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臨床心理士・公認心理師でいらっしゃる東畑開人さんの本は『居るのはつらいよ−ケアとセラピーについての覚書』そして『野の医者は笑う−心の治療とは何か?−』を読んだことがあります。

『居るのはつらいよ』では、精神科デイケアで暴れる人や脱走しようとする人をなぜ身体を張って止めないのだと、看護師や介護士に非難されることに戸惑う様子に共感し(心理系の人は基本、クライエントに触れるのは禁止ですから)『野の医者は笑う』の研究費を得るまでの経緯や沖縄での研究が面白く、元をたどると心理の大先生に繋がるのは興味深かったです。

読んだ2作の延長線上にも『ふつうの相談』があるのでしょうが、文体がかなり異なっていて最初は驚きました。その意図は後でわかります。

思えば、人事時代はあらたまって時間を取って欲しいと言う人よりは、廊下で「そういえばさあ」と意外に重い話をする人が多かったです。これが「ふつうの相談」だったわけですね。

心理士であっても、敢えて心理療法ではなく「ふつうの相談」を選ぶことがあり、では「ふつうの相談」とはどういう位置づけになるのか?それが整理されていきます。冶金スキームとか純金スキームとか合金にするとか、ジュエラーにはわかりやすい表現です。

刺さったのは最後の、ケースが中断して凹んでいるであろう新人心理士への手紙です。臨床心理学の専門誌に掲載されたエッセイだそうで、この時にはまだ「ふつうの相談」は言葉にはなっていなかったけれども、ふつうの相談のプロトタイプになっていた、と。

十か条になっていて、第一条の無断キャンセルが私も初めてあった時には狼狽えたなぁと思い出しました。もっとも、何かいけなかったかと思うよりは、ZOOMの接続を先に疑いましたが……。

4月にあって、先日もありました。継続したくないと言えなかったのか……?わかりませんが、1日前と1時間前にリマインドメールが行っているはずですので、「気が向かない」「もういいかな」と思ったらその時点でキャンセルできるのですけれどね、インターネットでポチッと。

#読書 #読書感想文 #ふつうの相談 #心理学 #心理学がすき

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