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⑫ 中途半端な貧乏人は、太る

 ダイエット食は、昔に比べてずいぶんと美味しいものが増えた、と思う。だいぶ以前だが、こんにゃくを使った麺などは、まずくて食えたものじゃなかった記憶がある。触感が駄目だった。ダイエット食といえば「まずい」イメージが強くて、痩せようと購入しても、続かなかった。まずいものを食べるなんて、拷問でしかない。
 だから、ダイエット食というものは、長いこと口にしていなかった。

  退院してから、いろいろ試してみた。
 糖質カット麺や、糖質カットインスタント麺、塩分ゼロの蕎麦、糖質カットクッキー等だ。
 この数年で、これらの食事は、変化を遂げたのかもしれない。

 糖質カット麺については、いろんな種類を購入してみて、どうしても触感が苦手なものもあったが、100%豆の「ZENBヌードル」は、ほぼ普通の麺と比べて違和感がなかった。何より便利だ。パスタやラーメン、いろんな使い方ができる。こりゃあいい。野菜をたっぷり入れてラーメンにして食べると、これだけで満足の一食となる。
 糖質カットのインスタントラーメンは、まず日清の減塩カップヌードルを試してみた。あれ……普通のカップヌードルと変わらないじゃないか。おいしい。サッポロ一番の袋入りラーメンも減塩のが発売されたが、こちらも普通のと遜色なかった。
 塩分ゼロの蕎麦も、全く問題ない……でも、蕎麦は山形のこんにゃく蕎麦が好きなので、主にそっちを食べている。
 糖質カットのクッキー等も、いろいろ試したけれど……そもそも、私、そんなにクッキー好きじゃなかった。美味しいけれど、わざわざ買って食べるほどの必要性はない。でも焼き菓子好きな人には需要があるだろう。
 と、糖質カット、減塩食でも、結構「食」は楽しめる。

 退院してしばらくは、お昼には冷凍の減塩食弁当を食べていたが、これもちゃんと味がついていて、美味しかった。「ダイエット、糖質カット、塩分控えめの食品はまずい」という思い込みは、完全に払しょくされた。

  今まで繰り返し書いてきたが、まずいものは食べたくない、美味しいものだけ食べて生きていたい。だって人生は限られている。食という楽しみを失いたくない。
 健康になって減量して、さまざまな数値を落とさないといけない……このふたつは、両立できるのだ。
 いや、両立してやる!

  とはいえ、「お金がかかるんじゃないか」という人はいるだろう。
 スーパーや量販店で売っている安いパスタやお菓子よりも、割高だ、と。 それは確かにその通りだ。カップヌードルだって、味は遜色ないけれど、普通のやつよりは少し値段はする。私が以前、そういうものに手を出さなくなったのも、たとえ百円そこらであっても割高だというのがあった。

  食になるべくお金をかけないようにする生活は、実は太る。
 炭水化物中心になってしまうからだ。

 だいぶ若い頃だが、本当にお金が無かったころ、実家から送られてきた米、うどん等が安上がりだからと、それを中心に食べたいたら、太った。
 貧乏人は、実は太りやすい。本当に食べるものがないのではなく、とにかく安くで済ませようとする中途半端に貧しい食生活は、太る。

 とはいえ、セレブな女性誌のグラビアにあるような「丁寧な生活」に出てくる、朝から彩の美しいサラダの朝食、お昼もビタミンたんぱく質たっぷりの弁当、夜ももちろんヘルシーに……なんて食生活は、金もかかるし手間もかかる、いちいち買い物だって大変だ。やっていられない。
 食事は三食栄養価のあるものを自炊し、運動して……という生活が理想かもしれないけれど、それだけの時間とお金に余裕があるセレブな人が、どれだけいるんだろうか。
 ほとんどの人は、生活に追われている。私だとて、仕事しないと生きていけないから、仕事優先で、毎日きちんと料理なんてしてないし、できるわけがない。休む時間も、だらだらする時間も、欲しい。
 だからこそ、ダイエット、健康食品を活用する。冷凍の弁当、糖質カットのおやつ。

 たまにダイエット本を読んでいると、「市販のお菓子はNG、お菓子は手作りでヘルシーなものを」とあるが、あれも無理だ。作れない。だから、買う。
 かさねて書くが、私の減量生活は、かなりゆるい。
 もっと運動して、もっと徹底的にヘルシーな食生活にして、ちゃんと自炊して、揚げ物や甘いものを完全NGにしたら、今以上に減量できてるだろう。
 だけど、長く続けていく上で、「我慢」をするのは、無理だ。 
 絶対にリバウンドする。
 今までだって何度も失敗を繰り返してきたのだから。

 一年に20キロ落ちました! みたいな話を目にすると、焦りはする。でも、体重の減りは遅いけれど、今ぐらいゆるいのがちょうどいいのだ……と、自分に言い聞かせている。

 

 

 

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