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先日『秘密の森の、その向こう』を観た時に、もう一本観たい映画がありました。それがこれです。ラジオ番組で知りました。
すぐ1日の映画の日がくると気づいて、早めに見やすい席を押さえました。土曜日ですし、1日2回しか上映がありませんし。

先が読めなくて面白かったです。
「実は」の設定やどんでん返しではなく、なくはない話なのです。夫婦の間で、親子の間で、隣人との間で、ありそうななさそうな。
何かが発端となって、今までの生活が狂ってしまうこともありそうです。

この映画の場合、発端は自動車事故。
舞台はローマの高級アパートで、その1Fに車が突っ込みます。
突っ込んだのは3Fに住む裁判官夫妻の息子。突っ込まれた家の夫婦には7~8歳位の娘がいて、よく向かいの老夫婦宅に娘を預けています。
また、2Fの女性は夫が長期出張中のため、一人で出産するべく病院へ向かう途中で暴走する車を目撃します。

3Fの家族は、もちろん事故の後始末が大変です。
2Fの女性は、夫が不在がちでいつも孤独感を抱えています。
1Fの夫婦は、娘を預かってもらう向かいの老人に不信感を抱き始めます。

公式サイトによると、原作の小説は危機の真っ最中で終わってしまうらしいのですが(怖い)映画では各々の行動が後々にどのような影響を与えたのか追ったそうです。

「心配のあまり」「怒りのあまり」普段しないような行動をしてしまうことは、多かれ少なかれあるものでしょう。その時にどのように対処するのか、いくつか選択肢があるのだと思います。その選択肢が自分の予想と違ったので、先が読めないと感じたのかもしれません。

先のラジオ番組のゲストだった方は、あと2回は観たいとおっしゃっていて、それはわかる気がします。長編大作もそうですが、初回は筋を追うのに精一杯ではありませんか。わかった上でもう1回観て、表情や台詞を深く味わいたいと思う作品でした。

イタリア・フランスの合作映画で、119分です。
ナンニ・モレッティ監督は事故を起こす息子の父親役で出演もされています。『ローマ法王の休日』もこの監督なのですね。見逃した作品です。

車が突っ込んだ家の夫ルーチョにリッカルド・スカマルチョ。
『あしたのパスタはアルデンテ』『Loro 欲望のイタリア』を覚えています。
この方、わりとすぐカッとなる役のイメージです(そして今回も…)。

ワタクシ、ミステリー映画など観る時はサイコパス探しをするのが好きなのですが、そんな方には別の楽しみ方もあります。
「その人はボーダーラインだろうから、関わらずに今すぐ帰って!」
「この人は反社会性パーソナリティ障害かなぁ。悪いと思っていないみたいだし、他人のせいにするし、責任取ろうともしないし」
「このヒトはADHDかな。思い込みが激しくて衝動性も強い」
「この人は妄想性パーソナリティ障害かな、不安神経症かな。あの体験は妄想だよね。もしくは幻覚?だとすると……」
最後の人は専門家のご意見も伺いたいものです。

原作はこちらですね。
そういえば、舞台を原作のテルアビブから映画ではローマへ移したと聞きました。危機の真っ最中で終わる原作も、とても気になります。

邦題の『3つの鍵』も良いと思います。アパートの門扉も住居の入口も、わりと古典的に見える鍵でした。
(そう見せておいて実はディンプルキーだったり……?)

多くを語らなくても鍵で魅せるシーンもありました。出てくる人たちの人生の鍵ということなのでしょう。時々、失くしたり壊れたりしますけれど。

#映画 #映画感想文 #3つの鍵 #イタリア #フランス #日記 #エッセイ

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