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トランスジェンダー『戸籍の性別変更、手術要件』 について、当事者が思うこと。

○2023年9月末 性別移行手術の経過記録(おむつをした私)
朝8時に新幹線に乗り東京駅を出発し、手術のために関西の病院へと向かう。
病院に着くと、担当する医師との1時間半ほどのカウンセリングを行った。
ストレッチャーに横になり麻酔を打たれる。(局部麻酔でした。)
手術は約2時間くらいであったと思う。意識はあるのだが、ほとんど覚えてない。
手術後
診察室の鏡で医師と確認をする。(下半身が包帯とテープでぐるぐるに巻かれている。)
おむつをした子供のような姿になった自分を見て、幼少期の頃の写真を重ね
思い出し、少しおかしくなり思わず笑ってしまった。

退院し自宅に着くと、ソファに倒れ下腹部の痛みから
立ち上がれず動けない。
(食料はあったのだが、1ヶ月分は買い出しをしておけば良かったと思う。
Uberや冷凍食品で乗り切る。)
お腹の下あたりに筋肉が引っ張られているような痛みがある。
夜中になっても続くので不快感眠れない。
翌朝に見てみると、下腹部周辺が青く腫れている(内出血していた。)
触ると痛く、歩くと引きつるような感覚があり鈍い痛みも続いていた。

[2週目] 腫れはひいたが、傷口が開いてしまったようで
かなりの出血があった。
出血が止まらなかったため、
近くの泌尿器科のある病院へ向かい診察を受ける。
(再び止血のため、包帯でぐるぐる巻きにされた。)

現在も自宅療養している。比較的動けるのだが
痛みが強い時は横になったりしている。
2週間ほどで回復すると思ったが、実際は体力的な負荷がかなり大きい。
(1ヶ月の休暇がとれて良かった。)
※トランスジェンダーワーカーとして
手術では休職制度や職場での理解が必要性を強く感じた。

○トランスジェンダーの戸籍性別変更要件、手術と健康(ポジティブな選択)

手術後帰りに、トランスジェンダーの戸籍上の性別変更要件
生殖機能をめぐる手術の必要性について
最高裁の弁論がおこなわれている
というニュース記事を読んだ。
性別適合手術はトランスジェンダーが性別を移行をするために
おこなう手術だ。
日本の法律では性別変更要件の一つに
『生殖腺がないこと、生殖機能を永続的に欠く状態にあること』
という要件がある、
法律にしたがうと、トランスジェンダーが戸籍の性別変更をするために
生殖腺を除去し、血縁関係にある自分の子供を作ることを諦めなければならない。
体にしなければならない
ということだ。

手術は健康を崩すリスクがあり、痛みも伴う。経済的負担もある。
手術に対する考えや意見も、当事者さまざまであると思うが
私は若いトランスジェンダー達がこうした
ハードルに対し選択をせまられ、葛藤をしていると考えると複雑な気持ちになる。

WHOのリプロダクティブ・ヘルスライツ
(性と生殖に関する健康と権利)では
性別に関わらず、自らが生殖に関する権利をもっているとしている。
体について手術をするかしないかは、自分自身で選ぶ権利があり
それは法によって制限されたり強制されたりしないということだ。
(:中絶をする権利、障がい者の優生保護法)
広くは女性の問題として認知されていると思うが、
性と生殖に関する健康の問題はトランスジェンダーやマイノリティの問題でもあると考える。

私はトランスジェンダーであることを後悔したことはない。
今回の手術はポジティブな選択だと感じる。
手術を選択したトランスジェンダーとして、
記録し伝え続けていきたい。


追記:
帰りの新幹線から見た、品川駅は建設工事をしているのが見えた。
東京駅に着いた頃には、すでに夜になっていて
小雨が降り湿気があった。真夏のような暑さの先週が幻想のように感じられ
肌を通して秋の寒さを感じた。
一言であらわすと、変化の激しい時期。であったような気がする。
高層ビル、駅ホームに広がる人達
いつも通りの東京駅の姿は美しく感じられ
喧騒の中でも自然と落ち着く気がした。

2023.10.13 Hana Tomaru🏳️‍🌈🏳️‍⚧️

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