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こちら、ひだまり公園前 ~番外編:伝統②~

「先輩、とうとう来ましたねっ!」
「そうね、しかも着物で!」
「ワクワクする~!」

呉服屋さんの奥の部屋をお借りして、ユイさんとのぞみさんに着物を着せてもらって、いざ!

歌舞伎座

今の歌舞伎座が第五期。2013年4月から柿葺落公演だったから、もう十周年になるのか。今月も、『歌舞伎座新開場十周年 壽 初春大歌舞伎』だって。
ちょっと周りも見てみよう。

喫茶室 檜

外からも入れる喫茶室と売店。

むしろ劇場からは行けなくなってしまった…

「あ、空いてる!先輩、イヤホンガイドを借りましょう!」

場内1Fにもあるけれど、並んでいないならここで借りてしまうと安心
(右側手前の青いところ)
いざ!

切符をもぎって貰って中へ入る。赤い絨毯がゴージャス。
「うわぁ!」

「これね!のぞみさんがお正月らしいと言ってた飾り付け。華やか~」
「立派な鏡餅!」

エスカレーターで3階へ。

3Fのお食事処
3Fはお店が並んでいる
人気の「めでたい焼き」は突き当り

席へ行く。事前に座席表を見てチケットを買ったし、チケットにも最寄りの扉が印字されているから安心。もちろん、場内にも座席の図があった。

どこからでも花道が見える設計

「傾斜は急だけど、思ったより近いね。よく見えそう」
「花道の一番良いところは見えますもんね」

西側

「1階と2階の桟敷席なんて、いつか座ってみたいですね」
「3階は椅子席なんだね。よく見えそう」
「花魁道中が花道を通る演目は東側で、とのぞみさんが言ってたのはよくわかりますね。真正面!」

東側
今はお休み中の一幕見席
座席2列の後ろ側は立ち見

「この後ろ側が一幕見席なんですね」
「冬は並ぶのが寒そうだけど、どうしても一幕だけ観たい時はいいよね」

入った時には緞帳の説明がアナウンスされていたけれど、あちこち見ている間に定式幕じょうしきまくになっていた。歌舞伎っぽい。

「見て見て先輩、振袖のお嬢さん」
「華やかだね~。思ったより若い人が多いね!」
「本当に。なんか安心します」

5分前にブザーが鳴り、いよいよ。
音楽のライブと違って、時間が押すことはまずないらしい。

第二部

一、壽恵方曽我ことぶきえほうそが(14:15-14:47)

初春を寿ぐ歌舞伎の様式美あふれるひと幕
 大磯の廓では、富士の巻狩りの総奉行に任じられた工藤が祝宴を催しています。そこへやってきたのは、正月を祝い人々に福を招く万歳の姿に身をやつした曽我十郎と五郎の兄弟。二人は父の仇を討とうと、工藤と対面しますが…。
 江戸時代から新年に人々の幸せを祈り上演されてきた曽我兄弟の物語。今回は、趣向を新たに舞踊劇としての上演。歌舞伎の様式美が凝縮された華やかな祝祭劇で新年を寿ぎます。

歌舞伎美人より

曽我物というジャンルが歌舞伎にはあるらしいが、仇討ちの話。隣のカップルの男性が、曽我兄弟の話は大河ドラマに出てきたなんて言ってたけれど、見ていないからわからなかった。

せっかく対面しても、その場で斬り合いはしないのか……なんだか釈然としないけれど、それが歌舞伎の様式美というものらしい。

「幸四郎さんが五郎で猿之助さんが十郎の舞踊劇?それは見ごたえありそうね、踊りはお得意のお二人だから」
と聞いていた。踊りはわからないながらも、華やかな舞台と流れるような舞踊でうっとりする時間だった。

幕間(25分)

お手洗いに行くなら幕間まくあいに入ってすぐがいいと聞いていたので、すぐ行ったらもう並んでいた。皆さん、早いなあ。でも、個室が沢山あるので列がすぐ進んで良かった。

大きなシネコンなど、どの個室が空いたかわからないところもあるけれど、扉が開くと扉の上の白いパネルが見えるからわかりやすい。パウダールームが別になっているのもいいな。

3階には食べ物や小物のお店があるので楽しい。時間があったので2階のギャラリーにも行ってみた。

奥の方は「お食事禁止エリア」という札が立っていたので、あの感染症がなければ日本画を見ながらお弁当を食べることもできるみたい。優雅だなぁ。

「先輩、見て見て」大声を出してはいけないので、ヒソヒソと。
「わわ、下から見上げたところだ!」

これぞお正月

「ロビーのあの赤い絨毯、緞通だんつうって言うみたいだけど、ここができた時はふっかふかだったってのぞみさんが言ってたね」
「10年前ですもんね。開場式が当たるなんて凄いなぁ。鳳凰の模様も格式が高い感じがしますね」

大向こうという「澤瀉屋おもだかやっ!」などの掛け声がかかったので、どこからかとキョロキョロしたがわからなかった。一時期は感染症対策で止めていたらしいけれど、対策を万全にして4Fの下手側に専用の場所を作ったのだと立て札に書いてあった。あれだ!

大向こうコーナー
定員2らしく、2人の間にも客席との間にもアクリル板がある

二、人間万事金世中にんげんばんじかねのよのなか(15:12-16:37)

金に群がる人々を黙阿弥が笑いで描く
 明治初年の横浜。早くに母親を亡くした恵府林之助は、父が米相場で失敗して財産を失い、伯父の辺見勢左衛門のもとで居候をしています。ところが、ケチで強欲な勢左衛門一家のもとで暮らす林之助に突然莫大な遺産金が舞い込みます。勢左衛門をはじめとした親戚たちは、林之助に取り入り、なんとしてでも金を手に入れようとしますが…。
 現在でも変わらぬ金に翻弄される人々の滑稽さをユーモアたっぷりに描き出した喜劇。明治の文明開化の新風俗を描いた散切物という世話狂言です。イギリスの戯曲『money』を、令和5(2023)年に没後130年を迎える名作者河竹黙阿弥が翻案した一風変わった作品をお楽しみください。

歌舞伎美人より

配役を見たのぞみさんの感想は……
「彌十郎さんの役(ケチで強欲な勢左衛門)悪そう~!私、彌十郎さん大好き。シネマ歌舞伎の『喜撰/棒しばり』の初日に、彌十郎さんの舞台挨拶見たさに行ったぐらいよ」
という、彌十郎さん推しだった。

イギリスの戯曲を歌舞伎に翻案なんて、河竹黙阿弥って凄いな。カネの亡者を笑いにしていて面白かった。

「先輩、今度は江戸時代の世話物も観たいですね」
「明治も面白かったけど、もっと町人の長屋なんて出てくるのも良いね」
「遺書を読む場面で『勧進帳じゃあるまいし、ちゃんと書いてありますよ』なんて出てきたから、本家の勧進帳も観たいですね」
「助六も面白そうだね」

終演後

絵看板

「先輩、絵看板を見るのを忘れてましたね」
「ほんとだ、これかぁ。手描きなんだよね」

正面入口の左右にある
歌舞伎稲荷神社

さ、地下の木挽町広場に降りて、と。

大提灯が迫力
毎月替わるディスプレイ

「次は歌舞伎座タワーのギャラリーやカフェにも行きたいですね」
「上に庭園もあるんだよね。一日中遊べそう。さ、呉服屋さんに戻って着替えて帰ろうか。ユイさんとのぞみさんに報告しなくちゃ!」

Reported by のりこ&タケちゃん

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《ひだまり公園シリーズ》
① メンタル収納スペース
② こちら、ひだまり公園前 ~接近~
③ こちら、ひだまり公園前 ~花~
④ こちら、ひだまり公園前 ~隣人~
⑤ こちら、ひだまり公園前 ~ココロ~
⑥ こちら、ひだまり公園前 ~エイヨウ~
⑦ こちら、ひだまり公園前 ~みんな~
⑧ こちら、ひだまり公園前 ~番外編:伝統①~

#創作 #ひだまり公園 #なんとなくシリーズ化

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