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たかが10歳、されど10歳。-離婚-

親が離婚しそうだ。



離婚の前段階としての別居が始まっており、
今日は今の現状、これからについて弟に伝える家族会議が開かれた。



私に弟は二人いる。長男は16歳、次男は10歳。



長男は今の離婚しそうな現状を理解しており、父が別宅に住み始めていることを知っている。



次男は両親の仲が悪いことは多少理解できているだろうが、離婚するかもしれないことは知らず
また、父が別宅に住んでいることも知らない。



父は自分の趣味が第一の人間であり、子供にあまり関心がない。授業参観には来たことがなく子供の進路や諸々の必要な事は、共働きにも関わらず母に任せっきり。



自分のことしか考えておらず、弟たちを自分の趣味に付き合わせる日々。



次男は自分が良いように使われていることにはまだ気づかず、父の趣味を共に楽しんでいる。



長男は、父の自分勝手さに呆れており、両親の離婚に賛成している。



次男は父が別宅に住む事、いつでも父の家へ行っていい事、父と母は一緒に居たくないこと、両親が別れたとしても子供たちは二人の子供であることを伝えられた。



次男はいつもヘラヘラしており、言われたことをちゃんとやらない、人の話を聞かないことを怒られている。



別居の話を聞いた時も、ずっとヘラヘラにこにこしており、母が「家族の形態が変わります」と言った時、「けいたい?携帯ってこと?」と言っていた。



しかし、彼はちゃんと分かっている。



たかが10歳、されど10歳。



「けいたい?」と聞き返した時、彼の目は携帯電話を見ていなかった。



形態の意味をちゃんと知っていたが、空気を悪くしないように。場を明るくさせ続けられるように自分を犠牲にする。



たった10歳で気を使っていること、ちゃんと成長していることが同時に見えて苦しくなった。



大人より子供のほうがよっぽど大人だと思った。



本当のことは本人に聞いてみないと分からない。
だけど私はそう思った。



今まで、弟は分かりやすく、能天気で父に似ていると思っていた。



でも、すごく母に似ていた。



母はよく自虐をにこにこしながら周りに話す。
どれだけ辛いことでも、それを笑って吹き飛ばそうとする。
空気を読んで、暗くなるようなことを言わない。
ずっとにこにこしている。



その時の母と今日の弟は同じ顔をしていた。


にこにこしながらも、その奥に悲しみと辛さが混じっているような表情。




弟はその話の後、すぐにYouTubeを見ていた。いつもより大きな声で笑っていた。ちらっと正面の顔が見えた時、笑っていなかったのは気のせいだろうか。



私はそんな弟の頭を撫でてあげることしか出来なかった。


この経験が弟の将来に、私たち兄弟の将来にどう関わってくるのかはまだ分からない。




私は弟に何をしてあげられるだろうか。
私は父になれるだろうか。
彼の気の使わなくて良い場所になってあげられるだろうか。
私がそんな存在になれなかったとしても、いつか気の許せる人に出会って欲しい。

そう思った。

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