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移民という繊細な問題を描きながらも、クスッとするところもあり、心温まる映画でした。

カティ・マリー(オドレイ・ラミー)は自分のレストランを開くのが夢。有名シェフの一流レストランでスーシェフとして働いていたが、シェフと言い合いになり、売り言葉に買い言葉で辞めてしまう。
苦労の末に見つけたのが、自立支援施設の料理人。自分のやり方を通そうとして施設長ともぶつかりつつ、強制送還寸前の子たちをアシスタントにして料理を教えることになるが……。

料理人の映画って、大体オーナーシェフと喧嘩して飛び出しません?
まあ、そこから話が始まるので良いとして。

少年たちは300人以上の若者のインタビュー映像から選んだ上で、演劇のワークショップを開催して更に選んだようですが、どの国出身で、色々な国を経由してフランスに辿り着いたと語る場面は、それぞれの少年の本当の話なのかな、と思いました。

親の期待を背負って祖国を離れたり、戦争で国を出ざるを得なかったり、未成年だけで渡仏するには事情があったことでしょう。そうした子たちに手に職をつけさせようとする実在のシェフが、カティのモデルだそうです。

18歳までに就学しないと強制送還というのは切実な問題です。色々な学校に聞いても空きがないと言われたところへ、福祉の担当みたいな人がこんなのがあると教えてくれたことにチャレンジする施設長。

名声でも私利私欲でもなく「この子たちが強制送還されないために」ここまで尽力するのか、という想いもカティを動かしたのでしょうか。

カティは言いたいことは言うので、少年たちも色々な背景があるのだからあんな言い方はやめてくれ、と施設長に諭された時にも反論するかと思ったら、渋々ながらOKしたのは驚きました。ただ、少年たちにフランス語を教えるマダムが何気なく聞いたことからカティの生い立ちがわかると、この時のOKも、シェフと喧嘩した時のこだわりもよくわかりました。

食材について畑から教えたり、一流レストランに連れて行ったりするのは、フランスならではかもしれません。何人かの少年が、自国の料理を皆に作ってあげるシーンも、食って世界を超えるなぁと感じたひとときでした。

思い出して色々書いていると、もう一度観たいというよりは手元に置いていつでも観たい感じがしてきました。

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