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#A -6 適応障害〜心のコップがあふれるまで

部中計 共有会

部の中期計画は、まるで私の存在など初めからなかったかのように、静かに進行していた。策定された計画は役員に報告され、修正を経て正式な部の方針として部内で共有されることになる。

共有会が開かれ、計画に対する理解と共感を測るためのアンケートが実施された。そして、全課長が集まる場で、その分析結果が発表される時がやってきた。

無力感に囚われて

業務に直結しないと、中計への共感が得られにくい」その言葉が読み上げられるたびに、胸が締め付けられる。「策定に関わっていない者ほど共感度が低い」という類いの分析結果が次々と示され、私の心に突き刺さっていく。自分のことを言われているように感じながらも、それに抗うすべもない。

私は部の中期計画に、最後まで心から共感することができなかった。むしろ、計画に関与できない自分自身の無力感に押しつぶされていた。その重さに耐えることで精一杯で、共感する余裕などなかったのだ。

分析結果を耳にした瞬間、胃が鋭く締め付けられ、吐き気が全身を支配した。これ以上耐えられなかった。会議に自宅からweb参加していた私は、画面の向こうに居続けることができず、理由をつけてこの会議を途中で退席した。

あふれ出す心のコップの水

思い返せば、異動初日から私は膨大な業務に圧倒されていた。労働問題や遺族との対話、20名を超える部下のマネジメント感情労働に疲弊しながら、絶え間ない問い合わせに追われ、部の将来に思いを巡らせる余裕などなかった。残業は毎晩深夜に及び、休日も仕事が頭から離れない。未来を議論する他の課長たちがまぶしく映る一方で、その場に加われない自分に対する劣等感が日増しに膨らんでいった

心の余裕は日々削られる中、家庭では追い討ちをかけるように息子の発達障害という問題が重くのしかかり、私はすでに限界に達していた。

とどめとなったのは、部課長会議で聞いた「共感度の低さは計画への関わり度合いによる」という一言。まるで自分に向けられたかのように感じ、心が完全に砕けた。何かが壊れた。そう確信した。web会議を退出した瞬間、涙が込み上げ、止めることはできなかった。

ついに、私の心は限界を迎え、心のコップの水は溢れ出した

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