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もしも産育休明け2児ワーママが「対岸の家事」を読んだら | 朱野帰子「対岸の家事」 【夏の読書感想文 #5】

「対岸の家事」だと思っていたものは、気付いたら全部全部「此岸の火事」だった。

本書に出てくるのは……
専業主婦で1児の母。
共働きワーママをする2児の母。
バリキャリ妻を支えるべく育休を取得したパパ。
認知症が進んでいくおばあさんと、介護のために同居する独身の娘。
一人きりで子どもを生み育てようとする、シングルマザー……

最初はみんな、「対岸」だったけど……
でもその実、ぜーんぶ、繋がっていた。

朱野帰子 「対岸の家事」

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「わたし、定時で帰ります」の朱野帰子先生の育児小説、これまた一気に読みましたよぉおおおお!!!!!!


育児をする人なら、子育て世代の人なら、きっと共感する感情の数々

育児のつらさ。ワンオペのつらさ。ワーママのつらさ。ワークライフバランス。親の介護。

「専業主婦」時代。一人で家事育児に疲れ切って、ボロボロ泣いた夜もあった。
今はワーママとして2児をかかえ、短い時間の中で必死で働いて、頭をさげて、帰宅してからも育児に追われる。

詩穂の気持ちも、礼子の気持ちも、「ああ、わかるなぁ」って、涙が出た。


この世の中は、ずばり「クソゲー」である


2児ワーママ・礼子の後輩イマイの言葉が私は好き。子育て世代が働いている世の中は「クソゲー」ってやつだ。

礼子は自分の話をした。平日は夫に頼れないこと。病児保育が一杯なこと。毎朝、二つの保育園に送り迎えしていること。そのうち一つは二駅も離れたところにあること。でも、ベビーカーで通勤電車に乗ると嫌がられるから、どんな大雨でも自転車を漕いで行くこと。

イマイは黙って聞いていたが、ぽつりと「無理ゲーだな」と言った。
「なにそれ?」
「ルール設定がめちゃくちゃだったり、厳しすぎたりして、誰もクリアできないゲームのことです。ファミコン初期のころに出回ったんです。お年玉を貯めて買ったのがそれだったりすると腹立って、ゲーム会社に電話したこともありますよ。クソゲーとも言います」
「ゲームでも同じです。プレイする側がバグを見つけて、メーカーに報告することなんかざらですよ。そうやって業界を育てていかなきゃだめなんです」


これを受けての、(復活した後の)2児ワーママ・礼子は……

「クソゲーが嫌なら設計側へ回れ」
「バグは自分の手で消さないといけない」
「家事労働する人みんなで、
この業界を育てていかなきゃいけないんだよ」


はーーー、強い。強すぎる!!!すき!!!

「わたし、定時で帰ります」の感想を書きまくってた時も思ったけど、なんで私が朱野帰子先生の本をこんなに読んでるかって、きっと、女がめちゃくちゃ強いからだ。

負けない!なにくそ!しゃーんなろー!って、おっきい力に立ち向かって行くからだ。

小学生時代のバイブルが「神風怪盗ジャンヌ」だった私にとって、「強い女」はずっとずっと憧れ。

今の私にとっての憧れは、「わた定」であり、「対岸の家事」の礼子であり、詩穂だなぁと思う。


そういう強い女に、私もなりたい。


実はつい先日、私になんてどうにもできない、無理、ごめんなさい、逃げます、さようなら、「わた定」みたいにはなれない、道なんて作れない、とメソメソ泣いて心がポッキリ折れたばかりなのであるが。

それでもやっぱり、私は、強い女が好きだ。
それは私自身が弱っちいちっぽけな人間だからかもしれない。だから強さに惹かれるのかもしれない。

それでも。礼子だって、「ゲームオーバー」になっていた。でも、そこからなにくそ!って、立ち上がった。

今私も、こっそりひっそり泣く夜を越えて「不屈の精神」を培っているところ、なのかもしれない。そうでありたいよ。
働くことを選んだのも、今の職に、今の職場に戻ることを決めたのも私自身。私の幸せの中に「働くこと」は必要な要素だって思うから。

この先、働き方のかたちは変えていくかもしれないけれど……きっと、どこいたって、幸せのかたちは見つけられるさ。


子育て世代の悩みは、対岸じゃない。
きっと、全部繋がってて、「此岸」だと思う。


ワンオペは誰だってつらい。専業主婦だって働いてたって男だって女だって、育児と家事と仕事をこなし続けるのは、つらいことだよ。

私にできることはこれっぽっちかもしれない、目の前のことをやっつけていくことしかできない、でも、それが未来につながっていくって信じて、明日からもまた働く。

そういう勇気を、もらったよ。
またしても、朱野先生の本に、もらったよ。

負けない!なにくそ!しゃーんなろー!


余談というか、ふんわりほわほわ光るものの話

詩穂は「あじさい」を心の支えにしていたけれど、私にとっての支えは「くらげ」です。

社会人1年目で心が折れた時も、ワンオペ育児に疲れ果てて心を病んだ時も、そして今、ワーママしんどい時も、私を癒してくれるのは「くらげ」。

暗闇にぼんやり光って、ほわほわ揺れるの。
なんにも考えずに、くらげを眺めるのが最高の癒しです。

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水族館の年パス、途切れずずっと持っています。


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猪狩はな 💙@hana_so14

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