苦情を言う方が辛い
久しぶりに子どもの爪を見てびっくりした。
2ヶ月前の入所時から1ミリも手入れされていない。
伸び切って下から膿んできている。
何回も言ってきたが「来週訪問診療があるのでその時切ります」との言葉を信じていた。
何週間も待ったが、未だに実行されない。
これ以上放置したら指先から壊疽するかも知れない。
何を言われようが、今日私が切らなければならない。
ホームの下に車を停めた。
向かいの家がうるさいと聞いていたが、ならば先に挨拶する方が良いと思った。
「私は挨拶してきます」と言うと、「私が後で言うのでいいです」と返された。
「後からだと余計気分を害されると思うので、先に行ってきます」と言うと、しぶしぶ「では私が行きます」とのこと。
そんな態度じゃ余計に相手をヒートアップさせるだろう。
「私も行きます」と無理矢理同行した。
苦情を言う方も辛いのだ。
はなから「面倒くさい人」と決めつけられるのも悔しい。
呼び鈴を鳴らすと、すぐに奥さんが出てきてくれた。
「毎日朝夕業者が立ち入りしていて、ドタンバタンうるさい」
「訪問看護はいいけど、従業員が歩きタバコをしている」
「そういう職種なのに、駐車場を契約していないのがおかしい」
「私だって言いたくないのよ。母の介護をしているから。
オタクの入居者だってどっかに出ていっちゃったら、私が分かってたら情報提供できるのに」
「社長が何時間も平気で駐車していて挨拶もない」etc.
私は全部納得できた。
言うのも辛いだろうなあ。と思った。
しかし管理人はフリーズしていた。
何を聞いてもシャッターを降ろして、ただ聞き流していた。
介護業界では、かなりマトモな人だと信頼していたが、やはりその程度なんだな。
私はその後ろで「教えて下さってありがとうございました。
そんな思いを毎日されていたなんて、お辛かったですね。
どうか思った時に言ってください。
申し訳ありませんでした」
と深く頭を下げた。
その後も色々おっしゃっていたが、全て理解して頭を下げた。
「申し訳ありませんが私の子はきかなくて、これから爪切りをしたいと思っています。
5分位駐車してしまうのですが、ご了承いただけますか?」
「そんなの全然いいわよ!みんな色々事情があるのだから気にしないで」
と言って下さった。
ただの陰湿クレーマーではないのだ。
いくら言っても改善されないから、怒っているのだ。
コミニュケーションが取れていれば、こんなに気に病まない。
私も過敏体質なので、よく分かる。
ホームに戻ってきて、子どもの爪切りに職員に手伝ってもらった。
管理人が何も言わないので、私が「タバコ吸ってる人誰?」と聞いた。
「あ、ここでは吸っていないです。駐車場に行くときにたまに吸っています」
私「ダメだよー。全部見られているから、やめてね」
「そうだったんですね。わかりました」
帰ろうと玄関に向かうと、管理人が「あーーー!もう嫌!」と言った。
私「あの方の言っていることは理解できたよ。
重要なのは社長に報告することだと思う。
現場が困っちゃうよねー?」
と言った。
大切なのは「お前が悪い」と糾弾しないことだ。
今回は私が客側の立場だから言えた。
しかし世の中は「自分に不都合なことを言う人は全部敵!」と思う人が大多数だ。
私にはとても生きづらい。
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