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〈エッセイ〉未来のためにできること~地域の子どもたちと本がお友だちになるお手伝い~

以前私は図書館司書として働いていました。
日々楽しくやりがいのある仕事でした。
ところが、難病を患い退職せざるを得なくなりました。

司書業務から退いて数年後、
近所に住む友人でもあり地域コーディネーター(学校と地域を結ぶ役割)をされているかたからのお誘いで、近所の小学校の図書室ボランティアをさせてもらえることになりました。
私が住む町は学校と地域の連携を大事にし新たな取り組みにも年々力を入れています。

体調のことで迷惑かけてしまわないか心配でしたが、
「調子のいいときに一緒にしよう!」
と言って下さり、こんな私でも少しでも地域の子どもたちに何かできれば!と、引き受けさせていただきました。

活動は主に、
本棚の整理や本の修理、新しく購入する図書の選書、展示コーナーにおすすめの本や季節にあった本を置き、季節を感じる飾りや子どもたちがわくわくするような飾り付けなどをしています。

時には、授業内容に沿った絵本の読み聞かせやブックトークの依頼もあり、授業中に本を読んだり本の紹介をしたりして、司書時代を思い出します。
「もうこんなことはできない」と思っていたので、貴重な体験をさせてもらっています。
難病に罹患している私にとって好条件なかたちで、子どもたちと本をつなぐお手伝いが出来ること大変嬉しく思います。

活動を続けるうちに子どもたちも、本や活動に興味を示してくれています。 
「本の展示を一緒にしたい」
「本のポップを一緒に作りたい」
「一緒に本の修理をしたい」
と、子どもたちから声がかかったり、
展示コーナーの飾りを見て、真似して作ってそっと横に置いてあることもあります。
また、メンバーが重たい本を運んでいると手伝ってくれたり、私の車椅子を押してくれたりします。
そんな子どもたちの様子を見て、
「図書だけでなく、地域の人との関わり、思いやりや多様性にも繋がっている」と先生方に言っていただきました。
保護者の方からも、
「親や先生の他に、子どもたちに寄り添って成長を見届て下さる存在があることはとてもありがたい」
と言っていただいき、胸が熱くなりました。

地域には、様々な職業・様々な趣味を持つ方が大勢います。今後、様々な分野でこのような活躍が広がれば、より地域と学校が連携を取って子どもたちを守り、育てていき、未来に繋がると思います。

私自身も与えていただいた場所で出来ることを全力でやり、子どもたちと本の架け橋になりたいと思います。

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