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「教わったことは、マニュアルにしておいてくれよ」
これが、新卒で入った会社の部長がよく言っていたこと。

前任者が3月で退職、私は4月に入社して全体研修の後に配属されたので、前任者からの引継ぎはありませんでした。代わりに、業務をわかっている人が仕事を教えてくれ、それをマニュアルにしておいてくれよ、ということでした。

「いつキミがお嫁にいったり、死んじゃったりするかわからないんだからさ。マニュアルがないと困るだろ?」
と続くのですが、今ならセクハラなどと認定されそうなことも、不思議とこの上司に言われると嫌な感じがしなかったのですよね~。

もっと細々した各課の庶務業務は、隣の課の一期上の先輩が教えてくれました。これもメモメモ。

お嫁にもいかず、生きてもいましたが、それは翌年に突然やってきました。
5月頃に盲腸で手術したのです。腹痛&微熱等の典型的な症状で早退して受診したのが金曜日、翌土曜日に手術でした。
当時は腹腔鏡ではなくお腹を切って縫い、退院後の自宅療養と合わせて2週間休んだので、せっせと作っていたマニュアルが役立ちました。

4月に入社した新人男性(年上)が配属されたばかりで決まった仕事がないところだったので、ちょうど良いからマニュアルを見ながらやってみろ!と指示されたようです。

お見舞いに来てくれた時、もちろん病床の私を気遣ってくれつつも
「自分の仕事ができたのは、なんか嬉しいな」
と笑顔を見せていました。確かその仕事は、私が復帰した後も彼の仕事になった気がします。

この会社では何度か異動がありましたが、もともと終身雇用のメーカーで、上が下に教えて育てていく土壌があって上手く回っていたのかなと思います。

その後は職歴があり過ぎるので端折りますが、異動や退職で誰かに引き継ぐというのは、無駄な業務ややり方が古いことが判明して業務そのものを見直すきっかけになったり、引き継ぐ方・引き継がれる方の能力が露呈するものであったりするものだと思っています。

《事例1》

派遣で働いていた頃、その派遣先を更新しない事にして、もともといた別の派遣の人に引き継ぎました。席は隣だったので会話することはあっても、パーテーションで手元は見えない環境でした。

その人の席で説明をして実際やってもらうと、まあミスタイプが多いこと。
カタカタとキーボードを打つ音は調子よく聞こえてきていたのは、ミスタイプとデリートキーで消す音がかなり含まれていたようです。

「ここはこのショートカットキーを使うと、楽だし間違えないよ」
「でも、私は右クリック派なの」
アドバイスも聞きません。右クリックして、正しいメニューの上や下をクリックしてしまい、また右クリックからやり直し。だからショートカットキーの方が早いと言ったのに。

時給で働いていますから、その会社はその人の効率の悪い部分にかなり料金を払っていたことになりますね。

《事例2》

長~いこと勤めていた人がここ5年ほどで全員定年退職しています。定年って前々からわかることですよね?一応、その手当としてか30代・40代の人が過去に入った形跡はあるのですが、2年も経たずに辞めています。

そして、マニュアル類がほとんどありません。一番最後に定年になった人は
「来たものをやればいいんだから、マニュアルなんてないよ」
と言っていました。言われたからやる、ではなく、自発的に毎月・毎年などやる仕事ってありますよね……。

定年までローテーションもなく属人的に仕事をするのは怖いなと思いました。どうしてこれで今まで問題にならなかったのかといえば、誰もおかしいと思わなかったらしいのと、上司が他国にいるからでしょう。

《事例3》

その人の業務改善をしてくれというのが、私に与えられた裏ミッションでした。上司は問題があることには気づいていて、一旦仕事を引き取って効率化してからその人に戻して欲しいと言われていました。

「財形の書類はここにファイルと聞いていましたが、この書類はちょっと種類が違うみたいですけれど」
「ああ、この間のはM銀行で、こっちはA銀行なので」
「え?全部で何行と取引があるんですか?」
「え~と……4行ですね」
「この書類もファイルだけですか?」
「あ、これは〇〇なのでここを書いて銀行にFAXして……」

全てこんな調子で、体系だてて自分の業務を整理できていなかった模様。
「財形は4行あって、銀行別にここにファイルされています。M銀行はこう、A銀行は今は休止中の人しかいないので特にやることはなくて、U銀行は……」

大きな幹から枝葉へと説明してくれるとわかりやすいのですけれど。

時間が許せば、今の職場も業務分析からやり直したいぐらいなのですが……無理でしょうねぇ。
せいぜい次の人が困らないようなマニュアルぐらい作っておきますか。

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