、
こんなに軽い食べ物なのにもかかわらず、
なかなかのハイカロリーなのだ。思わずのけぞる。

同じ詐欺に何度も引っかかってしまう人がいると言う。
私も何度となく、ポップコーンに騙され、歯肉に被害が出ている。
それなのに、なぜ、何度も騙されてしまうのか。

やはり、うまい話には抗えないのだ。
ポップコーン被害に遭わないために、
キュッと引き締まった歯茎の維持と
そのケアによる、自己防衛も大切である。

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