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日本とドイツの働き方はどう違う?データから比較してみた

こんにちは、はなです🌼

今日は「新しい働き方ラボ」の自主企画に関する記事になります。

【実験】休み下手だった日本人の私が、ドイツ人の休み方・働き方を吸収したら、日本の働き方を変える道筋が見つかるのか。

▼研究計画書はこちらの記事にて🌿


そんな私の実験第一弾!

「日本とドイツの働き方って具体的にどう違うの?」というところを、客観的なデータから比較してみたいと思います。

私がドイツのホストファミリーに抱いた「お休み上手」というイメージが、本当なのか、具体的にどのように数字に表れているのかを調査するべく、①休日日数 ②労働時間 の2点について結果をまとめていきます🫡




①休日日数

まずはじめに、日独の年間休日日数を比較します。
ここでは、「有給休暇」「有給休暇消化率」「祝日」の3つのデータを比較し、それらを合わせて年間休日日数として比較していきたいと思います。

・有給休暇

【企業から付与される年間有給休暇の平均日数】
🇯🇵:17.6日
🇩🇪:30日

参照:厚生労働省 就労条件総合調査
Statistisches Bundesamt (Destatis) | 2024

有給休暇の平均日数は、ドイツの方が12日も多いという結果になりました。

ここで、なぜこんなにも差があるのか疑問に思った私は、日独の法律を比較してみることにしました。
以下、両国の有給休暇について定められた法律の要約です。

【🇯🇵:労働基準法】
✔︎6ヶ月以上勤務しその8割以上出勤した者には、年間10日有給休暇を付与。
✔︎勤続年数によって加算され、6年以上勤務すると最大毎年20日の有給休暇を付与。

参照:労働基準法 第39条

【🇩🇪:連邦休暇法】
※ドイツには労働基準法とは別に、最低休日日数を定めた連邦休暇法というものがあります。

✔︎6ヶ月以上勤務した者には年間最低24日有給休暇を付与。(§ 3、§ 4)
✔︎怪我や病気による休暇は有給休暇にはカウントしない。※要診断書(§ 9)

参照:連邦休暇法(Bundesministerium der Justiz)

そもそも法律で定められた休暇日数に大きな差があることがわかります。

私が日本で働いていた際も上記の通り、1年目は10日からスタートし、年々増えていく仕組みでした。しかしドイツでは初年度から最低24日と定められていることに驚きました。

さらに、この24日はあくまでも最低日数であり、前述の「有給休暇の平均日数」からも分かるように、多くのドイツ企業は年間30日前後の有給休暇を設定しているそうです。

また、怪我や病気で休む際に、有給休暇を使わないという点も明記されています。(参照:「風邪で休んでも有給休暇は減りません!ドイツの会社の病欠事情」)
日本にも傷病休暇という制度はありますが、多くの方が、風邪をひいた際は有給休暇を消化してお休みしているのではないでしょうか。


・有給休暇消化率

【年間有給休暇消化率】
🇯🇵:10.9日/17日≒62%
🇩🇪:31.8日/30日≒100%

厚生労働省 就労条件総合調査
Statistisches Bundesamt (Destatis) | 2024

有給休暇が付与されても、実際に使っていなければ実質のお休みにはなりません。
日本で働いていた頃の私の体感としては、「有給の半分程度を消化できればいい方かな」という感覚でした。実際に日本の平均値は62%となりました。

が、ドイツの有休消化率、脅威のほぼ100%!

これには驚きました!

日本では、病気や怪我で休む際は有給を使用することが多いため、「もしもの時のために有給を貯めておこう」とする心理が少なからず働いているのではないでしょうか。この意識も、62%という数値に影響しているのではないかなと考察します。

そんな中、ドイツの「怪我や病気の休暇は有給休暇を消化しない」という点は、有休消化率100%を後押ししている要因の一つなのではないでしょうか。


・祝日日数

【年間祝日日数】
🇯🇵:15日
🇩🇪:9日(11日)

日本は祝日が多い国として知られています。
そんな日本の年間祝日数は15日。

一方ドイツは11日。ですがそのうち2日は日曜日であり、振替休日はないので、実質9日とカウントします。

祝日数で見ると、日本の方が6日も多い結果となりました。


・有給休暇+祝日=年間休日日数(土日を除く)

以上の「有給休暇」「祝日」の日数から、土日を除いた年間休日日数を割り出すと

【年間休日日数(土日を除く)】
🇯🇵:17.6+15=32.6日
🇩🇪:30+9=39日

という結果になりました。

祝日が多い日本ですが、有給休暇と合算すると、総合的にドイツの方が約6日多い計算となりました。

さらに、実際に休めている日数(有休消化率)を含むと

【有給休暇消化率を加味した年間休日日数(土日を除く)】
🇯🇵:10.9+15=25.9日
🇩🇪:30+9=39日

となり、その差は何と13日となりました😳
ドイツの方が約2週間もお休みが多い結果に。


②労働時間

続いて、年間の労働時間、残業時間について比較していきます。

・労働時間

【年間労働時間】
🇯🇵:1607時間
🇩🇪:1341時間

OECD

※パートタイム労働者の労働時間を含む数字となっています。

この結果から、日本はドイツよりも266時間多く働いていることになります。1日8時間労働とすると、年間約33日、つまり1ヶ月以上多く働いている計算になります。


・残業時間

【年間残業時間】
🇯🇵:年間121.2時間 月間10.1時間
🇩🇪:年間31.6時間 月間2.6時間

厚生労働省 毎月勤労統計調査
ZEIT ONLINE

ドイツの年間残業時間、桁が違いすぎて目を疑いました。
日本はドイツの3.8倍も残業をしているという結果に。

ここで興味深かったのは、日本では労働基準法で残業時間に関する定め(上限1ヶ月45時間、1年360時間とする等)がある一方、ドイツには明確な残業時間に関する記載はないようでした。

しかしドイツの労働基準法では、1日8時間以上労働しないように定めた上で、ある条件のもと最大1日10時間まで延長できるとも記載されています。(労働基準法(Arbeitszeitgesetz)§ 3)

日本は月単位、年単位での残業時間の上限を定めていますが、ドイツは1日単位の労働時間の上限を定めている、というところに違いがあるのでしょうか。

まとめ:お休み大国ドイツ

「お休み上手」というイメージは、数字にも明確に表れていました。

データの比較だけでなく、両国の法律にも着目することで、そもそもの基準が大きく異なりドイツは制度として休める体制が整っているということもわかりました。

私の新たな疑問

しかし、今回私が不思議に感じたのは、基準は違えど、日本とドイツは似たような制度・法律が整備されているということ。

例えば、どちらも労働時間に関しては、以下のように同程度の定めとなっていました。

【🇯🇵:労働基準法】
✔︎1日8時間、1週間40時間を超えて、労働させてはならない。

参照:労働基準法 第32条

【🇩🇪:労働基準法(Arbeitszeitgesetz)】
✔︎1日8時間、1週間40時間を超えて、労働させてはならない。

参照:ドイツ労働基準法(Arbeitszeitgesetz)§ 3

にもかかわらず、日本とドイツの総労働時間には大きな差があります。

なぜこのような差が生まれるのか。
その差には、有給消化率の差の背景にあるのではないかと推測しています。

もちろん今回取り上げた部分以外の詳細な法律が関与していることも考えられますが、私は、法律・制度面だけでなく、国民の意識、大前提の捉え方にも大きな違いがあるのではないかと考えています。

今後はこの点にも着目しながら、研究を進めていきたいと思います。

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