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【無名人インタビュー】好奇心をエンジンにして誰もやっていないことをやる人

出会えて良かったなあ、という人は頭に浮かびますか?


どんな人に出会って、どんな人が周りにいるかで、身の回りの人間社会の様子は決まって、それによって環境が変わってくるんですけど、そういうのって正直「運」だな、と思います。

今回お話をきいたちょこばななさんは、「運」によって割り当てられた環境をうまく使うことに対して、すごく貪欲な生き方をしてきているみたいです。たぶん無自覚にそれをやってきていて、鍵となったのは好奇心なのかな、と思いました。

変わった先生に数学を教えてもらったりとか、
大学受験に失敗して学力による階層を味わったりとか、
細かいエピソードもけっこう好きなので、最後まで読んでもらえたら嬉しいです!


ちょこばななさんnote





1 人生の節目に携わる仕事

ナカザワ:今日はどんな話にしましょうか?

ちょこばなな:そうですね、割とざっくばらんになんでも話せればと思っています。

ナカザワ:それでは、今されていることからお聞きしてもいいですか?

ちょこばなな:はい、今はお仕事で新卒専門の就活のエージェントをやっています。会社と学生を繋げる仕事で、就活支援のほうですね。

ナカザワ:なるほど。就活の支援、エージェントということは企業の方とやり取りして紹介したりするという感じでしょうか。

ちょこばなな:基本的に私は学生の担当なので、この学生はこういう企業に合っているんじゃないか、というマッチングを大事に、学生さんの指向に合わせて企業を紹介しています。逆にその学生さんが持っている指向だと自社の取引先で相談できないというときは紹介はできないので、別のかたちで、模擬面接とか支援しながら、お仕事をさせてもらってます。

ナカザワ:いろんな学生さんと話をする機会があるってことですね。お仕事は始めてからどのくらいですか?

ちょこばなな:4月に転職したばかりなので半年くらいですね。その前は新卒から3年間学習塾に勤めていました。

ナカザワ:学習塾と採用エージェントというと、学生と関わる以外は結びつきがあまりないような気がするんですが、どんなきっかけでこのようなキャリアにしようと思ったんですか?

ちょこばなな:まず、人の人生の節目に携わる仕事がしたいという思いがありました。
学習塾だと、大人になってからも大事な、進路決定だったりとか幼少期の成長だったりに携われるんです。ただ、学習塾だと、今日子どもにかけた言葉が響くのって、1年後、2年後、10年後とかっていう、けっこう長期スパンになってくるので、そこがもう少し短期スパンで成果として分りやすい仕事に興味があるなあと思って、エージェントいうところにたどり着きました。

ナカザワ:なるほど。面接みたいな質問をしちゃいました。転職面接みたいですね…。人生の節目に携わりたいっていうのは、どういうきっかけで思うようになったんですか。

ちょこばなな:私、おばあちゃん子なんですけど、自分の人生を振り返った時に、祖母から、あなたすごく人に恵まれているよね、って言われることが多かったんですね。でも「人に恵まれている」っていうことが理解できるのって結構大人にならないと難しいじゃないですか。
それで、大人になってから振り返った時に、この時にあの人に出会ってたからあれから脱却できたな、とか、この時にあの人に出会ってたから自分の将来が広がったな。とか、そういう風にかかわってくれた人が何人かいることが分かったんですよね。自分が誰かにとってそういう人になれたらいいなっていう思いから、具体的に、節目に携わるっていうとことにたどり着いたっていう感じですね。

ナカザワ:なるほど、すごく納得感ありますね。

ちょこばなな:味方になってくれる人が一人でもいるのは良い環境だよ、とか言ってくれるおばあちゃんだったんですよね。言われた当時は、一人しかいないじゃん!、みたいな反応をしていたんですけど、不思議なもので、そういう風に言われてると、私って恵まれてる人生なのかも、って思えてくるんですよね。

ナカザワ:振り返って恵まれてたんだなあって思うような、そういう感じですかね。

ちょこばなな:そうですね、やっぱり当時は、人に恵まれるってどういうことだろう、と思ったんです。一番最初に言われたのが中学校2年生とかだったんで、14、15かそこらでは、その意味を理解する年齢にはとうてい達してなくて。
それからふわっとどこかで「人に恵まれる」ってどういうことだろう、と考えていたとは思うんですけど、大学生になって、いろんな環境があるなっていうのを知った時に、ああ、そういう意味なんだな、確かに人に恵まれてたなって思いました。
振り返ってみると、中学生になった時は勉強が嫌いだったけど、塾の数学の先生が、英語か数学どっちかだけでもできるようになりなさいって言っていたなあ、とか。それで数学がすごく好きになったし、学ぶことが楽しいなって思うきっかけになったんですよね。そういうのが、振り返ると確かにちらほら出てくるなあってところの気付きですね。


2 いろんな人、いろんな環境

ナカザワ:大学生になっていろんな環境があると感じたというのは、どういったきっかけだったんですか?

ちょこばなな:大学受験は大コケしまして、通ってた高校の偏差値よりも、5~6くらい低い大学だったんです。それで、いい意味ではない、「環境の変化」を初めて味わった気がします。周りの学生が、私が知ってる18歳と違うっていうことに気が付いたんですね。それで、そう思うような環境にこれまでいたのって恵まれてたんだなって思ったと同時に、自分で人に出会う努力はしていかなければいけないんだなっていうのを学びました。

ナカザワ:自分で人と出会う努力ですか。

ちょこばなな:大学受験に大コケしたっていうのもあって、卒業するときにはその大学を卒業してよかったって思えるような学校生活を送りたいなと思っていたんです。でも、入学して3日くらいたった時に、このままただ授業だけ受けていたらどんどん堕落するな、と感じて。
当時自分が通っていたコースは同級生が80~90人くらいいたんですけど、その人たちが誰もやらないようなことを大学1年生のうちからやるってことからスタートしようって思ったんです。当時教育学部に通っていたので、教育学部の人がやらなそうなことって何だろうって思ったんですよ。
それで最初に、誰も見ていなそうな構内の掲示板を端から全部見ていったんです。そしたらインターンシップの合同説明会のチラシが貼り出してあったのを見つけたんです。当時は幼稚園の先生になりたかったので、企業インターンって自分の進路に全然関係ない物だったんですけど、それを逆手に取って、大学1年生の夏に企業インターンに参加しようと思ったんです。

ナカザワ:会社を知るとか仕事を知るとかではなくて、人と違うことをやろうと思ったときのインターン参加だったんですね。

ちょこばなな:そうですね、あとは、社会人の人とつながって、今の自分の周りにいる人とは全く違う環境で、違う価値観で、どんな常識で働いている人がいるのかを知ることができたら、多少は下落する一方ではなくなるのかなって。当時はそういう思いで参加しました。まあ、インターンの選考ではその理由は使えないですけどね。
一応大学と連携している会社のインターンで、人気のある会社はやっぱり倍率が高くて書類選考があったんですよ。そういう会社でのインターンもすごく力になると思ったんですけど、周りが大学3・4年生の先輩ばかりの中で、そこを勝ち抜く力は大学1年当時にはないなと思ったので、確実に参加できる会社を選びました。申し込みがネットでできたので、倍率が全部見れたんですよね。

ナカザワ:大学で偏差値が高校より5~6下のところに行くということで、ランクも下がっているのかなと思うんですが、その中でいろんな人がいるなあっていうのは、どんな時に思いましたか?

ちょこばなな:これは私の体感なんですけど、18歳とかのころだと、学歴っていう学力レベルと人間力って比例すると思ってて。
例えば待ち合わせ一つとっても、時間を守るか、5分前行動か、遅刻するかとか。待ち合わせに関しては当時衝撃的だった出来事がありまして。
幼稚園の先生を育成するコースだったので、ピアノの授業があったんです。クラスの3人くらいの男の子から、学校が休みの日にピアノを教えてほしいって言われたんです。でも、何時に大学に行けばいいか前日まで連絡がこなかったんですよ。私は大学4年間実家から片道2時間かけて学校に通っていたので、もし朝からって言われたら困るから、こっちは7時とかに家を出るわけですよ。そしたら10時か11時ごろになってから、その男の子から、「今日なくなった」っていう返事が来て。でも私はもう大学にいる、みたいな。
シンプルに、男女問わずそういう人にそれまで出会ったことがなかったんです。同じ18年の人生を生きてきたはずなのに、大学という偏差値で分けられる世界に立ったときに、Fラン大学に行った場合って、人間としてのレベル感も下がっちゃうんだっていうことを危機感として感じました。それが自分の中でも当たり前になったら嫌だなっていう感覚になってしまって。

ナカザワ:なるほど、自分もそういう風に変わっていくかもっていう…

ちょこばなな:それで、抜け出さなきゃいけないなって感じたんです。結局その時、前日に連絡がこなかったのって、前日に飲みつぶれて寝てたっていう話だったんですけど、人にものを頼んでおいてそれはないなっていうのもありますし、その後教室で会ってもごめんねの一言もなくて。
人間性のところで、自分が今まで持っていたものを失ってしまうことに恐怖を覚えて、そこからはもう、とことんみんながやらないことをやって、いろんな人に触れて、いろんな人を吸収しないと、ダメな人間になるなっていうのを思ってました。

ナカザワ:なるほど。
あんまり自分の話するのも良くないですけど、今ぱっと、私はたぶんそれと逆の経験をしているなと思いました。すごく田舎の出身なので、中学校とかもほんとにピンキリで、偏差値でいったら一番上と一番下の差は5~7なんてものじゃなくて、相当差がある環境でした。ちょっと勉強して高校、大学に入学すると、学力ってこういう方向に人を選抜していくんだな、みたいなことは確かに思ったことはありますね。それがすべてではないですけど、一つの要素としてはありますよね。

ちょこばなな:それはすごく思いましたね。

ナカザワ:結構ショッキングですよね。

ちょこばなな:そうですね、一番最初にそれに気付いた時に、私がこれを当たり前として大学の同級生たちと友達になったとしたら、高校の時の友人とは会えなくなっちゃうかも、って頭によぎって、それが嫌だったんです。

ナカザワ:中学高校の時は周りにそういう人はいなかったって言うことですか。

ちょこばなな:高校はすごく自分に合った学校だったと思います。高校生の頃は、この人のこういうところがいいな、自分も欲しいなっていう友人がすごく多かったです。
中学校は公立でそのまま上がっていったので、暗黒時代だった記憶があります。同じであることがすべての時代というか。ヒエラルキーがトップの子がかわいいって言ったらかわいいとか、休み時間、一緒になぜかトイレに行くとか、そういうのがあんまり得意じゃなかったんで、なんでみんな同じでないといけないんだろうって思いながら、その輪から乱れないために個性が死にかけた時代でした。中学生のころは人間としてのレベル感が違うというよりは、思春期ならではの感性を感じたっていうのはあるかもしれないですね。


3 5人の彼女を持つ先生

ナカザワ:後から振り返ってこの人に出会えてよかったっていうのは中学高校時代でありますか?

ちょこばなな:そうですね、中学生の時に通ってた塾の数学の先生が本当にそういう人でした。宿題のチェックをしない、すごく変わっている先生でした。

ナカザワ:チェックをしないということは、宿題は出すんですよね?

ちょこばなな:そう、出すんですよ。出すんですけど、「俺はお前らのこと信じてるからチェックしないけど、別にやらなくてもいいよ、力にならないだけだから。分かんなかったら持っておいで」って言うような男の先生でした。
中学生の時ってそれがすごく斬新で、なんでチェックしないんだろうって思ってたんですよね。そんな先生は知らなかったので。でも、やってみて本当に分からないと思ったらいつでも聞けるように、先生は塾の中にいて、この問いが分からなかった、って言えば分かるまで徹底的に教えてくれるんですよ。
中学生で一番最初の数学で、正負の数っていうマイナスの数が出てくる単位があるんですけど、それが全然理解できなくて。

ナカザワ:マイナスの概念が初めて出てくるところですね。

ちょこばなな:そうです。本当に分からなくて、数学をやりたくなくなった私に対して、「じゃあ賭けをしよう」ってその先生が言ったんです。今週1週間で正負の数のプリントを100ページ分問題を印刷してくるから、それを全部解いても理解できなかったら一生数学なんてやんなくていいって。A4に10問くらい書いてあるプリントなんですけど、100枚とりあえず自分で考えて、それでもわかんなかったら数学はやらなくていいよって言われたんですよ。反抗期もまっただ中の年齢ですし、100枚やったらやらなくていいんだ、って思ってやり始めたんです。でも、30枚くらいからけろっと理解できるようになって。

ナカザワ:へえー!すごい。

ちょこばなな:数をこなしたことによって、自分の中に仮説が生まれたんだと思うんですよね。50枚くらいでわかるようになっちゃって。そしたら「よかったじゃん、俺はできると思ってたよ、50枚くらいでわかるなんて天才だね」、みたいな感じでのっけられて、そこから数学って面白いなっていうフィルターに変わったんです。

ナカザワ:管理しないスタイルが学校の授業と真逆ですね。宿題しないと怒られる、分かんなくても進んでいく、とか。

ちょこばなな:そうですね。あとは、大人を見せてくれた先生でもあったんですよ。今はたぶんそういう先生がいたらアウトだと思うんですけど、授業終わった後に分からないところを聞いてると、「いやあ、今日さあ、3人目の彼女が夕飯作りに来てるんだよね」とか言っていて。3人目とは?みたいな。

ナカザワ:気になりますね。

ちょこばなな:「俺5人彼女いるんだよね、月火水木金で。」みたいなことをさらって言ってきて。

ナカザワ:ほんとにそういう人っているんですね。

ちょこばなな:付き合った数が5の倍数の人と結婚したいんだ、とか言っていて、それを中学生に話す先生ってすごいなーって思っていました。

ナカザワ:変わってますね。でもそういう人じゃないとプリント100枚作って渡すようなこと、しないかもしれないですね。

ちょこばなな:確かにそうかもしれないです。いい意味で、大人っていうのを違う角度から教えてくれた人でした。例えばお母さんとか家族って、好きな人が二人いること自体よくないことだよっていうような教育じゃないですか。堂々と「5人彼女いてさ」みたいなことを言う先生を見て、当時の私はすごく人間味があるなあと思ったんですよね。女の人を傷付けているから今考えたら全然よくないことだと思いますけど。

ナカザワ:彼女5人も他の4人がいることを知っているのかとか、3人目の彼女ってことは水曜日だったのかな、とかいろんなことが気になりますね。

ちょこばなな:そういう意味で、ちょっと違った大人っていうのを見せてくれるような人でした。だから、先生と生徒とか、社会人と中学生じゃなくて、人と人として向き合ってくれるような先生だったんですよね。

ナカザワ:あー、なるほど。

ちょこばなな:「英語と数学どっちか出来たらいいよ」って言ってくれたのもその先生だったし、先生というよりは人生の先輩みたいな存在でした。その先生に出会ったことによって、数学っておもしろいなっていうのと、大人になるって楽しそうって思いましたね。

ナカザワ:それ、結構大きいかもしれないですね。学校の先生とか親って、あるべき大人の姿しか見られないじゃないですか。こうあるべき姿の部分しか子供には見せてくれないから。彼女5人いるべきとか絶対誰も言わないですし、むしろ非難されると思うんですけど。すごくいい出会いですね。

ちょこばなな:そうですね、だから中学校のときも、学校でいじめられているんだろうなあ、とか、大人だから気付いていたんだろうけど、そういう言い方はしないで、個性大事にしていいんだよ、とか言ってくれたり、嫌味なく受け止められる先生というか。
同じ中学校の子も同じ塾に通ってたんですけど、その中に、学校と塾とで私への態度が180度違う子がいたんです。学校だと無視したり悪口言ったりしてくるけど、塾で会ったらすごい親しげにしてきて。そういうことを普通にその先生に相談してましたね。
結局、私が仲良かった他校の男の子と仲良くしたくて私と仲良しに見せたかったみたいですけど、当時は意味わかんないな、と思ってましたね。

ナカザワ:そういう人のメンタルの強さは計り知れないですね。中学生って学校と家の中以外知らないですから、いい出会いですね。

ちょこばなな:すごくいい人だったと思います。今は結婚してお父さんになってるみたいでした。

ナカザワ:お相手は何番目の人だったか気になりますね(笑)


4 明日の選択のために必要な言葉


ナカザワ:学習塾に勤めていたのは、その先生の影響もあるんですかね。

ちょこばなな:そうですね、幼稚園に通っている時から担任の先生が好きで先生になりたいって思ってたんですけど、中学生でその先生に出会ったときに数学の先生になりたいと思ったので、先生を目指した理由になった人の一人だったと思います。

ナカザワ:教えることもそうですし、人生の大事な時期に関わっていくお仕事でもありますよね。

ちょこばなな:そうですね、自分が担当している教室が、子どもたちにとって学校でも家でもない一つの居場所になったらいいなと思っていたので、それはその先生の影響をすごく受けていると思います。

ナカザワ:今は、今日かけた言葉が、その学生の明日の選択に関わるかもしれない、そのくらいのテンポ感で関わるお仕事をされていると思うんですけど、その状況に身を置いて良かったことはありますか。

ちょこばなな:今まで学習塾で担当していたのは小学生の子だったので、その子自身の意思決定に関わっていくだけじゃなくて、親御さんにかけた言葉が影響したりっていう、間接的な影響がすごく多かったんです。でも就活生の場合は、私がかけた言葉がダイレクトに学生に響いて、その学生の選択で決まることが多いので、その点が一番違いとして大きいですね。

ナカザワ:4月からお仕事されてるってことは、来年入社予定の学生の進路も決まってくるころでしょうか。

ちょこばなな:そうですね、多くは決まっていて、決まっていない子もちらほらという状況ですね。

ナカザワ:まだ半年だとは思うのですが、今後どういった形で学生に関わっていきたいとかはありますか?

ちょこばなな:すごく抽象的ですが、就職活動そのものも、働くことも、捉え方を変えることによって楽しいものなんだよっていうことが伝わったらいいなって思っています。働くことに対して義務の印象がすごく強い学生が多いなと思っていて、それがもう少し、自分のためのところに向けられたとしたら、そこから逆算して就活自体も楽しめるのかな、なんて考えています。
就活も仕事も楽しくできるものだと思うし、社会人には社会人の良さがあって、楽しみ方がある、それが伝わったらいいなと。

ナカザワ:楽しめるようになってもらうためにどういうことをやっていきたいですか?

ちょこばなな:すべての「できない」のフィルターを外してもらって、やりたいことを明確にするっていうのが上手にできると、採用側にもわりと響きやすいなっていうのは感じています。
例えば、私は大学受験に失敗して、Fラン大学だから、こんなところには入れない、とか、たくさんお金を稼げるだけのスキルが自分にはないからお金がかかることは将来できない、とか、そういう無意識の制限をかけて、自分の可能性を無意識のうちに諦めてしまうっていう人がすごく多いなっていう風に思います。
そういう制限が一切なくなったとしたら、人生の中でどんなことしていきたい?というところからヒアリングをして、そこからやってみたいこと、成し遂げたいことを聞いていって、お仕事の範囲で叶えられるならこれだよね、とか、それが叶えられるお仕事ってどういう仕事だろうねって考えてもらいます。
働く時間が一日のなかできっと一番長いし、一週間の中で一番多いですよね。その時間さえも叶えたいことを叶えるための手段として使えるんだったら、土日休みで月曜来るの嫌だなって思うかもしれないけど、そこまで深刻な「嫌だな」じゃなくなるんじゃないかなって思っています。なので、未来はどうしたい?っていうのを聞くようにしていますね。

ナカザワ:未来はどうしたい、の問いに対して、学生さんはすぐ答え出せますか?

ちょこばなな:いやー、1時間のヒアリングとかだと出てこないですね。
なので、人生でやりたいことを100個書いてくることを宿題に出してます。100個なくても良いですし、規模が大きいことじゃなくてもいいですし。このお店に行って何を食べたいとか、この友達とどこに旅行に行きたいとか、そういう身近で叶いそうなことでいいから書いてきてほしいっていうのと、ひとりで考えてると限界が来るから、家族とか友達とかと例えばコロナがおちついたら何したい?とか話してみて、いいものがあったらコピーしてもいいよ、と言っていて。思っていることを全部出してもらえるようにしています。

ナカザワ:そういう機会があることが大事かもしれないですね。

ちょこばなな:最終面接に近づくにつれてそういう質問を面接でされることもあるので。考えたことがなかった、だと困りますけど、何となく考えたことがあることを増やしてあげるといいなと思っています。
例えば、いずれ海外に住みたいです、っていうのも立派だなと思っていて、そのために、時期はいつくらいかな、とか、その時に外国に行くのって実際どのくらいのお金がかかるのかな?調べてみようよ、と具体的にしていくんです。それだけ稼ぐとしたら、どれだけの仕事をやったらいいのかなっていうのを逆算してあげる。話す中で海外に行く理由が明確になっていくと、そのために会社ではこういうことを身に着けたいとか、海外事業部がある会社であれば、いずれ海外に行きたいからそれを目標に、新卒ではこういう実績を残したい、みたいなことが自分の言葉で語れるようになります。そうするとだいたい受かるんですよね。

ナカザワ:社会人になったから今は分かるんですが、そういうことが見えている受け答えと見えていない受け答えってありますよね。


5 「やったことがないこと」は全部「やりたいこと」


ナカザワ:今の経験を通して叶えたい目標などはありますか。

ちょこばなな:価値観やこれまでの経験が自分と近い学生さんを受からせるのって想像しやすいんですけど、かけ離れている学生さんを受からせるのは難易度が高いので、そこが網羅できるようになりたいなって思ってます。

ナカザワ:それこそ、ちょこばななさんが大学に入ってこんな学生いるんだって思ったような人も出会う可能性あるってことですよね。

ちょこばなな:そうですね、なので、そこまでリカバリーできるようなキャリアアドバイザーを目指したいなって思います。

ナカザワ:なるほど、そしたら今の会社でいろんな人との出会いを積み上げていって、より多くの人に、より良い選択肢を。

ちょこばなな:そうですね。まあいつまで今の会社にいるか、とか、また転職を考えるかっていうのはあると思うんですけど、何事も3年は、というのは自分の中にあります。
なのですぐには転職を考えてはいないんですが、転職フェアに行くのが好きなんですよ。
結構面白くて、何が面白いかっていうと、辞めたくて次を探している、切羽詰まっている状態ではないので、そういう意味ですごく冷静に企業を見れるんですよね。この会社って、なんでこの転職フェアで中途の人材が欲しいんだろうって冷静に考えたりとか、早期離職が多いのか、中堅どころが抜けるのか、とか考えながらいろんな会社を見れるっていうのがすごく面白くて、おすすめです。
しかも、自分の市場価値が確かめられます。こういう会社とかこういう業界には必要とされやすいんだなっていうのが分かっていれば、いざ転職しようとしたときの材料として貯蓄されていくので。

ナカザワ:なるほど、そうですよね。今話を聞いて、私の人生でやっておきたい100項目の中に転職フェアに行く、が入りました。

ちょこばなな:それはよかったです。
私は幼稚園教諭と保育士の資格を持っているので、幼稚園保育園フェアに行ったことがあるんですけど、転職フェアなのでそれぞれ色を出してくるので、それによって、幼稚園とか保育園とかってITに力入れているところが出始めているんだな、とか。

ナカザワ:すごく勉強になりそうですね。

ちょこばなな:個人的には、お子さんを幼稚園や保育園に入れる前に保護者が一番行くべき場所だなって思ってるんですよね。無理だとは思うんですけど。
そうすると、現場で働いている人の働き方とか、園の先生の福利厚生が知れます。やっぱり保育園の先生が生き生きとしている方が我が子を預けたいじゃないですか。

ナカザワ:そうですよね。

ちょこばなな:そうなったら、園見学に行くよりは転職フェアに行った方が見えるんですよね。それが最近の発見でした。結婚もしていないんですけど。

ナカザワ:例え方おかしいかもしれないですけど、チョコレートを買うならフェアトレードの方を買いたい、というか。保育園の先生もいきいきとしていてほしいですし、健康に働き続けてほしいですよね。
話を伺う中で、ちょこばななさんの視点って独特だなと思ったんですが、人と違うことをするっていうことは自然とできるんですかね。

ちょこばなな:まあなんか、どっちかっていうと好奇心がバグっていて、やったことないことはぜんぶやりたいこと、みたいな感じで生きているんです。ひとりで行動するのが苦ではないので、例えば、今月この日に予定入ってないなあ、この日にやってるイベントなんかないかなあって調べて行っちゃう、みたいな。

ナカザワ:そのまま行動できてしまう瞬発力とかも相まって、いろいろな経験ができているんでしょうね。やっぱり、主に学生時代の気付きというか、そういうのが節目になっている感じはしますね。

ちょこばなな:そうですね。大学 1・2年生で夏冬インターンにに行ってるんですけど、そのときに、モンスターペアレンツってなんで生まれるんだろうって考えたことがあったんです。
どっちかが100%悪いことって世の中に少ないですよね。幼稚園の先生から見たら企業のことを知らないから、例えばここの保護者は電話をしてもすぐ出てもらえない、とか思ったとして、企業では電話が来てもすぐ帰れるものじゃないってことを幼稚園の先生は知らないかもしれない。そのギャップって大きいなって思ったときに、いろんな会社の人に会ったり、いろんな業界の人を見て幼稚園の先生になったら、これは無敵なんじゃないかと。それに気付いて謎のフィーバーを起こした時期があったんですね。
大学2年生のときに、Wantedlyっていうベンチャー企業が集まっているアプリを使って、20社くらい話を聞きに行ったんです。インターンのためとかじゃなくって、幼稚園の先生を目指していて、モンスターペアレンツってなんで生まれるかって考えたときに企業理解が足りないって思ったんですけど、こういう業界で働いている人の話を聞きたくて、とか言って。

※Wantedlyは「仕事のSNS」と名乗っているようですね。


ナカザワ:それでアポ取れるんですか?

ちょこばなな:えっと、なんか当時のWantedlyって今ほど流行ってなかったんですよ。今はベンチャーと言えばWantedlyって感じですけど。
「興味がある」・「話を聞いてみたい」・「インターンに参加したい」、とかが選べるんですよ。そこに「興味がある」とか「話を聞いてみたい」って送ると、会社側から、一回話しましょうという反応がすぐ来る時代でした。企業側は、ただ会社に興味があると思って話にくるんですけど、わざわざ私も幼稚園が~とか語らないで、わかりました、いつが空いてます、みたいな感じで現場に行っちゃうっていう。
行ってから理由を伝えたときに、すごく親身に話を聞いて、説明してくれる人だったり会社の中を見せてくれる人もいば、そういう目的だったら時間の無駄だから帰ってほしい、という態度を示してくる人もいました。大人になっても、こっちが同じことを伝えてもこれだけ返し方って違うんだなあっていうことを自分の肌で感じて帰ってくるうちに、民間企業への興味が増すっていう感じでした。

ナカザワ:経験を肌で感じる機会を増やしていったってことですね。人生で出会える人って限られてくるので、動くのって大事ですよね。少なくても生きていけるけど、多ければ違った楽しさがありますよね。すごく前向きな気持ちになりました。
こうやって話を聞いて知ることができるのもちょこばななさんの一部分ですけど、個人的には、人生の転機みたいな話を聞くと、人となりが見えてくるなと思いました。
今日はご参加いただきありがとうございました。楽しかったです!


あとがき

ちょっとゆったりしたテンポ感をお持ちで、自分のペースで突き進んで来た方なんだなあと思った今回。
ちょこばななさんにとって、人生の節目に携わる仕事がしたいっていうのは、「他人に影響を与えたい」というよりはもっとシンプルに、様々な人が節目に差し掛かった時にとる行動だったり、そこにあらわれる一人ひとりの考え方を見たい、知りたいって感情なのではないかなとまとめながら感じました。(個人の感想です。)

自分で選んだ自分が見たいものも、偶然出会った見るつもりがなかったものも、区別せずに自分の栄養分にできることはすごく大きな財産になっているんだろうなと想像できます。


あとですね、最近本当に、qbcさんの無名人インタビュー受けて、他の人も気になって、というパターンでご応募いただく方が多いです。今回もそうでした。
人生経験においても、インタビュアーとしての経験値においてもとても足りないことが多いので、インタビュアーとしての技量の差がすんごく出てしまうのでは??と言う感じで怖さもあるんですが、もうどうしようもないので開き直って今の私が聞けることを聞いています。

qbcさんによるインタビューはこちら↓


そういうわけなので皆さん、私の技量については承知したうえで申し込んで下さいね。



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