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「寂しい」のところ。春

この季節になると
必ず思い出す。
でも、別の思い出にすり替えて
見ないようにしてきた。
不意に涙が出そうになる。
そんな青春と呼ぶには
あまりに曖昧な日々。
桜の散る頃、上着を1枚脱ぐ頃
大学の喫煙所。新校舎の匂い。
新入生歓迎会のチラシの山。

あの18歳の私から
かなりの年月が経って
その時をはっきりと
思い出さないようにしてたのは
「寂しい」がそこに蓋をして
中々開けられなかったから。

そうして沖縄のオレンジ色の風に当たって
季節を忘れようとしてたんだけど
特に、春と秋を忘れようと
してたんだけど
んー。無理みたい。

こんな一生片思いみたいな
身体を捩りたくなる様な
タバコをもう一本吸いたくなるような。
そんな感覚だけを頼りに
生きてきた気がする。

ため息と誰よりも強くなりたいと思う
誰よりも貪欲で身勝手だった私。

一人の時間の
使い方を知らなくて
持て余してた
6畳の愛おしい空間。

当時もしかして私は
彼のことが好きな自分が好き
なのかもしれないって思った事があった。

でも、そんなのは嫌で
嫌で嫌で仕方なかったから
違うって、特に考察もせずに
結論を出したんだけども
今更ながら
これは嫌でも事実で
また、更に言うと
今でもあの頃の自分が
大変好きです。

あの頃の自分と話をしてみたい。
あの頃の寂しいを
今の私が聞いたら
少し笑ってしまいそうなのに
少し泣いてしまいそう

そんな季節。春。
寂しいの居場所。
寂しいのところ。

がんばれあの頃の私。
そして、新生活を迎えた
日本のみなさん
がんばってね。

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