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採用活動の前提を疑う「3つの問い」からCX(候補者体験)について考えてみた。

日程調整、カジュアル面談、媒体運用、エージェントリレーション、選考対応、オファー準備、内定者フォローetc…。採用担当者は日々、多くの業務に追われていると思います。

私もそのひとりです。社員50名強のスタートアップで人事広報を担当していますが、目の前の「採用業務」に向き合っていると、どうしても視野がせまくなりがちで、中長期的な思考がしづらくなっていると感じます。

今回、HERPさん主催のブログリレー「候補者と企業のより良いコミュニケーション」に参加させていただくにあたり、よい機会なので、前提に立ち返るような「3つの問い」を立てて思考を整理してみました。

1. 候補者の対象には誰が含まれている?
2. コミュニケーションはいつから始まっている?
3. 候補者コミュニケーションをとっているのは誰?

はじめにお断りしておくと、今回はOne to Oneのコミュニケーションについてはあまり扱っていません。また、Gaudiyを代表して意見を述べるものでもありません。あくまで人事と広報を兼務する立場から、採用活動における「コミュニケーション」を俯瞰して考えてみた内容になります。

スタートアップの採用を担当する方が、今一度、立ち止まって思考するきっかけになれば嬉しいです。

「候補者コミュニケーション」とはなんなのか

はじめに、なぜ「候補者と企業のより良いコミュニケーション」が求められるのかについて、簡単に私の考えを書いてみます。

私は、候補者コミュニケーションを、CX(候補者体験)を高める手段と捉えています。カジュアル面談や面接だけでなく、求人票やスカウトの文面、日程調整におけるメールのやり取りなど、候補者とのすべてのタッチポイントにおけるコミュニケーションが、候補者体験をつくります。

(この辺り、HERP河井さんのnoteに詳しく書かれています。)

昨今、転職の「売り手市場」が加速しているなかで、優秀な人材に自社を選んでもらうためには、候補者体験を高めていくことが不可欠です。その体験を高める手段として、候補者とのコミュニケーションがあります。

この候補者体験の重要性は、いまや多くの企業が認識されていると思いますが、そもそも「候補者」や「コミュニケーション」がなにを指し示すかについて、考えてみたことはあるでしょうか?

「丁寧なスカウト文をお送りする」「スピーディーな日程調整を行う」「選考官の情報を事前に連携する」なども、とても大事な候補者コミュニケーションの一部です。でも、それだけじゃない気もします。

ということで、今回は意識的に「視野」を広げるため、冒頭にお伝えした以下3つの問いを立ててみました。

1. 候補者の対象には誰が含まれている?
2. コミュニケーションはいつから始まっている?
3. 候補者コミュニケーションをとっているのは誰?

改めて自問自答してみたら、これらの言葉をどう捉えるかで、採用活動のスコープが大きく変わるなということに気がつきました。せっかくなので他社さんやGaudiyの事例も踏まえながら、考えたことをご紹介してみます。

採用活動の前提を疑う「3つの問い」

Q1. 候補者の対象には誰が含まれている?

まずは「候補者」というワード。候補者って誰?と問われたら、なんと答えるでしょうか。

よくある表現として、転職意思を明確に持っている「転職顕在層」転職意思を明確に持っていない「転職潜在層」という区分がありますが、「候補者=転職顕在層+転職潜在層」というのもちょっとわかりづらい気がします。

自分なりにシンプルに定義するならば、「候補者=これから自社の社員になる可能性をもつすべての人」だと考えています。つまり、いま一緒に働いている従業員以外は、みんな「候補者」です。友人も知り合いも顧客もユーザーも株主も、全員が候補者。

そして、採用活動では新しい人を見つけようとがんばりがちですが、辞退者やお見送りした方、卒業生など、選考のパイプラインを一度通り終えた人たちも、一周まわってまた「候補者」です。

個人的には、この一度は選考に進んだことのある方こそ、採用で見過ごされがちですが、実は注力すべき候補者だとも思います。なぜなら、自社について深く興味関心を持ち、入社検討してくださった方々だからです。

Gaudiyでも、過去辞退者の方とコミュニケーションを取り続けて再び選考に進んでくださったケースが、この2年で3件ほどありました。他社への転職後にもSNSでゆるくつながったり、イベントや懇親会に誘ったり、ラフに面談したり、そんなコミュニケーションをしています。(ほんとこれ↓)

またお見送りした方も、現時点においてはマッチしなくても、今後どこかのタイミングでマッチする可能性は十分にあります。なので、いわゆる「お祈りメール」ではなく「いつか再応募していただきたい」「今後ともよろしくお願いします」といったメッセージで文末を締めるようにしています。

さらに、卒業生もまた、いつか戻ってきてくれるかもしれません。Gaudiyの場合は「お試し入社」という制度があり、その期間を通じて正式入社に至らなかった方々も、またいつかはお互いにマッチする可能性もあります。

そのご縁をつなぐため、GaudiyのSlackでは「#alumni」という卒業生を入れたチャンネルをつくり、毎月の「ガウタイム(社内報)」を共有して""を伝えています。

実際の#alumniチャンネル

このように、誰を「候補者」として捉えるかで、採用活動のアクションやコミュニケーションの取り方が変わってくると感じます。

Q2. コミュニケーションはいつから始まっている?

次に、コミュニケーションの時期について考えてみます。
候補者とのコミュニケーションは、いつから始まるのでしょうか。応募に対応するときでしょうか? スカウトを送るときでしょうか?

わたしは、候補者と出会うよりもっと前から、企業とのコミュニケーションは始まっていると考えています。言い換えると、日々の情報発信も、候補者とのコミュニケーションの一部です。

そのコミュニケーションには、認知してもらう、興味を持ってもらう、応募してもらう、という段階(下記イメージ)があり、候補者の状態にあわせたコンテンツを届けることが大切です。

<Gaudiyを例にしてみると…>
認知
「GaudiyっていうWeb3スタートアップがあるんだ」

興味「すごいエンタメIPとやってるんだな」「組織制度がユニークだな」

応募「おもしろそうだから応募しようかな」

いかに早期から認知されて、興味関心を持ってもらい、転職を考えはじめたときの「第一想起群」に入れるかが、採用の成否に影響すると考えてます。

ここにしっかり投資している会社が、やはり採用強いな〜と感じます。最近だと、LayerXさんの羅針盤とかめちゃくちゃいいアクションだなと思いました。Ubieさんや10Xさんなどもやはり発信が盛んだなと思います。

この候補者と出会う前のコミュニケーションは、採用活動において緊急度が高くないので、ついつい後回しにしてしまいがちです。でも、大変だからと逃げていては、採用力は一向に上がりません

またコンテンツ発信は、実はコスパのよい採用活動であることも事実です。なぜなら、自主応募を増やすだけでなく、スカウトの返信率upやリファラル促進など、採用活動全体にもじわじわと効いてくるからです。エージェントさんの推薦も、選考中の情報提供もしやすくなります。

かつ、発信を続けることで、辞退者や卒業生にも会社の情報がアップデートされ、再応募につながるケースもあります。候補者が常にあたらしい情報に触れ続けられる状態をつくることが、とても大切だと考えています。

Q3. 候補者コミュニケーションをとっているのは誰?

さいごに、候補者とコミュニケーションをとっている人は誰か?

これは1つめの問いと関連しますが、潜在的な候補者のなかには、顧客、ユーザー、株主なども含まれるので、社員全員が候補者とコミュニケーションを取っていると言えます。

SaaS企業ではよく「全員CS」と言ったりすると思いますが、採用も同じです。候補者とのすべてのタッチポイントが、候補者体験をつくり、採用の成果につながってきます。

なので、それぞれが対峙する「身近な候補者」を、自社のファンにできるかがとても大事です。そのためには、社員1人ひとりが「推される人」になり、自社の魅力を伝達できるようにする必要があります。全員PRパーソン化。

Gaudiyでは実際に、取引銀行の担当者の方が、選考応募してくださったことがありました。そういった形で、自社のファンを増やしていけば、究極的には「採用活動をしない採用」ができるんじゃないかと思ってます。

以前、ファンベース採用としてnoteにも書きましたが、わたしの理想としては、会社から採用活動をなくすことです。Gaudiyのファンを増やして、ファンの方々のなかから、よりコミットしたい人が社員に転換する。今いまは難しいですが、そんな状態をつくっていきたいなと思っています。

まとめ:「視野狭窄」にならない採用活動で大切なこと

はい、いかがでしたでしょうか。ちょっとうまく伝わったかわからないのでw、今回のnoteでお伝えしたかったことをまとめます。

・従業員以外の、すべてのステークホルダーが採用候補者である。
・採用候補者と出会う前から、コミュニケーションは始まっている。
・選考への関与に関わらず、全員がCX(候補者体験)を担っている。

Gaudiyもまだまだ全然です。できていないことだらけ。

今回はコミュニケーションのHOWにはあまり触れられませんでしたが、個人的に気づきを得た「視野を広げる問い」をご紹介させていただきました。

さいごに、採用のゴールは内定承諾ではなく、組織に定着して活躍するまでなので、その上でも期待値ギャップを防ぐためのコミュニケーションが本当に大事だなと思っています。

採用は奥深くて難しい仕事だけど、この2年ほどスタートアップの採用に関わるなかで、このタイミングでよくこの人来てくれたな〜みたいな奇跡的な出会いがいくつもあり、それを最前線で日々感じられるのが楽しいです。

ちなみに、Gaudiyでは一緒に採用活動を推進してくださる方を絶賛募集中です。ぜひMeetyYOUTRUST、Twitter(@hanahanayaman)などで気軽にご連絡ください!(採用情報も貼っておきます🤲)

HERPさん、改めましてこの度は貴重な機会をありがとうございました🙏 
前回のHERP徳永さんの「世界のスター人材採用に学ぶクロージング術」もとても参考になったので、まだ読んでいない方はぜひ。次回は、株式会社Shippioの小野寺さんが担当してくださいます!お楽しみに〜👋

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!