答えはいかに
時々、小学校で道徳の時間に読んだフィンガーボールボールの話を思い出して、あれは何が正解なんだろうと考える。
ある国の女王が外国からの客人をもてなしたとき、相手が、フィンガーボールが指を洗うものだと知らず、その水を飲んでしまった。それで女王も相手に恥をかかせまいとその水を飲んだという話。
女王の気遣いが素晴らしい美談として語られていた気がするが、一方で、教えてやらなきゃ他で恥をかくじゃないか、という意見もある。
そういえば、とあるケーキ屋さんでの出来事がネットに投稿されていた。
特製ケーキの受け取りに来た幼い兄弟がいた。ところが、ケーキの箱を持っていたお兄ちゃんが、店を出たとたん、転んでしまった。
すると、同じケーキを受け取った男性が気づかれないよう自分のとすり替え、落としたケーキを持って立ち去った。
兄弟はケーキの箱を開けて、つぶれてないと安心して大泣き。
さりげない気遣いができる人は素敵だ、あの男性の恋人や奥さんはうらやましい! みたいな内容だったと思う。
反応はこれまた、さまざまだった。
子どもたちの学びの機会を奪ったとか、転んでるんだから手を貸して起こしてやるのが先だろ! とか。
この話を聞かせたら、私の友人は、そんな人が夫だったら嫌だと言い放った。
なんで私がつぶれたケーキを食わねばならんのだ! ということらしい。
私は投稿者と同じで、そんな男の人見たら惚れるわ! と思ったので友人の言葉に驚いた。
でも、もしかしたらそれは、ケーキなんてつぶれてても、お腹に入れば一緒じゃん! と考えるテキトーな私の性格に起因するのかもしれない。
思い返してみれば、心からのおもてなしのつもりで、とっておきの目玉のおやじ湯飲みでお茶を出したら、(お茶を入れると目玉おやじが風呂に浸かっているように見える)「嫌がらせ!?」と半ギレされたこともあったな。
調子がいいときは、人はみんな違うからこそ面白いなんて言ってみたりする余裕もあるが、疲れているときには、世知辛いぜ、としか思えない。
そんなわけで、結局いつだって、フィンガーボールの答えは出ない。
だからこそ、時々思い出しては考えちゃったりするんだろうと思う。
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